令和はSF

あがつま ゆい
あがつま ゆい

第20話 ゲームはSF

公開日時: 2022年6月6日(月) 19:28
文字数:2,411

「よお竜也たつや


「あ、伯父おじさん。ちょうどよかった。ゲームでもして遊ぼうか」


 今日は竜一りゅういちおいの竜也と家の中で遊ぶことになった。




 竜也は自分のゲーム機を起動させる。


「へーこれが30年後のゲーム機かー。でも30年も経てばゲームは進歩しすぎてみんな同じようなグラフィックになってるんじゃないの?

 ディストピアSFみたいにみんな同じような顔の美男美女になってる、みたいにさぁ」


「いや、そうでもないよ。ドラゴンキューブファイターZとかはセル画っぽい描写してるよ」


「ドラゴンキューブかー。まだ連載続いてる?」


「いや、とっくの昔に連載は終わったけど今でもゲームやアニメや映画が作られたりしてるよ」


「ふーん、じゃあやってみるか……なんかカセットがやたら小さいけど大丈夫か?」


 竜也は30年前のゲーム機と比べたらはるかに小さいカセットをゲーム機にセットする。しばらくしてゲームの読み込みが終わり、キャラ選択画面になる。




「へー、ドット絵じゃないんだな。って何じゃこりゃあ!? セ、セル画のアイツが動いてる!?」


「ああ。最新の描画技術でセル画に近い描写をしてるんだ」


「おおおおお! セル画のキャラが俺の操作で動いてる!? スゲェ! セル画が自在に操れるのか!? もうアニメそのまんまじゃん!」


 子供のころ大興奮しながら見ていたアニメそのままのグラフィックのキャラをコントローラーで自在に操作できる。その「夢のような光景」に竜一は驚愕きょうがくの極みだ。


「ス、ス、スゲェ! 何だこのゲーム!? 30年後のゲームはこんなこともできるのか!? 凄すぎるぜこれは!」


 完全にアニメ描写そのまんまなキャラの動きに竜一は大満足だ。バトルではボロ負けしたがそんなのどうでもよかった。




「いやー凄かった凄かった。30年後の未来はスゲェなぁ」


 満足した顔をしながらゲームを辞め、ホーム画面へと戻って来た。すると竜一はさっきは気にならなかった何かを見つけた。


「何だこれ? いくつか小さい絵があるけど……」


「ああ。このアイコン一つ一つがゲームだよ」


「へ? どういうこと? ソフト差してるわけじゃないのに何でゲームが?」


「ゲームのデータをダウンロードしてあってゲームの内容が全部ゲーム機の中に入っているんだよ」


「な、何ぃ!? げ、ゲームのデータが全部入ってる!? スゲェ! もうそんな時代まで来てたのか! じゃあもうソフトを差し替えなくてもいいのか! へー進んでるなぁ」


 一々ソフトを差し替える必要もない……30年後のゲーム機は驚きの連続だ。




 いくつかのアイコンを見ていると竜一も見慣れたブロックとともに「テトリス デラックス」と書かれたソフトを見つける。


「へー、テトリスか。まぁいい、やってみるか」


 30年後の世界でもテトリスは遊ばれ続けているらしい。竜一も散々遊んだテトリスだったが……。


「!? 何だこりゃ!?」


「テトリス デラックス」というゲームは1人用のテトリスだったがド派手なエフェクトで画面中がお祭り騒ぎな状態になっていた。

 大海に浮かぶ魚たち、炎で出来た人々の祈り、洗練された都市でのジャズセッション、そして宇宙……。


 やってること自体はただのテトリスだが、壮大なエフェクトとグラフィックでテトリスはここまで面白くなっていた。

 それでいてテトリスの操作性は邪魔されずテトリスの面白さは損なわれてはいなかった。




 さらには……。


「!? な、何だ!? コントローラーが震えてるぞ!? どうなってんだ!?」


「それはHD振動って言って微細な震えを表現できるんだよ。このゲームなら息遣いや鼓動を振動で表現してると思う」


「へー、スゲェなー。30年後のゲームはコントローラーが振動するとは思ってなかったよ。SFにもないぜこれは」


 ゲームコントローラーに振動機能が搭載されるようになったのは1997年。竜一が死んだ1993年当時には存在しなかった。

 そのため彼はコントローラーが振動するだけでも未来を感じることができた。

 そんなこんなで竜一は「30年後のテトリスゲーム」を大いに満足した。




「グラフィックが進歩すればテトリスもここまで派手になるのかー。スゲェなぁーやっぱり30年後の世界に来てよかったよ」


「伯父さん、テトリスが気に入ったら「テトリスロワイヤル」っていうのもあるよ。99人のプレーヤーと同時に対戦して1位を目指すゲームなんだけどやってみる?」


「へ? 99人?」


 別のアイコンを選ぶとまたもやおなじみのブロックとともに「テトリスロワイヤル」というタイトルが表示されていた。




 ゲームを始めると中央にある自分のテトリス画面の周囲に98人分のミニ画面が表示されていた。


「テトリス デラックス」が究極の1人用テトリスゲームとするのなら、こちらは究極の多人数対戦テトリスゲームだ。


「こ、これ全員生身のプレーヤーなの!? スゲェな! 本当に99人ものプレーヤーと同時に対戦できるのか!?」


「そうだよ。99人のプレーヤーと同時対戦ができるんだ。今はやりのバトルロイヤル物のテトリス版ってやつだね」


「へー、バトルロイヤルが流行はやってるのかー」


 竜一は感心しながらゲームを始める。が……




「伯父さん注意して。5人から狙われてるよ」


「え!? ちょっと待って……うわぁ!」


 5人からの一斉攻撃で一気にブロックがせりあがり、負けてしまった。


「うーん。39位か」


「結構強いね。俺は弱くて行けても40位くらいまでなんだよなー。最初でここまで行けるなら大したもんだよ」


「いやー、これ以上進化のしようがないテトリスも30年後ならここまで新しくなるんだな。スゲェわ。SFの世界でもこうはいかないぞ。また遊ぼうぜ」


「わかった。今日はこの辺にしておこうか」


 竜也はゲームの電源を切った。




【次回予告】

 竜一と竜也は町の中心部にあるゲームセンターに足を運んでいた。

 竜一が生きていた昔は不良のたまり場で灰皿が飛んでくる場所だという認識だったが、今のゲーセンはそんな場所とはずいぶんと違う所となっていた。


 第21話 「ゲーセンはSF」

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