「うーむ……」
竜一は珍しくご機嫌斜めと言える表情をしながら検索を続けている。
「スペースコロニー」「月面基地」「宇宙港」
そんなキーワードで検索をかけるが旧式のSF作品やマンガやアニメ、ゲームの情報ばかりヒットして、望んていた現実世界にあるものはほぼないし、建設計画すらない。
「どうしたの竜一君、険しい顔してるけど……」
「あ、咲夜さん。2023年はSFでしか無かったことやSFでも無かったものがあるんだけど宇宙開発はまだされてないみたいなのが残念なんですよ。
1992年に毛利衛が宇宙飛行士になったから日本も宇宙に関して身近になってると思ったんですけどねぇ」
竜一は不満を竜二の妻、咲夜にそう漏らしていた。
「俺が1度死んだ1993年頃は2020年代にはスペースコロニーが当たり前のように作られて、ごく普通に人が過ごしてるっていうはずだったんですけど、
今のところ1つも出来てないのか。残念だなー、スマホはあるのに……国際宇宙ステーションだっけ? そこで宇宙に関する研究がされているとは聞いてるけど」
世界中の人々の興味が宇宙から外れていったからなのかは分からないが、宇宙開発事業と言えばいまだに高度400キロ地点にある国際宇宙ステーションでの研究が続いている段階だ。
宇宙への移住はまだ実験や研究、技術開発が足りない段階であり現実になるにはまだまだ時間がかかりそうだ。
「でも中には宇宙旅行に行けるサービスもあるって話だけど。まぁ値段はとんでもないものになるんだけどね」
「それは知ってます。本当に宇宙に行けたり、実際には宇宙ではないけど成層圏まで気球で行けるようにはなってるそうですし、
とある大企業の創業者らが宇宙に行ったらしいとは聞いてますけど」
竜一が言うように2023年には本当に宇宙まで行けるツアーや、
「高度100キロ以上」という一般的な宇宙の定義とは外れるが、高度30キロの成層圏まで大型の気球で旅ができる事はもう出来るらしい。
もっとも安くても数百万円はするし、物によっては数千万円の費用が掛かるのだが。
「それと、大分空港がアジア初の「水平型宇宙港」になるって聞いてるし、北海道も宇宙港の整備もしているって言うから、これで少しは宇宙が身近になるのかな?」
竜一が拾ったニュースには、大分空港がアジア初の水平型宇宙港として本格始動し始めた、と書かれていた。
また「北海道スペース空港」という宇宙港でも今年には垂直離陸、要は「種子島宇宙センターでよく見るロケットの打ち上げ」みたいな発射ができるようになるそうだ。
「あーあ。こんな事なら英語の勉強もっとやっとくべきだったなー。英語ダメなんだよね俺。中学高校といつも赤点ギリギリだし、補習も受けたこともあったっけなー。
SFならスルスルと頭に入るんだけど英単語はさっぱり入ってこないんだよなー。SFを読むみたいに英単語も読めればいいんだけどなー」
竜一は出来るのであれば将来、SFでは今よりも身近な宇宙関連産業に就職したい。とは思っていたのだが、英語が壊滅的にダメで中学生が学ぶ英単語ですらまともに覚えているかどうかも怪しい状態だった。
「まぁ宇宙産業はこれから大きくなる開拓時代って事で、俺が生きている間にはもう少し一般的にはなるのかなー。そうなってくれれば嬉しいんだけどな」
昔は「宇宙が丸ごとやってくる」なんていうキャッチコピーが一部界隈で流行ったそうだが、今のところは宇宙開拓時代の幕開けを予感させる出来事だった。
「俺が生きているうちにスペースコロニーの建設が始まりますように」と竜一は思っていた。
【次回予告】
ゴールデンウィークの頃に竜也と一緒に新宿猫を見に行ったときはその3D技術に度肝を抜かれたが、
それとは別の技術を使った3D描写が出来るゲームが既に「旧式」と言える位に普及していることに竜一はさらに驚いた。
第25話 「3DはSF」
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