「今年が2023年って事は1999年が20年以上も昔の話、か。ノストラダムスって奴はとんでもねえ噓つきだったな」
土曜日のある日、竜一が珍しく不機嫌そうな顔をして愚痴る。
「どうした、兄貴。珍しくふてくされて」
不機嫌な様子を見ていた竜二が彼に声をかけてきた。
「竜二、聞いてくれよ。ノストラダムスの野郎は「人類は滅亡する」だなんていう大見得を切るだけ切って逃げやがったんだ。
1999年7の月から20年以上たってるのに世界は一向に滅ぶ様子が無いじゃねえか」
「ハハッ、そりゃそうだよなあ。俺も昔はそれに愚痴ってたぜ」
ノストラダムス……日本において一時期はおそらく一番有名だった預言者。
彼の予言の中でも「1999年7の月に恐怖の大王が現れ人類は滅亡する」というのはあまりにも有名で、オカルトブームを日本に巻き起こしたきっかけとなった。
結局、その予言は当たることなく現在でも人類は70億人以上、地球上で存続中だ。
「竜二、ノストラダムスの予言を信じて自暴自棄になった奴って結構いたんじゃないの?」
「いやぁ、それが俺の周りにもTVのニュースでもそういう人間は出なかったんだよなぁ。俺もヤケを起こす奴とか周りにいそうな気がしたんだが案外出なかったもんだな。
そういえば兄貴が1回死んだのは1993年だからその頃はノストラダムスはまだまだ有名だったよなぁ」
「今じゃノストラダムスの「ノ」の字すら見かけねえけどな。予言外したんだから当然の事だろうけど」
「まぁノストラダムスって、1556年に死んだそうで、今から何百年も前に死んだ人間だから死体に鞭打つのも酷だろうけどな」
「え!? そんな過去な人なの!? てっきり平成の時代まで生きてたと思ってたんだけど!?」
「ハハハ。そういう所は兄貴っぽいな」
幸か不幸か、ノストラダムスの預言は外れて人類は今も存続中だ。予言が当たってもそれはそれで不幸なことになるのだが総合的には「外れてよかった」と言えるだろう。
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