■右翼後衛、部隊長ルドルス・ノートン――
そこはその戦いの最終局面を担う最重要部分だった。
独立した行動を許される高機動部隊、それを率いるのはルストからの信頼も篤いルドルス・ノートンだった。
「急げ! 敵陣のあと詰めが合流してしまう!」
全力で駆けていた。全てで二十数名ほどの集団は戦闘局面に重要な楔を打ち込むべく動き出していた。
ドルスは叫ぶ。
「急げ! 象の残り5頭を復活させろ!」
「はい!」
「了解!」
象使いの少年たちを連れた傭兵たちが戦場へと散っていく。先の戦闘でパックに昏倒させられた戦象を復活させるつもりなのだ。
ドルスはさらにバックに告げた。
「頼むぞ。蘇生作業はお前じゃなきゃどうにもならん」
「心得ました」
そう答えながらバックは包拳礼を示した。
そしてさらに――
「マイスト、バトマイは、接近する敵第2陣の動きを警戒してくれ」
その問いにマイストとバトマイの二人は明確な意図をもって応えた。
「それについてなんですけど」
「部隊長、ちょっとした策があるんですが。試していいですか?」
そう言いながら二人は手にしているそれぞれの牙剣をドルスの方へと示して見せた。その行為の意味を思案しながらドルスは問い返した。
「敵を足止めする気か?」
「はい」
「確実なやつを頼むぞ。中途半端なことをしてかえって敵を逆上させたら致命的な事になりかねん」
「心得ています」
「無様な真似だけはしませんよ」
「そこまで言うなら信じるぞ」
「ありがとうございます」
「よし急げ!」
「はい!」
その言葉を残してマイストとバトマイの二人は走り去っていく。
彼らの姿を見守りながらも、自らも敵第1陣の方へと走り出していた。
高機動部隊の全員がこの状況を打破すべく動き出していたのだ。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!