前々世紀の宇宙工学者が聞けば転職を考えるか首をくくるかのどちらかだろうが、人類が地球外の遊星へ行くために最低限必要なものは、猫と、小さな部屋である。
一匹の猫と二人の女子大生は、未知の遊星で『重力』を崇拝する集団に遭遇する。
トルマン・オッペンハイマー・ヴォルコフ限界を間近にした中性子星。
中性子星を覆う、巨大で薄っぺらい風船めいたダイソン球殻。
望む者に望まぬ物を与えることを趣味としている意地悪な情報知性体。
やがて恒星の死に立ち会った一匹と二人が思うことは――
詭弁と屁理屈と言い訳ででっちあげた、二〇世紀懐古型スラップスティックSF。