うんうん、さすがは雪乃。
私が見込んだだけのことはある。
雪乃の願いを叶える力が私にあるか、雪乃は疑ってるけど、創世神をなめてもらっては困るな。あるから安心してよ。
ていうか、三つ目の願いが正解だから、一つ目と二つ目の願いはいらないんだけどね。
三つ目の願いだけですべて叶うよ。
私としても、さっさと、その願いを叶えてしまいたいんだけど。
世界を創造した時に、友神たちの前でいらぬ宣言をしてしまってねぇ。
それを願う人の子が、いつか必ず、現れるって。
主神に二言があっては示しがつかないじゃない?
でさ、雪乃の場合、願いは正解なんだけど、ひきこもりが願ったんじゃ駄目なんだ。
世界のすべてを手に入れる力を、神々から与えられた者が願わないと駄目なんだ。
我ながら、この素晴らしい世界を創造した直後でテンション上がってたっていうか。
私って天才じゃね? さすがは主神様じゃね? 唯一無二の全知全能の神が創造した世界マジスゲーと自画自賛の極致だったわけ。
それでつい、ハードル上げ過ぎた。
仮にも私が創造した人の子が、それを願わないはずがないと思ったんだけど。
実際のところ、雪乃をはじめ、正しい願いを持つ者はいるんだよ。
だけど、正しい願いを持つ者ほど、『世界のすべてを手に入れる力』を与えられないジレンマがあるっていうのか、その力は友神たちが与えるものなんだけど、友神たちが、ろくな人間に力を与えないんだよ。
その意味では、友神たちが乙女ゲームの世界を再現する遊びにハマったのは都合がよかった。
問題は主神が創造した世界ではなく、友神たちの人選にあったことをわかってもらう千載一遇のチャンスだ。
すべての神々に認められた時にも、雪乃の願いが変わらなければ。
――私と雪乃の勝ちだ!
ふっふっふ。
さっそく、雪乃は愛と美の女神アフロディーテに認められたしね。
闇巫女デゼルとして手に入れられる魅了スキルの力をもってすれば、『星空のロマンス』の世界のどんな魅力的な異性も思いのままに手に入れられるんだけど。
容姿も財産も地位も家柄も聡明さも、何もかもを兼ね備えた攻略対象者達、そして、悪の貴公子達の存在さえ知りながら、雪乃は魅了スキルを取らないつもりなんだよね。
雪乃は愛を取るということだよ。
愛を司る女神アフロディーテはそれはもう、ご満悦だよ。
さすがは雪乃。
神様、雪乃はやればできるコだって信じてた。
だけど、神様は心配だなぁ。
あの子、やる気ないからなぁ。
途中で投げ出さないでね、お願いだから。
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