「――っつーか、何で寝て誰も見てないんだよ。」
「アンタが一番最初に寝たじゃない!」
「ふぅ~…。まぁなんにせよ、予想だにしなかった展開じゃ。実にくだらん。」
三人は呆れる他なかった。
「なぁジイさん…アイツ本当に俺の遠い先祖なのか?」
ジークがエンコを指さして聞いた。
「ああ。残念じゃがな。この時代の“最強ポンコツトリオ”の一人、エンコはお前さんの遠~~い先祖じゃ。ご愁傷様。」
「…なんてこった…。こんなアホな奴らのせいで今俺達は消滅の危機に立たされているのか…。」
ジークはとても落ち込んでいるー。
「まぁそう落ち込むなジークよ。ワシの先祖も同罪じゃ。全く情けない。」
「はぁ~~~…。」
「別にいいじゃない!こんな遠い先祖なんてもうほぼ他人よ!アンタ意外とセンチメンタルなのね。」
「なんか情けなさ過ぎて一気につかれた。」
「全くじゃ。まぁでもお前さんの強さの根源はここからきてるんじゃろうな。」
「アイツ強いのか?」
「闘神エンコ、竜王クリカラ。どちらも書物で長く語られている伝説の魔導士じゃよ。」
「へぇー!アンタの先祖凄いじゃない。」
「もうどうでもいいや…。早く帰ろうぜ。」
ジーク達はこの時代を後にしたー。
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~現代・レベッカの部屋~
「…話はくだらなかったけど凄かったわ色々!」
「何やら楽しんでくれてるようで良かったわぃ。」
ジークと違いレベッカはとても興奮している。
「私はこんな家柄に生まれたから、こんな事言ったら贅沢だけど…欲しい物ややりたい事は何でも出来る環境だった。でも、危ないからと言われて城の外に自由に出る事は滅多に出来なかった…。」
レベッカの話に創造神は黙って耳を傾ける。
「だから私はいつか自分の目で色んな世界を見たいと思っていたの!自分の知らない世界を知りたい!そんな時にジークと創造神様に会った―。だから…お願い――。」
レベッカが真っ直ぐジーク達を見つめる。
「…私を二人と一緒に連れて行って―!仲間にしてほしい―!」
レベッカの言葉にジークと創造神が目を合わせるー。
「私じゃ何かあった時に自分一人も守れない…。悔しいけど何も出来ないの!でも、だからこそ私は外の世界に出て出来ることを増やしたい!デューエルのリーダー私にやらせて!今私が一番最初に出来る事はそれだから!協力させて!」
今までの様な軽い気持ちではなく、覚悟を持った決意である事は一目瞭然であった―。
「――好きにすればいいんじゃない?」
ジークが言った。
「―え?いいの⁉」
「ワシは最初からウェルカムじゃよ。」
「やったーー!!ありがとう!!」
「そもそもそのリーダーすらお前がなれるか分からないけどな。」
「大丈夫じゃ。そこはワシが“決定”する。誓約書の条約五条(このデューエルの責任者、審判は創造神とし、公平なジャッジを行う事。最終的な取り決めは全て創造神が決める事。)にも記されておるしのぉ。王女なら問題ないじゃろ。それにあんなくだらん事で決めた誓約書じゃ。同じ創造神としてワシが決定するわ。」
「だったらデューエル自体なくしてくれよ。」
「それは無理じゃ。だから“ルールの範囲内”でワシが出来ることはこれくらいじゃ。」
「ホントに⁉嬉しい~!!」
レベッカは満面の笑みで喜んだ。
その姿をジークは横目で見ていたー。
(…よく見るとやっぱ綺麗な顔してんなぁ…)
「――――――見惚れとるのぉ(笑♪」
「―なッ⁉⁉バカッ…!そんな訳ねぇだろ!」
「よいよい。青春じゃよ。ええのぉ~。」
「大体ホントにリーダーでいいのかよ!条約破ってないか??」
「もしそうだったらレベッカをリーダーと認めた時点でイリーガルは消滅しておるわぃ。」
「サラッと危ない事すんな!」
「近くで守れる方がお前さんも安心じゃろ♪」
「は⁉何勘違いしてんだジジイ!俺はお姉さんしか興味ねぇんだよ!」
「――ちょっと!また“お姉さん”とか聞こえたけど、まだ姉さん達の誰かがいいとか思ってんの?」
ジークと創造神が話しているところにレベッカが入ってくる。
「うるさいな!そんなんじゃねぇって!もういいよお前で!」
「何その言い方!言っとくけどね、私がいなくて困るのアンタだから!」
「急に上に立つんじゃねぇよ!お前じゃなくても他のお姉さんに……(無理だなぁ…あのお姉さん達じゃ…)
」
「何よ!アンタももう分かってるでしょ!姉さん達には無理よ!自分たちの事しか考えていないし、こんな話到底信じないわ!」
レベッカは勝ち誇ったようにジークの前に仁王立ちした。
「あ~あ…。せっかくあんな綺麗なお姉さん達が目の前にいるのに勿体ねぇ~…。」
「私だって十分イケてると思うけど!」
「自分で言ってる奴は絶対ダメ…。」
「ホッホッホッ。素直になればええんじゃよジーク。」
「そうよ!リーダーが見つかって良かったじゃない!」
「どいつもこいつ面倒くさいなぁ。全く。そんなにやりたいならやらせてやるよリーダー。」
ジークは肉球のある前足を上に出した。
「決まりね!」
――バシッ!
二人はハイタッチをした。
こうして“人間側のリーダー”が決まった―。
「――ん?ところでさ、“竜族側”ってどうなってんの…??」
「ああ。それはじゃのぉ……。」
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