猫が赴く異世界存続クエスト〜元最強魔導士が転生ミスで夢のチートハーレム生活からまさかの猫へ!?〜【第一部 完】

キョロ
キョロ

07 レベッカ王女

公開日時: 2021年9月7日(火) 19:51
文字数:2,203

…ググ…!…グッ…!


レベッカ王女は何とか縛られているロープを解こうと手を力任せに動かすが全く抜けそうな気配が無い


(…もう!全然抜けない…!)


ロープの箇所が皮膚を摩擦し赤くなっていた。

それでもなんとか脱出しようと強引に取ろうとしている。


「…おい。やめとけ。赤くなってるぞ。」


それに気付いたジークがレベッカ王女を止めた。

突如目の前の猫が喋り出し、更に混乱する王女。


「…ンンン”ッ⁉ン“ーンンン”??ン“ン“ン“!!(…ってゆうかアンタ何⁉なんで喋ってんの??猫なのに!!)」


レベッカ王女はこう言ったのだが、ジークはこう捉えたー。


「私の心配をしてくれてありがとう!って?…男なんだから当然だろ。でも残念ながら惚れられても困るぜ。。俺は綺麗なお姉さんしか興味ないからな。」


「ン“ン“ン“ン“ンッ!!!(そんな事言ってないわよこのバカ猫!!!)」


「凄い口説かれてるが今はそんな事よりここを出るぞ!」


(…何この猫ッ!っていうかそもそも猫よね…??…もう嫌だ色々と…)


オークションで盛り上がっているガンテツ達はモニターに釘付けになっていたー。


「そのロープ取るぞ。」


(…え…?)


シュルルル……パサッ…。


ジークは魔法で簡単にロープを解いてみせた。

レベッカ王女はとても驚いている。

彼女は自由になった手で口を塞いでいたテープを剥がした―。


「え!…凄い…!取れた!ありがとう!」


「いいから早く行くぞ。」


ジークが奴らに気付かれないようにサササッっと出口の方に向かっていくー。

それに続こうとレベッカ王女が動き出した瞬間、足元に転がっていた木材を蹴飛ばしてしまう―。


――カランッ!カランッ…!


「……やばっ⁉」


「「「…!!!」」」


ガンテツ達が一斉にレベッカ王女の方を見たー。


「何やってるんだか…。」


ジークは呆れて呟いた。


「ボス!!逃げようとしてますぜあの女!!」


「何⁉どうやって抜け出しやがった!クソッ…早く捕まえろ!」


「いや最悪だわホントにっ…!!」


レベッカ王女はバレながらもジークのいる出口の方へ走るー。

それを見て手下の二人組もレベッカ王女を捕まえようと追いかける。


「……ったく。余計な手間増やすなよ。」


ジークは走る二人組の男の前を遮るように飛び出してきた。


「あ!!このクソ猫!何してやがる!邪魔だよどけ!!」


「俺達の邪魔をするなこの猫!!」


男達はジークを捕まえようと飛び込んだが、ジークはそれをヒョイっとかわして言ったー。


「…お前らよぉ……俺を勝手に捕まえて売ろうとした挙句に“邪魔”とはなんだ…?あぁ?」


……バチバチバチッ……!!!


ジークの手(前足)に雷が纏われるー。


「「………⁉⁉⁉⁉」」


「一体何だこの魔力の威圧は…!」


「まさかあの猫が……⁉」


ガンテツとマスターがジークの魔力の強さに驚くー。


――バチバチバチバチバチバチバチバチッッ!!!!!!


まだ攻撃を放つ前段階ー。

ジークは“ただ魔力を集めているだけ”。

だが、最強魔導士と呼ばれたジークとガンテツ達では魔導士としてのランクが桁違いー。

あまりの力の差にガンテツ達はただただ立ち尽くす。


「行くぞ……。そういえばお前名前なんだっけ?」


ジークは横にいた王女に聞いた。


「…私?私はレベッカ。そういうアナタは…?なんで猫が喋ってるの?一体何?」


「レベッカね…。まぁ俺の猫の話は長くなるから置いといてくれ。一応人間だから心配するな。とりあえず行くぞ。」


腕に纏われた魔力がどんどん雷へと変化していく―

ジークが雷を纏う腕を、天井目掛けて軽く振った。


――ズドォォンッッ!!!!


一階の天井から二階の屋根も突き破り、そこには雲一つない晴天が現れたー。

日の光りが薄暗い室内を明るく照らす。


ジークは片手に雷を纏ったまま、突如フワフワと体を浮遊させ始めたー。

そして、レベッカの頭の上まで浮かぶと、もう一方の手でレベッカの首後ろの襟を掴みそのまま上に飛んでいくー。


「…えっ⁉何々⁉なんで浮いてるの…!」


「あんま暴れるな。落とすぞ。」


「なんで私猫に首根っこ掴まれて飛んでるのよ。。」


フワッーーと上昇していくジークとレベッカ。

一階、二階、屋根…と、次々に上へ抜けていくー。


現実に起きていることが未だ信じられないガンテツ達。

下にいたガンテツがボソッと口を開いた。


「……何者だあの猫……。」


「…俺か…?ん~…まぁお前らに名乗るほどでもないけどな…冥途の土産に教えてやる(笑。」


ジークとレベッカは屋根を抜けてもまだまだ上昇し、数十メートル上の所で止まったー。


……バッッ!!

――バチバチバチバチバチバチバチバチッッ!!!!!


ジークが腕を振り上げたー。

先程よりも強い魔力の雷が激しい音と共にバチバチ光る。


「…俺の名はジーク。…ジーク・ルアソールだ!!!」


「「…⁉⁉⁉⁉⁉」」


「…ジーク……ルアソール…だと……⁉あのマスタークエストをクリアした伝説の⁉⁉…そ、そんな奴が…何故こんな所にぃ……⁉」


「売買なんて胸くそ悪い事しやがって…!!お前ら諸共こんな店潰れろ!!」


聞かされた最強魔導士の名ー。

ガンテツ達は膝から崩れ落ちた。


そして―。

ジークの魔法が発動される―。


「―“然魔法ねんまほう………。雷猫踏足ねこふんじゃった”!!!」


ジーク、怒りの落雷―!!


バリバリバリッッーーー!!!!

ゴォォォォォォォォォォンッッッーーー!!!!!


落とされた雷は一瞬にしてガンテツ達を直撃し、店ごと破壊したジーク。

店の崩れた瓦礫と共にガンテツ達は全員やられて気絶していた。

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