静かな午後
お気に入りの小説を閉じて
眠る 眠る 眠る
一冊の小説は
まるでしかけ絵本のように
言葉が 想いが 祈りが
いくつもの心が
立体になって
這い出し
立ち上がり
喋り出す
眠るわたしの 瞼の隙間から忍び込む
忍び込む 忍び込む
「どうか伝えて 僕の心を
どうか伝わって 僕の想い
どうか感じて 僕の切なさ
どうか信じて 僕の恋心
どうか許して 僕の罪を」
想いは激しく
魂を燃やし
魂を燃やし尽くし――
眠りから寝覚めた時
すべては跡形もなく
消えゆく
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