空に贈った100の物語 <詩集>

人生に迷う全ての人に
uta
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影法師

公開日時: 2021年10月22日(金) 23:14
文字数:383

人型をした黒いやつが あたしの隣を歩いている

あたしに寄り添い歩く黒いやつは 透き通っている


それはとてものっぽで 薄っぺらくて

誰が見ても のっぺらぼうで


声も出ないから 歌も歌えない

見つめ合う事もできなければ

食べる事も 語り合う事もできない

とんでもなく役に立たない 愛想のないやつ


でもいつ見ても あたしの隣にいる

正確に言えば前だったり 後ろだったり 真下だったり

仲間に紛れて 隠れ身の術を使ったり

時には分身の術も使う お茶目なやつだったりする


あたしが生まれたその日 その瞬間から

お前はあたしに寄り添って 片時も離れず

あたしを守って 許して 抱き締めてきた


誰もがみんな そっぽ向いて

あたしを疎んじて 嫌って のけものにしても

お前はあたしを愛して 信じて待っていてくれた

愛しいやつだと


だからあたしも言うよ

お前は世界で一番愛しいやつだと


世界中が あたしの敵になっても

お前だけは傍にいてよと


散る時も 果てる時も

共にいようと

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