人型をした黒いやつが あたしの隣を歩いている
あたしに寄り添い歩く黒いやつは 透き通っている
それはとてものっぽで 薄っぺらくて
誰が見ても のっぺらぼうで
声も出ないから 歌も歌えない
見つめ合う事もできなければ
食べる事も 語り合う事もできない
とんでもなく役に立たない 愛想のないやつ
でもいつ見ても あたしの隣にいる
正確に言えば前だったり 後ろだったり 真下だったり
仲間に紛れて 隠れ身の術を使ったり
時には分身の術も使う お茶目なやつだったりする
あたしが生まれたその日 その瞬間から
お前はあたしに寄り添って 片時も離れず
あたしを守って 許して 抱き締めてきた
誰もがみんな そっぽ向いて
あたしを疎んじて 嫌って のけものにしても
お前はあたしを愛して 信じて待っていてくれた
愛しいやつだと
だからあたしも言うよ
お前は世界で一番愛しいやつだと
世界中が あたしの敵になっても
お前だけは傍にいてよと
散る時も 果てる時も
共にいようと
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