人工英雄

~自ら作る英雄譚〜
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一章2   『外の世界』

公開日時: 2020年9月1日(火) 19:47
文字数:1,895

「うわ!」


森を抜けて初めて見たものはどこまでも続きそうな草原だった。

また、朝日が今までに見たことのないぐらいきれいに見える。


昨日森の中で一泊したので今日は二日目だ。


こんなに遠くまで見れたことはない。

まるでこの世界にいるのが自分一人だけのようだ。


ミカド村にいたころは周りに木、木、木。

こんなに開放された空間は無い。


何もかもが特別に見える。

一番見てみたかったウミというものは見えないものの今見ている景色を言葉では表すことは出来ない。

いつもこんな景色を見れるのは羨ましい。


「…………!!」


遠くに村らしき物体が見える。


「よし! 行くか」


二日目の朝、外の世界へと足を踏み出した。


まず情報を集めようと村へ行くことにした。


最初のころは初めて見るものが多く、驚きに満ち溢れていた。

外の世界にはエルフやドワーフなどいろいろな種族がいた。

また、お金や服装など文化の違いは強く印象の残っている。

森の中で生きてきた僕にとってはどれも新鮮だ。


今は情報収集も兼ね村のはずれにある酪農家のアンネットさんのところで住み込みで働いている。


ミカド村から来たと伝えたら凄く驚かれた。

外の世界とミカド村との考え方は逆。

外の世界からしたらミカド村がある森は危険地帯で近づいただけで死ぬという噂があるらしい。

だから誰も外の世界から人が来なかったのだろう。


アンネットさんは親切にしてくれたりいろいろ外の世界についても教えてくれた。


外の世界には危ない人もいると両親がよく言い聞かせてくれていた。

優しい人で良かったと心から思う。


仕事も丁寧に教えてもらえたおかげで、すぐに慣れることができた。

アンネットさんには物覚えがいいと褒められたぐらいだ。

しっかり賃金ももらえるし、寝床も用意してもらっている。


今日は村を出てから三日目の夜。


よく仕組みは分からないが魔石というものがあるおかげで夜も部屋は暗くなくて済むそうだ。


ミカド村にも欲しい。いつか帰るときに持って帰ろうと思う。

ミカド村にいたときは、夜が怖くて一人だけ太陽が沈む前に寝ていた。

これがあれば夜も英雄譚読んだり出来る。


ミカド村のいたころはぐっすり眠れていたのに、今では明日が待ち遠しくてぐっすり眠ることができない。


アンネットさんの家に来たのが今日。

初仕事は終わり今日はもう寝ようとしていた直前にあることを思い出した。


「そろそろリクにもらったあの重たい荷物を開けようかな?」


普通の人なら道端に捨てるレベルの重みがある。

鍛えてる人間ならともかく一回も筋トレをしたことないのですごい負担だった。


僕はとても性格がいいとよく言われていた。

自分ではそんなことは一回も思ったことはないが周りの人達はよく言ったくれた。

実際、村の中でもグループの中心にいつもいた。


だからリクからもらった荷物も重いとは思ったものの不満だとは思ってはいない。


一つ欠点があるとすれば、何でもできる。と僕自身が思っていることだろう。

実際、ミカド村ではそうだった。

なので、僕は努力というものをしたことがない。する必要もなかった。


「何が入っているのかな?」


少し中身に期待しながらゆっくりと開けてみた。


はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?


思わず叫びそうになってしまった自分の口を急いで塞ぎ、そして何も見なかったことにしようと思い、荷物を閉めかけようとしたとき。


「それはないな。アルさんよぉー」


現実逃避しかけていた僕に喋りかけたのは荷物の中からひょっこりと顔を出したリクだった。


「どうしてリクがここにいるんだよ?」


そう僕がリクに問いかけるとリクはにんまりと笑う。


「アルは俺がいないと何も出来ないだろう?」


絶句してしまった。いまだに理解が追い付かない。


リクの言っていることは一理はある。

リクとは家が近く、同い年だったため物心がついた時からいつも一緒にいた。

リクと僕の性格は正反対で、僕は本能型だったがリクは理性型。

僕とリクは歯車が噛み合うように相性が良かった。僕は大の親友と思えるほどである。


実際、僕は唯一村の中で一番になれなかったものがあった。それは知識量だ。

英雄譚ばかり読んでいる僕と違ってリクはできるだけ多くの書物に手をつけている。

また努力というものを知らない僕が勉強をしているはずもない。

それで勝てるわけがない。

なので負けず嫌いな僕自身も割り切っていた。


「いやいやいや、そんなことはどうでもいいんだよ。なんで荷物の中にいるんだよ?」


と僕が聞くと一瞬リクが怒ったように見えたような気がした。


しかし自分の発言に怒られようなことは言ってなし、ただの見間違えだろうと思い納得した。

それからリクはだるそうに荷物の中から出てきてこうなった経緯を話してくれた。

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