朝、俺はアリッサさんとオルガさんに、ちょっと出かけてくることを伝えた。
夕方には戻ってきてね、とアリッサさんに言われた。
子供か?
その内『あまり遠くに行くんじゃないよ』なんて言い出さないよね?
それから俺は城門の外に出た。
目指すのはドゥメルグ公爵が言っていた、国が所有していない場所。
『アスケル山脈方面に進み、街から歩いて2時間くらいのところ』だ。
街から歩いて2時間くらいなら、俺の身体能力なら走れば30分かからない。
ここら辺から森に入ればいいのか。
ドゥメルグ公爵から聞いたことを思い出している。
『アスケル山脈方面に進む分には、いくらでも好きにして構わない』と。
では頂こう!
ストレージ収容!
街道から目的地に向け目の前の樹林や土を、ストレージに収容し道を作っていく。
道幅は馬車が二台通れて、なおかつ人が左右に一人立てるくらいの幅にした。
街道から入り目的地に着いた。
【スキル】エリアサーチ発動!
広範囲に鑑定魔法を使って、魔物の魔石を捜す。
そして魔石=魔物が居るということになる。
だから魔物を捜したり、逃げたりするには丁度いスキルだ。
だけど変だ。
魔物の数が以前よりも少ない気がする。
まあ、いいか。
まずは場所造りだからだ。
最初は分からないから、広さは野球のグラウンド10面分くらいでいいか?
四角く整地された土地の奥に収容した土で地面を均し、木、鉱物、岩を使い建物を土地の中心の奥に創った。
アレン領の本館と同じ構造にした。
正面は大きな階段があり、左右はフロアになっている。
一階はホール、大階段、食堂、客間、居間、台所、洗濯場、風呂場。
二階、三階は部屋が七部屋ずつと各階にもトイレが付いている。
じょう水場を創り台所に配管を引き、じょう水場経由で川に流れるようになった。
これでろ過ができ排水、給水は魔道具で行う。
同時に河川から村に水路を引き、飲み水や生活水に使えるようにしておいた。
照明は全て魔道具に『ライト』の魔法を付与し、屋根には『ソーラーパネル』ならぬ『魔素吸収パネル』を設置した。
大気中にある魔素を吸収し電力代わりにすることができる。
氷と風と火の術式を付与し冷蔵庫やエアコンも作った。
後は住みながら順番に揃えていくしかないか。
城壁は収納した木々を使い奥行き1m、高さ10mくらいにした。
このくらいあれば、魔物対策にもなるだろう。
門も鉱石で創り片側の幅も2m、高3mくらいで創った。
りっぱな門構えだね。
そしてここから開墾だ。
畑予定地に向い両手を広げる。
ストレージで目の前の土を膝くらいの深さまで収納。
両腕を広げた三倍くらいのところまで横に範囲を広げる。
今度はそのまま前に進んで行き10mくらい進み止める。
ストレージの中で軟らかく砕き、土を元の高さまで埋めていく。
これを繰り返していくだけだ。
それから俺は、開墾をしてから街に戻った。
昼頃、俺が屋敷に帰ると、来客が来ていると門番さんが言う。
門の中には立派な馬車が止まっていた。
その馬車には見たことのある紋章が付いていた。
そして護衛の騎士らしき人もいる。
あれ?ファイネン公爵家の紋章だよね?
観光かな?
本館に入るとアリッサさんが待っていた。
「エリアス君、どこに行っていたの」
「うん、ちょっとね」
「お客様が来ているわ」
「ファイネン公爵様ですか?何のようでしょう?」
「分からないわ。わざわざ遠くから来てくれたのよ」
「そうですね、会いましょうか」
俺はの客間のドアを開けた。
するとノエルさんの顔が見え、手前のソファにはファイネン公爵が座っていた。
ノエルさんが相手をしていてくれたんだ。
助かります。
「いらっしゃいませ、ファイネン公爵様」
「やあエリアス君、いや『愛し子』様とお呼びした方が良いかな」
「エリアスでいいですよ」
横を見ると奥様のナタリア様と娘のエリザ様も一緒だ。
「今日はどうされたのでしょうか?観光でしょうか」
「あぁ、それもある。アレン領は素晴らしい。食文化が発展し人がたくさん訪れる。我が領や他の領からも人が訪れているようだ」
「そうみたいですね」
「それから調味料だ。醤油タレは我が領でも、この短時間で料理には欠かせないものになっている」
「ありがとうございます。では我が施設も楽しんでいってください」
「ああ、そうさせてもらおう。また夜に会おう」
い、いえ、営業は15時までなので夜は…。
するとノエルさんが頷く。
「分かりました。お話しはその時に伺いましょう。ではこちらにどうぞ」
そうノエルさんに言われ、ファイネン公爵達は施設の方に歩いて行った。
門の中にいる護衛の人達は、どうするのかな?
あのまま?
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