【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

想像した事を実現できる創生魔法。現代知識を使い生産チートを目指します。
ジェルミ
ジェルミ

第86話 マヨネーズ

公開日時: 2022年3月16日(水) 11:57
文字数:2,792

 朝になり俺は1階の居間に降りて行った。

「おはよ!」

 オルガさんが先に起きていた。

「アリッサさんは?」

 オルガさんに聞かれた。

「まだ今日は起きないそうです」

「そ、そうだろうな、やっぱりアリッサでも無理だったか…」

 何が無理だったのだろうか?

 俺は首を傾げた。


「今日はゆっくり寝かせてあげようよ」

 オルガさんにそう言われ、俺は頷いた。

 昨夜アリッサさんはあんなに元気だったのに、いったいどうしたのだろう?


「さあ、今日は2人で朝食を食べに行こう」

「そうですね、オルガさん」




 俺達は屋敷を出て『なごみ亭』に向かった。

「いらっしゃいませ~!!」

 今朝も『なごみ亭』の看板娘、アンナちゃんに迎えられる。


「エリアスお兄ちゃん。オルガおねえちゃん、いらっしゃい!!」

「おはよう、アンナちゃん。2人前頼むね!」

「かしこまりました~」

 そう言うとアンナちゃんは、厨房に向ってオーダーを伝える。

「おとうさん、2人前追加ね!」

「あいよ~」

 奥からビルさんの声が聞こえた。


 今日は醤油ダレの唐揚げだった。

 お皿に千切りにしたキャベツと、唐揚げがのっている。

 そしてキャベツには、ソースをたっぷりかけて食べるのが美味しい。

 肉は貴重だから量はないけど、キャベツがその分あるからこれでお腹が膨れる。

 そして他のお客も食事の量に、満足しているようだ。


 でも俺には足りないと思う物がある。

 それは卵だ。

 しかし養鶏していないから卵が手に入らない。

 森で鳥を捕まえて養鶏場をやるのも良いが、俺達だけでは手が足りなくなる。

 自分達だけで食べる分くらいなら、森に行けばラプタという卵を産む鳥がいる。

 試しに何匹か捕まえてみるか。



 そして生で野菜を食べるなら、やっぱりあれが欲しい。

 でも卵が無い。

 どうすれば? 

 俺は【スキル】世界の予備知識で調べた。

 目の前に検索画面が現れ、パソコンのように調べ物が出来る便利なスキルだ。


 おぉ、これは?!

 これなら作れる!!

「オルガさん」

「なんだい、エリアス」

「市場に行くのを付き合ってもらえませんか?」

「いいよ、お前とならどこでもいくさ」

「また、そんな事を言って。大げさですよ」

 俺達は立ち上がり『なごみ亭』を出て、そのまま市場に向かった。




「なにを買うんだい、エリアス?」

「大豆です」

「大豆?何に使うのさ」

「まあ、見ていてください」

 俺はどうせ買うならと店先に行き、大袋に5つ50kgくらいの大豆を買った。

 ついでに小麦、大麦、小豆も買った。

「そんなにどうするのさ」

 オルガさんは呆れた顔をしている。




 そして屋敷に戻って来た。

 するとアリッサさんが起きて来ていた。

 

「アリッサさん、大丈夫ですか?」

「もう大丈夫よ、心配しないで。ちょっと話があるのオルガさん、いいかしら?」

「なんだい、私に話しだなんて」

 2人は3階に上がって行った。


 俺は仕方なく1階の厨房に向った。




 私はオルガを部屋に招いた。

「どういう事よ、オルガさん。いいえ今日からオルガと呼ぶわ」

「それなら私もアリッサと呼ばせてもらうわ。何の事かしら?」

「しらばっくれないでよ、夜のことよ、よ・る・の・こ・と!!」

「昨夜はお楽しみでしたね。それを聞いてほしいのかな?」

「そうじゃなくてエリアス君のことよ。聞いてないわよ、あんなに…」

「あんなに?なんなのかな?」

「あっ、それは…、ゴニョ、ゴニョ、ゴニョ」


「なに?はっきり言ってくれないと、わからないんだけど?」

「そっ、それは…」

 モジ、モジ、モジ、

「な~にかな?」

「た、体力が持たない…」

「はい?」

「体力が持たないわ」

「あっ、やっぱり、あの疾風のアリッサでも駄目だったんだ」

「知っていたの?」

「もちろんよ。で?なにが言いたいのかしら?」

「そう言われても。新しい仲間を探して分散させるしかないわね」

「そうね、口が堅くてエリアス君を愛してくれる人をね」

「そんな人が居るかしら?」

「逆に候補が多くて困りそうだけどね」





 アリッサさん達は話があるみたいだ。

 俺は厨房の中に入り、市場で買った大豆をストレージから出す。

 そして水に浸す。

 それから適度なところで磨り潰し、水を加えて煮つめ汁を濾《こ》す作業をする。

 これで『豆乳』が出来上がった。


 ボールに豆乳、植物油、酢が無いのでレモン汁、そして塩を少し入れた。


 後はそれを混ぜるだけだ。

 泡立て器を創りかき混ぜるのも良いが、効率を考えて蓋付きの入物を創った。

 その中に材料を入れ、何回かシェイクすればよく混ざる。

 これなら泡立て器と違い、手が疲れないだろう。


 そして出来上がった!!

 何かって??

『マヨネーズ』さ。


 この世界では鳥を養鶏していないため、卵は手に入りずらい。

 鳥を飼い個人で使う分くらいならいいが、食堂で使うとなると量が必要となる。

 そのため手に入りやすい大豆にして、豆乳マヨネーズにしたんだ。


 豆乳にも卵と同じ成分が含まれており、マヨネーズが作れる。

 豆乳特有のクセもほとんどなく使いやすい。

 卵を使わないのでカロリーもオフに!

 何度が分量を調節し『マヨネーズ』が完成した!!



 オルガさん達が降りて来た。

 話が終わったみたいだ。

「出かけますよ、2人共」

「どこにいくの?」

「『なごみ亭』です」




 そして俺達3人は『なごみ亭』にやって来た。

「すみませ~ん」

「あれ?どうしたのエリアス君」

 奥さんのサリーさんが出て来た。

「実はビルさんに、見て頂きたいのもがありまして」

「なにかしら?ちょっと待ってってね」

 そうサリーさんは言うと、厨房からビルさんを呼んできてくれた。


「なんだい、俺に用があるのかい」

「新しい調味料を開発しようと思いまして」

「「「 調味料を開発?? 」」」

 ビルさん達やオルガさんが驚いている。


味元あじげん、ソース、醤油という調味料はできました。でもまだ足りません」

「そうかな、それだけでも調理の幅が広がったが…」

「ビルさん、現状に満足せずに次を目指しましょう」

「次だって?」

「厨房をお借りしても良いでしょうか?」

「もちろんだ」


 俺達は厨房の中に入った。

 レタス、きゅうり、人参、キャベツを適当な大きさに切り皿に盛る。 

 そしてマヨネーズを生野菜かける。

「なんだい、それは?」

「新しい調味料マヨネーズです。ビルさん」


「「「 マヨネーズ?! 」」」


「さあ、みなさんで食べてみてください」

「どれ、どれ」

 アンナちゃん、サリーさん、ビルさん。

 アリッサさん、オルガさんがフォークで野菜を取る。


〈〈〈〈〈 美味しい~!! 〉〉〉〉〉

 みんなの声が揃った。


「こんなに生野菜が美味しいなんて」


「肉にかけても美味しいですよ」

 生野菜をサイドメニューとして、店にも出すことを提案した。


「さっそく今日から店に出してみよう。卸してくれるよなエリアス君」

「もちろんですよ、ビルさん」




 こうしてマヨネーズの納入が決まった。

 数年後、アレン領はマヨネーズ、カレーの香辛料、醤油(蒲焼)タレ。

 そしてカツや、から揚げなどの揚げ物料理で賑わう豊かな街になった。

 それぞれの店で料理は工夫され、たくさんの品数になっていく。


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