【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

想像した事を実現できる創生魔法。現代知識を使い生産チートを目指します。
ジェルミ
ジェルミ

第122話 お試し期間

公開日時: 2022年11月23日(水) 15:10
文字数:1,890

 施設は15時で閉店して俺達はまた客間に集まりソファに座っている。

 ソファにはファイネン公爵、奥様のナタリア様と娘のエリザ様。

 俺達側は俺、アリッサさん、オルガさん、ノエルさんだ。


「とてもいいお湯だった」

「こんな凄い施設は王都にもございません」

 ファイネン公爵が言えば、奥様のナタリア様も褒めてくれる。

「特にお茶が美味しかったです。果物も甘くて美味しくて、夢のようです」

 10歳のエリザ様も大喜びだ。


「実はエリアス君。君に頼みがあるのだが…」

「頼みですか、なんでしょうか?」

 なにか、悪い予感しかしない。


「娘のエリザをもらってくれないか?」

「どうぞ、よろしくお願いいたします」

 エリザ様も頭を下げる。

 オルガさんを見ると、嫌な顔をしている。


「前なら嫁は(夜の件があるから)4~5人と思っていたけど、今はノエルがいるから(体力があるから)いまのままで良いわ」

 オルガさんが今のままで良いと言う。


「そ、そんな…」

 エリザ様、いいやもうエリザちゃんでいいや。

 エリザちゃんが哀しそうな顔をする。

 ノエルさんも複雑そうだ。


 しかしエリザちゃんも負けてはいない。

「エリアス様は下は9歳(奴隷のアディちゃん)から、上は40代半ば(アバンス商会のオルエッタさん)までの幅持ちだと伺いました」

 エリザちゃん、なんてことを言うのですか?

 

「エリアス君の嫁になるのは大変なことですよ。親にも言えないことが出来るかもしれません。それがあなたに守れますか?」

「もちろんです!守りますアリッサお姉さま!!」

 アリッサさんはエリザちゃんに、お姉さまと言われ嬉しそうな顔をしている。


「わかりました!この私がエリザお嬢様の、いいえエリザの面倒をみましょう!」

「アリッサお姉さま~!!」

「おぁ、それはめでたい。さっそく帰って用意をせねば」

 ファイネン公爵は、とても嬉しそうだ。

 もしかしたら今後も俺の意思とは関係なく、こんな感じで嫁が増えていくのか?

 それをはたしてハーレムと呼ぶのだろうか?


 そして後日また嫁入り道具を持ってやってくると言う。

 結婚し一緒に住むのは成人の15歳になってからのはずだが…。

 なんでも新しくできた制度で今回は『お試し』期間?という名目らしい。

 貴族は恋愛期間が無い。

 だから事前に、旨くやって行けるのか暮らして試すのだと言う。

 なんだそれは?


 しかし俺達は貴族ではないので、侍女を付けるなら1人にしてほしい事を頼んだ。

 すると幼い頃からエリザちゃんを、面倒をみている侍女が居ると言う。

 一緒に来ていた侍女のネリーさんを紹介された。

 アレン領に来るのは、その人にするようだ。


 ファイネン公爵家族は、今夜は宿屋に泊り明日発つと言う。

 仕方が無いから結納金代わりに魔道具を送ることにした。

 明日、旅発つ時に寄ってもらうように話した。


 

 ファイネン公爵達が帰った後、アリッサさんになぜ嫁に貰う事のしたのか聞いた。

 いくら女神ゼクシーの神託が降りても、権力者は取り入ろうとするだろう。

 それなら2大公爵家のファイネン公爵の娘なら露払いになるだろうと。

 これでもう誰も、俺にまとわりつかないだろうと。


 翌朝、ファイネン公爵家族がウォルド領に帰る前に寄ってくれた。

 結納代わりとして冷蔵庫230Lを3台、照明魔道具を4台、魔道コンロを3台送った。

 そして運送にはアバンス商会で始めたばかりの、『黒猫の宅配便』を使い運んでもらう事にした。

 

 後日、ファイネン公爵は自宅に届いた結納品の魔道具と、王都で同じものを見て驚くことになる。

 その値段は合わせると数十億になったからだ。


◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


 ジリヤ国、クリストフ ・ディ・サバイア国王は悔しさのあまり爪を噛んだ。

 なんと『修繕と破壊魔法』を使うエリアスという青年は、女神ゼクシー様の愛し子様だったと言うではないか?!

 王都からアレン領は遠すぎる。

 

 道は愛し子様により広くなり、舗装された。

 だがそれでもすぐに行くことはできない。


 それにファイネン公爵の娘と婚約したと言うではないか?!

 なんと素早いのだ。

 

『何人と言えども干渉、束縛することかなわず。勝手御免とする!』という、神託が降りた以上は我々はこちらから関わり合うことが出来ない。

 私にも孫娘はいる。

 だがそれをエリアスという青年に、勧めれば干渉したことになる。


 しかし以前よりの知り合いなら別だ。

 面識があるもの同士なら干渉したことにはならない。

 なんという抜け目なさだ。


 この国の人々のほとんどがシャルエル教の信徒だ。

 その愛し子様なら、何かがあれば人々は彼について行く事だろう。

 彼が動乱を望めば、この世界は彼の物になるかもしれない。

 

 周りにいる人々が、彼を祭り上げるような人でないことを祈るのみだ。


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