【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

想像した事を実現できる創生魔法。現代知識を使い生産チートを目指します。
ジェルミ
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第48話 アバンス商会会長 アイザック

公開日時: 2021年12月21日(火) 20:26
文字数:2,353

 私の名はアバンス商会会長アイザック・エリントン。

 この領では大手の商会で、ここまでなるには並大抵の努力ではなかった。

  祖父の代から商会をやり、最初は下級貴族からお得意様になって頂いた。

 儲けるためにお金を使い、貴族に取入る。

 そしてその上の爵位の貴族を紹介してもらい、やっと私の代でここまでになった。

 長男も32歳となり、もうそろそ店を任せても良い頃だった。


 そんなある日、黒髪の10~12歳に見える美少年と獣人の女性が来店した。

 少年は麦粉100kg、椎茸と鰹節を購入してくれた。

 すると突然、小麦粉や椎茸、鰹節が消えたのだ。


 マジック・バッグだ!!私は突然のことで少年に詰め寄ってしまった。

 それを止めたのが連れの獣人の女性だった。

 良く見ると女性は、ここら辺では有名なAランクの冒険者だった。


 連れの少年とパーティ組んでおり、しかも少年はEランクだと言う。

 それではあまりにもバランスが悪いと思うが、それでもうまくやっているようだ。


 その意味が分かった。

 少年はこの店の広さと同じくらい入る、マジック・バッグを持っていたからだ。

 獅星龍のオルガと呼ばれるこの獣人は、誰とも組まず1人でやっていると聞く。

 彼女が魔物を倒し彼がマジック・バッグでそれを収納して運ぶ。

 これだけで十分に価値がある。


 今度、王都に買い付けに行く予定があった。

 王都で商品を仕入れ、アレン領で売る。

 都会で流行っている物を仕入れ田舎で売る。

 このやり方だから商売が成り立つのだ。


 王都に店を出せば人口も多く、お客も多くなるだろう。

 だがその分、競争相手も多くやって行けるとは思えない。

 それだから祖父の代から、このやり方を貫いている。

 そしてそれには危険が伴う。


 王都まで天候にもよるが片道6~7日はかかる。

 そこで仕入れれば仕入れるほど、持ち帰る馬車の台数も多くなる。

 そして道中の警備に冒険者が、その分だけ必要になる。

 一つ間違えると経費倒れになる。

 

 だが30坪はあるこの店と同じくらいなら、馬車6台分くらいにはなる。

 彼に頼めば私たちが乗る馬車1台で済むのだ。

 そして護衛も少なくでき、経費削減が出来る。

 さっそく私は彼らに交渉し運搬と護衛を頼んだ。

 

 これは最強の組合わせだ。

 大容量のマジック・バッグを持つ少年と、護衛のAランク冒険者。

 これから彼ら2人は商人や貴族の間で、人気がでるだろう。

 その前に懇意にしてもらえばと思い、相場より依頼料は高めにしておいた。



 だが2人だけでは心もとない。

 少年はEランクだから、護衛にはならないだろうから。

 エリアスと言う少年が薦める、Dランクパーティーの3人組に依頼を出した。

 馬車1台に冒険者4人なら十分だろう。



 それから数日後、今度はエリアスという少年とオルガ様。

 そしてなんと伝説にもなっている、疾風のアリッサ様を連れて彼はやってきた。


 寝具を3人分、買いに来たと言う。

 そしてこれから3人で住むと言う。

 これは先見の目がある。 

 いずれ彼のマジック・バッグのことが世に知れれば、引く手あまたになる。

 今のうちに仲良くなりたいのは、私だけではなかったようだ。


 そして彼は木工加工が得意のようで、家具を見てほしいと言う。

 マジック・バッグから出された家具を見て、私は心を奪われた。

 こんな綺麗な加工に家具は見たことが無い。


 それにこの三面鏡ドレッサーというのは素晴らしい!

 鏡が前と左右の板に三面に付いる。

 その左右に板を出すと前と左右から、髪型が見えるという。

 これは必ず女性に人気がでる予感がした。

 

 貴族でお金を使うのは女性の方だ。

 女性相手の商品は多少、高くても売れる。

 それにこの歪みの無い美しい鏡なら必ず売れるだろう。


 私はさっそく、定期購入の交渉をした。

 4人掛けのテーブル、椅子4つ、タンス、三面鏡ドレッサーと椅子のセット。

 全部で100万で仕入れることにした。

 この3倍で売っても、飛びつく人が多いだろう。

 もっとも三面鏡ドレッサーに、一番最初に飛びついたのは私の妻だったが…。

 これで売れると確信が持てた。



 聞くと宿屋の『なごみ亭』の並びの屋敷跡を購入したと言う。

 あそこは昔からある不良債権で、商業ギルドが売れず持て余していたところだ。

 人が住まなくなった屋敷は老朽化が酷く、草や木々で覆われてしまっている。

 それを刈り家を直して住むには、莫大な費用が掛かる。

 そんな物好きはいないはずだった…。


 それをエリアスという少年が1人で改築したという。

 そんなことはありえない。

 だが不思議と彼なら出来そうな気がした。

 暇があれば見に行こうと思っていたが、時間が無くて確認はしていなかった。

 今日たまたま道で会い、用事の帰りに店に寄ってくれれた。

 その時に高級家具の追加注文をした。

 あぁ、そうだ、失敗した。

 分かっていれば、たくさん高級家具を作ってもらえば良かった。

 王都で売れば3倍以上に売れるはずだ。


 そして今夜は家のお披露目会で、ワイルドボアとビッグベアの肉を振舞ってくれると言う。

 肉はとても貴重で、狩人や冒険者が狩って売るので供給も不安定で高い。

 森に行ったら『たまたま出会い狩った』と軽く言う。

 普通ではない!本当なら生きて帰ってこれない。

 なぜならビッグベア、特にワイルドボアは大掛かりな討伐で倒す魔物だからだ。


 いくらAランクの獅星龍のオルガが一緒でもあり得ない。

 それならエリアスと言う少年も、知られていないだけで戦闘能力が高いのか?!


 その場所は店から近くで、私は供の者を2名連れ徒歩で向かっている。

『なごみ亭』を過ぎそろそろ屋敷跡に近付いたと思うと高い塀が見えて来た。

 塀の向こうには見たことも無い大きな屋敷が…。

 いいや宮殿と言ってもいいほどの建物がそこにそびえ立つ。


 いつの間にこんな建物を…。


 巨大な門の前に着くと、見たことのある男女が門を見上げ立って居た。

 商業ギルドのギルマスのアレック様と受付のノエル様だった。

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