【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

想像した事を実現できる創生魔法。現代知識を使い生産チートを目指します。
ジェルミ
ジェルミ

第34話 商談

公開日時: 2021年11月14日(日) 07:03
文字数:2,605

 俺達3人はアバンス商会に寝具を買いに行った。


 アバンス商会に入ると丁度、アイザックさんがいた。

「これは、これはエリアス様にオルガ様。そ、それに疾風…」

「ウゥッン!!」

 アリッサさんを見て、アイザックさんは驚いたように何かを言おうとした。

 しかしアリッサさんの咳払いが、それを遮った。


「こ、これは冒険者ギルドのアリッサ様まで、本日はどの様なご用件で」

「寝具を3人分、買いに来ました」

 俺が代表して言った。


「3人分でしょうか?」

 アイザックさんが、怪訝そうな顔をしている。

「3人で住むことにしたのさ」

 オルガさんが答える。


「さ、3人でですか?それは、それは…」

 それは驚くだろう。

 冒険者でEランクの俺がAランクのオルガさん、受付のアリッサさんと住むというのだから。


「これは皆様、先見の目がおありで。きっとエリアス様は、いずれ名を残されるでしょう」

 何を言っているんだアイザックさん?

 

「あぁ、そうだな。エリアスは、それまで私達で大事に守って行かないと」

 オルガさんが、力強く言う。

 あぁ、やっぱり。

 俺は誰かに守られないと、やって行けないくらい弱いという事か…。


「そうだ、エリアス。アイザックさんに見てもらいなよ。お前が造った木工家具を」

「木工家具でしょうか?」


「あぁ、こう見えてもエリアスは、木工家具が作れるんだ。ほら家にあるやつと同じものを1セット持っているだろう、エリアス見せてあげて」


 なにを言っているんだオルガさんは?

 仕方なく俺はアイザックさんに背を向け、見えない様にストレージの中で『創生魔法』を使い家具を創って行く。


 ストレージ内で作業をしている時は、パソコン画面の操作と同じになる。

 目の前の空間をタップしながら目を動かしている。

 傍から見たら『壊れた』と思われるからだ。


 俺はベッド、4人掛けのテーブル、椅子4つ、タンス、三面鏡ドレッサーと椅子のセット空いているスペースに出した。


「こ、これは…」

 アイザックさんは、家具に驚いている。


「この家具の表面の艶は、なんという見事さか…」

 家具をストレージ内で創る時に、風魔法で表面をツルツルに削っているんだ。


「そしてこの鏡は…」

 するとアリッサさんが自慢げに話し始める。


「これは三面鏡と言って、鏡が前と左右の板に三面に付いているの。そして左右に板を出すと前と左右から、髪型が見えてとても分かりやすいのよ」


「こ、これをぜひ、私に売ってください!!」

 は?なにを?


「分かりました。交渉はエリアス君の秘書である、私アリッサが対応いたします」

 いつから、俺の秘書に?


「私も入るよ」

 そうオルガさんも言いながら、3人で話始めている。


「この家具を定期的に卸して頂けませんかな?」

「いいですよ、それなら柄を少しずつ変えシリーズ化しましょう」

「良いですね、オルガさん。同じものは無いということね」


「そうよアリッサさん、その方が価値があるでしょ?」

「どのくらいのペースで卸して頂けますかな?3~4ヵ月に1度くらいでしょうか?」

「そうね、エリアスは手先が器用だから、月に1度、いいえ2度でも納入可能よ」

「そ、そうですか、それだと値段に困りますな」

「どういうことかしら」

 アリッサさんが聞く。


「3~4ヵ月に1度と、月に2度では付加価値が違うのです」

「あぁ、数が作れない方が高く売れるのね」

「ええ、その通りです」

「それなら、売れたら次を作るのでも良いわよ」

 オルガさんも、それに答える。


「では、そう致しましょう。それで買取の値段ですが…」

「それはないでしょう!」

「では、これくらいで…」

「あと、もう一声!」

「もう、これが限界ですよ」


「「 わかりました!! 」」


 どうやら買取金額が決まったようだ。


「エリアス君、買取金額が決まったわよ。50万で良いわよね?」

 へ?

 アリッサさんが何事も無いかのように言う。


 そんなにもらえるなら、冒険者辞めようかな…。

 今度の指名依頼は王都まで14日くらいで、1日8,000円だから112,000円だし。

 この世界では人件費が安いから、仕方ないけど。



 そして家具は売れたら次を作って納品することになった。

 

「エリアス様達は、どちらの宿にお泊りで?今後の連絡もありますからな」

「あぁ、それなら明日から宿屋ではなく、屋敷に移るから」

 オルガさんが、すかさず答える。

「屋敷を買われたと?」

「『なごみ亭』の並びの屋敷跡だよ」


「あぁ、あの屋敷跡ですか!土地代は安そうですが、改築費が大変そうですな」

「それが改築は、もう終わったよ」

「ええっ、もう終わったと?」

「エリアスは大工仕事が得意で、1人で改築したのさ」


 1人で?


「そ、それは凄いですな。落ち着かれたら、お邪魔してよろしいでしょうか?」

「もちろんよ、いつでも来てくれよ」


 アバンス商会のアイザックさん、オルガさん、アリッサさん3人の間で、話が進んで行く。


 俺は家具を出してから『へ?』しか、声を出していない。

 翻弄される人生か…、なんて。

 この世界に疎い俺の為に、オルガさんやアリッサさんはよく面倒を見てくれる。

 良い出会いがあって良かった。

 




 アバンス商会で寝具を買い、俺達はアリッサさんとそこで分かれようとした。

「これから2人はどうするのかしら?」

「俺とオルガさんは時間があるので、これから果物採取に行こうと思ってます」

「く、果物?!私も行くわ、弓と防具を着るから私の宿屋まで来て」


 そんなに果物が好きなんだ。

「でもアリッサさん大丈夫ですか?森に行くんですよ」

「ギルド職員を侮らないで、みんなAランクレベルだから」

「そ、そうなんですか?凄い!」

 冒険者ギルドに勤めていれば荒くれ者も多い。

 だから受付をするにもレベルが高くないと出来ないのか。

 凄いな!


 それならいいだろうと思い、アリッサさんの泊っている宿屋に寄った。

 すると宿屋と言うより、立派な高級ホテルの様なところだった。


「冒険者ギルドは、よほど給料が良いんだな」

 オルガさんがアリッサさんに言う。

「昔、貯めたお金であって、そのお金で泊っているのよ」

「へ~、豪華なもんだな」

「まあね。じゃあ、ここで少し待っててね」

 そう言われ俺達はロビーで待つことにした。


 しかしアリッサさんはスタイルが良い。

 身長は163~5cmくらいかな。

 そして胸が…。



 しばらくすると銀色の髪を束ねた、アリッサさんが戻って来た。

 レーザーアーマーを着て、やや大ぶりな弓を持ちいかにもエルフて感じだ。


「お待たせ!さあ行きましょうか!」


 そういうアリッサさんは、とても凛々しく見えた。


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