翌日、孤児院の子供たちがやってきた。
やってきたのは先日の男の子4人に女の子2人だ。
ランド14歳 男
ルチオ 13歳 男
カナン13歳 男
トニーノ12歳 男
カロリーナ12歳 女
イヴォンヌ 13歳 女
「今日から宜しくお願いします」
ランド少年が代表して挨拶をした。
さすが年長ですね。
さっそくアルバンさん達の家として使っている作業場に案内した。
アルバンさん親子に子供達を紹介をする。
「今日からこの子達に調味料やシャンプー、ボディソープを作ってもらいます」
「 よろしくお願いいたします!! 」
子供達は元気に挨拶をする。
子供達が作業に慣れてきたら、もう1棟作業場を作ろう。
アルバンさん達親子が住んでいるこの家で、子供達6人増えて作業をするのもね。
子供達は何か言われてきたのか最初は緊張した様子だった。
しかし段々と仕事にも慣れてきたようだ。
俺は子供達をアルバンさん親子に任せ作業場を出て屋敷に戻った。
居間に居たアリッサさんと話しドゥメルグ公爵のところに行くことにした。
いくら女神ゼクシーの神託が降りたと言え、そのままは良くないと思ったからだ。
すると今度はオルガさんが付いてくると言う。
家に居るのも飽きたのかな?
代わりにノエルさんが屋敷に残り、温泉施設の管理をしてくれることになった。
俺はアリッサさんと、オルガさんを連れてドゥメルグ公爵家に向かった。
対応に出たメイドさんに名前を名乗り、取り次いでもらった。
すると執事のアルマンさんが出て来て部屋に案内された。
少し待たされた後にドゥメルグ公爵が入ってきた。
部屋に入るなり膝こうとする、ドゥメルグ公爵を俺は止めた。
「やめてください公爵様。どうしたんですか?」
「そうはいかない。女神の『愛し子』様なら立場は国王より上だからね」
「俺は俺です。普通に接してください」
「わ、わかった。助かるよ」
「先日のお話ですが…」
「あれは無かったことにする」
「アリッサさんのこともですか?」
「もちろんだ、『愛し子』様の奥様だからね」
「私も奥様なんだけど」
「こちらの女性は?」
「妻のオルガです」
「あなたが獅星龍のオルガさんですね。お噂は聞いています」
「今日は付いてくると言いまして」
「そうか、でもこれからエリアス君の周りは大きく変わるだろう」
「『愛し子』でも俺はなにも変わりません」
「君はそう思っても周りは放っておかないだろう。女神の神託にある干渉、拘束かなわずなら周りは何もできないだろう。神罰を受けたくないからね。それに女神から勝手御免がおりたんだ。この国でいやこの世界で何をしても咎められることはない」
「そんな気はありません。俺は嫁達とささやかに生きていければいいので」
「ささやかにか。では他に望むことは無いのかい?」
「お聞きしたいことがあります。アスケルの森に村を作りたいのです」
「村だと。村は街で暮らせない人たちが集まり、開拓し造るものだ。魔物や魔獣が出る森の中で、とても苦しくそして開拓を条件に畑を耕し税として、穀物や野菜の一部を領主に納める。それが開拓だが、なぜ?」
「はい、干渉されない場所を作りたいのです」
「だから村を自分で造ると言うのか?」
「はい、そうです」
「場所の希望はあるのかね?」
「アレンの街から東側の、アスケル山脈方面に作れればと思います」
「な、アスケル山脈か?!本気で言っているのか?誰も手を出さない魔物の森を」
「はい、考えがあります」
「そうか、それならもう何も言わないよ。あそこはどこの国の領土でもなく、開拓する予定もないから特に構わない。いま地図を持ってくる」
執事のアルマンとドゥメルグ公爵は立ち上がり部屋を出た。
そして何やら大きい紙を巻いたものを持ってきた。
アレンの街の地図を広げ村を作る場所を決めた。
「村人は何人くらいの予定なんだ?」
「今のところは俺と妻の4人です」
「4人だと?それ何が出来るんだね?」
「それは気になさらないでください。俺が知りたいのは、どこから利用して良いのか、ですから」
「ではここの場所当たりから、アスケル山脈方面に進む分には、いくらでも好きにして構わない」
ドゥメルグ公爵が指差したのは、街から歩いて2時間くらいの所だった。
「ありがとうございます」
すると執事のアルマンさんが話始める。
「それからエリアス様。先日のドゥメルグ公爵様の態度をお許しください」
「態度?」
「実は王都からエリアス様の人柄を、探るようにと指示が出ておりまして。やむを得ず色々と甘い事や嫌がりそうなことを言ったのです」
「そうですか。意図的にこちらを、怒らそうとしているのかと思ってはおりました」
「お詫びと言っては何だが、我が家の紋章が入ったメダルをあげよう。これを見せれば、エリアス君は我が家と関わりがある者だとわかり、誰も手を出さないだろう」
ドゥメルグ公爵がメダルを差し出してきた。
あれ?『愛し子』の時点でもう手を出さないのでは?
それは表面上は、てことなのかな?
「それならメダルは王都に行った際に、ファイネン公爵様から頂いておりますから」
「な、なんだと?ファイネン公爵め、目ざとい…」
ドゥメルグ公爵が小さな声で呟いた。
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