【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

想像した事を実現できる創生魔法。現代知識を使い生産チートを目指します。
ジェルミ
ジェルミ

第54話 スティルワイン

公開日時: 2021年12月23日(木) 15:00
文字数:2,103

 モグ、モグ、モグ、

「美味しい!!」

「本当ね!」

「内臓肉も美味しいわ!!」


 みんな口を手を忙しそうに動かしている。


「ワイルドボアのお肉もありますから食べてくださいね」

 俺はそう言うと部位ごとに肉を皿に分けた。


「エリアス、どうして肉を更に分けているんだ?」

 オルガさんが不思議そうに聞いてくる。

「肉が付いていた場所によって、肉の美味しさが違うからです」

「そう言うんものなのか?」


「例えばこれは適度に脂肪がのった肩肉のロースです。そして適度な脂が付いているアバラ肉のカルビです」

「そんなに違うのかい」

「えぇ、食べてみてください」


 ジュ、ジュ、ジュ~~。


「本当だエリアス。柔らかさと肉の旨味が全然違う!!」

「そうでしょうオルガさん。そして次はこれです」

 そう言うと俺は串に肉とタマネギや長ネギを刺した串を出した。

「なんだいそれは?」

 商業ギルドのアレックさんが珍しそうに聞いてくる。


「こうして肉と野菜を一緒に食べるのです」

「ほう、それはいいな。屋台で肉だけだと高いが、野菜を間に挟めばお腹も膨れ安く済みそうだ」


 この世界では酪農が無い。

 肉は狩人や冒険者が森に行き、魔物や野獣を毎日狩り食卓に届ける。

 そのためどうしても割高になる。


「そう言えば、喉が渇いて来たわ」

 商業ギルドのノエルさんがポツリと言う。

 おぉ、それは気付かなかった。

 飲み物無しで、塩や胡椒の肉を食べ続けるのはきつい。



 この世界では水も貴重だ。

 街中では井戸しか水が汲めず、近くになければ水は飲めない。

 その為、飲むときは水より日持ちが良い、ワインが水代わりになっている。


「すみません、これは気づきませんでした」


 俺はストレージの中にある赤ブドウを時空間魔法で時間を加速させた。

 そしてアルコール発酵させ赤ワインを創った。

 ストレージ内は時空間魔法で時間が停止している。

 だが時空間魔法なので時間を、加速させることもできる。

 しかし使い方としては、こんな地味な使い方しかできないのだが。


 俺はストレージの中の『創生魔法』で、ワイングラスを人数分だけ創り手渡した。

「さあ、みなさん。飲んでください」

 俺はストレージからワインを樽で出した。


 すると手渡されたガラスのワイングラスを、驚いように凝視している人達がいる。

 商業ギルドのノエルさん達と、アバンス商会のアイザックさん達だ。


「こ…「はい、エリアス君の秘書、私アリッサが対応いたします」

 一言言っただけなのに、アリッサさんが出て来た。



 みんなそれぞれ樽から、ワインを注ぎ飲み始める。

「美味しい~!」

「口当たりが最高」

「これは赤ブドウですね。コクがあって美味しいです!!」

 ノエルさんが美味しそうに飲んでいる。


「この厚みがある、まろやかな風味はいったい」

 アイザックさんが驚いている。

「エリアス様、この赤ワインは何年物なのでしょうか?」

 赤ワインは長期熟成ではないから…。


「2年ものです」

「2年ものですか?!それにしてはコクがあって美味しいですな」

「喜んで頂けてよかったです」

「では、これをどこで手に入れられたのでしょうか?」

 はっ?それを聞く?買ったとはいえないな。

 どこでと言われたら困るから。


「俺が趣味で作ったのです」

「ほう、エリアス様がですか?!それは素晴らしい!!」

 アイザックさんはしきりに感心している。

「エリアスがワインを作っているなんて聞いてないぞ!!」

 オルガさんが聞いてくる。

 言ってません、俺も今日初めてです。


「まさかアリッサさんの為に内緒にしていたのかな?」

 ま、まさか。

「まあ、私の為に。嬉しい~」

 アリッサさんは頬に両手を当て、クネクネしている。



「このワインの名前はあるのでしょうか?」

 アイザックさんが聞いてくる。

 名前?たしか赤ワインは…。


「スティルワインです(泡立たない非発泡性の、ブドウの果汁を発酵させたお酒)」

「平穏《スティル》ワインですと?!なんとお二人の門出に相応しい名前なのでしょうか」

「も、もう、エ、エリアス君たら~」


 クネクネ、クネクネ、クネクネ、クネクネ

    クネクネ、クネクネ、クネクネ、クネクネ

 アリッサさんがクネクネしながら、どこかに行きそうだ。


 貴方の為に造ったワインです、と言われたら女性はどんな気持ちだろう。



「この赤ワインを我が…「はい、ここからは私アリッサが対応いたします」

「やはり、そうですか…」

「では。ご希望の方は順番にどうぞ!あっ、押さないで!!押さないでください」

 アリッサさんが1人で何やら寸劇を始めている。




「私は冷蔵庫をお願いします」

 アバンス商会のアイザックさんと、商業ギルドのアレックさんも欲しいと言う。


 結局、売り出すものは冷蔵庫3種、90L、150L、230L。

 照明の魔道具は天井に付ける蛍光灯タイプの物を。

 ポールタイプの物は地面に埋め込むので、面倒なのでお断りした。

 そして魔道コンロだ。


 一般的な魔道具は高価な上に、動力になる魔石の消費が激しい。

 俺の魔道具は目的に必要な刻印に魔力が込めてあり、従来の物より魔石の消費が30%も少なくなるエコタイプだ。


 さすがにこの屋敷のような設備はまだ売り出せない。


 それからワイングラスは数があった方が良いと思い24個。

 ワイン自体は売るほど量が無いので、販売しないことにした。

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