【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

想像した事を実現できる創生魔法。現代知識を使い生産チートを目指します。
ジェルミ
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第63話 冒険者ギルド長パウルの憂鬱

公開日時: 2021年12月29日(水) 07:30
文字数:2,585

 私の名は冒険者ギルド長パウル。

 若い頃はパーティーを組み冒険者をやっていた。

 魔法も使えたがどちらかというと、剣の方がむいており剣士になった。

 そして35歳の時、Sランクになった。

 それからは魔物討伐や護衛依頼をこなす日々だった。



 そんなある日、前のギルド長が引退した。

 そして実績があった私が次のギルドマスターになった。

 年齢的にもキツイものがあり、引退を考えていた時だった。

 パーティーは解散、私はギルド長になった。




 150年前、ドラゴンが街を襲った。

 街を襲ったドラゴン相手に、騎士団は勇敢に戦った。

 だがドラゴン相手では歯が立たなかった。


 そんな時だった。

 異種族と人族からは、敬遠されていた種族が力を貸してくれた。

 どこからか現れ勇敢にドラゴンと戦い追い払ってくれた。

 そして5人は、この領の英雄となった。

 

 その内の巨人族ジャイアント天使族エンジェルは、戦いの中で命を落とした。

 生き残ったのはラミア族、森妖精エルフ小人族ホビット

 気まぐれな小人族ホビットは、戦いの後に姿を消した。

 ラミア族、森妖精エルフは、その当時できたばかりの冒険者ギルドの庇護下に入った。



 人族は人口が大きく、どの土地でも一大勢力だ。

 異種族と言われる彼らは、能力が高いほど寿命が長く繁殖力が弱い。


 だから数には負けてしまう。

 そして見た目が人族の容姿から、離れている種族ほど人の中では生きずらい。

 

 そして人族に容姿近いものは、国の庇護下に入り生活を守られる。

 その代償として要人警護や、諜報活動をするエージェントになる。


 どの国でも国を統括するため、影で色んな組織が暗躍している。

 この領で言えばギルドと言われる冒険者、商業、鍛冶、建築、魔術師、錬金術師などがそうだ。


 考えてみれば分かることだ。

 国全土に広がり小さな村にもギルドは必ず存在する。

 そんな大きな組織を一団体が行えるわけがない。


 彼らは人々に仕事を与え管理し、暴動など起きない様に情報収集を行う。

 街の噂話などを集め人の動きや、国にあだなす者をいち早く見つけるのが仕事だ。


 彼らは能力が高く寿命も長いからその分、長く役に立ってくれている。

 どの国も同じような組合を作り、同じように人々を裏から管理している。

 

 受付のアリッサは、そのドラゴン大戦で生き残つた5英雄の一人だった。

 風魔法が得意で、動きが早く疾風のアリッサとあざながつくほどだった。



〇月▢日

 そんなある日、受付のアリッサが面白い少年が居ると楽しそうに話をしていた。

 アリッサは面食いだから、美少年かな?

 

 数日経ち、その少年が他のパーティーと協力してトロールを倒したと言う。

 それは嬉しそうだった。

 どうせ倒したのは他のパーティーだろう。

 その少年もいい経験になったと思う。


 そして今度は冒険者を助けるために、バグベアを単独で立ち向かい倒したと言う。

 しかも助けたのは獅星龍のオルガで、少年はFランクだという。

 どこかで剣術でも習っていたのかもしれない。

 しかしあまりにも軽はずみだ。

 見ず知らずの他人のために、バグベアに立ち向かうとは。


 しかもバグベアが収納できるマジック・バッグを持っていると言っていた。

 それが本当なら、それだけで一財産築ける。

 運び屋として十分、生活できるはずだ。

 同時にそれを狙う者も出てくるだろう。




〇月△日

 今度はなんだ?

 なに、ジャムをもらっただと?!

 しかもその後、イチジクを皿に山盛りもらい、挙句の果てに『季節ごとに森の果物は違うから、その都度たくさん採ってきます』と言ってくれたんです、だと。


 その少年はエルフキラーなのか?

 本来、森の住人である森妖精エルフには果物は森の恵み宝物なのだ。

 その宝物を山盛りにして差し出すとは。

 金貨を目の前に山積みにして差し出されたら、女はどう思うか?

 それと同じことをしたと言う。


 プロポーズをしているのと同じだぞ!!

 しかしアリッサがエルフとは知らないはず。

 では無意識にやっているのか?

 だとしたら天然のたらしだ。


 砂糖や果物は高級品だ。

 町娘でもそこまでされたら、堕ちるぞ!!




〇月◇日

 アリッサが私のところにやって来て頼みがあると言う。

 エリアスというあの少年を、エージェントとして側で警護したいと言い出した。


 彼は『創生魔法』と言う、自分の望んだものが創れるスキルを持っていると。

 裏路地にあった潰れかけの屋敷が、一晩で豪邸に変ったという。

 信じられない話だ。

 そしてその屋敷の中は、見たことも無い魔道具だらけだという。

 材料さえあれば自分の望んだものが作れる、それが彼のスキル『創生魔法』だと。

 

 それだけではなく光魔法を含めた5属性の魔法を使えるという。

 加えて大容量のマジック・バッグを持っている。


 私は頭を抱えた。

 

 彼は100年、いいや場合によると今後現れることのない逸材かもしれない。

 


 すぐに不干渉ふかんしょう条例を発令した。

 国に属する組織や貴族に対しては、これで彼を守れる。


 だが問題はそれを知らない一般の人々から保護することだ。

 アリッサをエリアス少年の、エージェントに任命した。





 しかし今日アリッサは、とんでもないことを言ってきた。

 冒険者ギルドを辞めたいと。

 

 なぜなのか聞くと昨日、屋敷のお披露目会があったようだ。

 数日前にはなかった3階建ての建物ができ数々の魔道具。

 温泉設備や斬新な遊具の数々。

 

 温泉施設と考えたら、何日でも居たい夢の宿だと。

 そしてお金を出せば魔道具が買える展示即売会会場だと。


 そして彼は世間から、離れた暮らしをしていたらしく常識に疎い。

 秘密にすることも無く、隠すことを知らない。

 だからとても危うく、危険だと。


 

 明日からAランクのオルガと彼は、護衛と運送の仕事を受け王都に向うという。

 その彼らについて行きたいと。

 だが、さすがにそれは許されない。





 トン、トン、

 その時、書斎のドアが叩かれた。


「誰だ?」

「コルネールです」

 受付のコルネールか。


「入れ」

「失礼します」



「どうした、コルネール。今アリッサと話をしているのだが急用か?」

「それが受付にアリッサを訪ねて、エリアス君とオルガさんが来ています」

「まあ、エリアス君達が。どうしたのかしら?」

「エリアス少年が来ているのか?」

「はい、そうです」

 コルネールもギルドのエージェントだ。

 当然、エリアス君のことも知っている。


 だから話の途中なのに、わざわざ知らせに来たのだ。

「ここへ通せ。話をしてみたい」

「ここにですか?」

「あぁ、そうだ」

「わかりました、そう伝え案内します」


 エリアス君というのは、どういう少年なのかこの目で確かめようではないか。

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