【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

想像した事を実現できる創生魔法。現代知識を使い生産チートを目指します。
ジェルミ
ジェルミ

第115話 神託

公開日時: 2022年11月13日(日) 15:10
文字数:2,904

 翌日、俺は一人で女神ゼクシーとの、約束通り大聖堂にやってきた。

 大聖堂に入るとそこにはシスターを含め、教会関係だと思われる人がたくさん犇《ひし》めいていた。


 なんだなんだ、この人の集まりは?


 そんなことを思う間もなく少し高い台の上に乗った、白い服を着たやや小太りの50代の男性が俺を指さして言う。


「『愛し子』様のお越しです。みなさま道を開けてください!」


『愛し子』??


 俺は左右を見て、後ろを見たが、指を指している方向には俺しかいなかった。


 そしてシスター達に促されるまま俺は女神像の前に進んだ。


「エリアス様でいらっしゃいますか?」

 白い服を着た男の人が俺に聞いてきた。


「はい、そうですが。あなたは?」

 俺が返事をするなりその場にいる全員がひれ伏した。


 白い服を着た男の人が更に言う、

「私はこのシャルエル教の大司教ヨハネスと申します 」


「はぁ?」


「昨晩、女神ゼクシー様の神託が300年ぶりに降りました。女神ゼクシー様の『愛し子』が現れると。そして教会は全てを捧げ力になるようにと」


 私に任せて、とはこのことだったんだ。

 逆になにか面倒なことになっていないか?


「みなさん、立ちあがってください…「「あっ、あのお方です。腕時計を授けて頂いたのは!」」(※第7話 教会と腕時計、参照)

 40代くらいのシスターが俺を指さし、大きな声で俺の話を遮る。


「おぉ、ではあの腕時計は神授だったのですね。神授を授かり神託を受けることが出来るとは、この瞬間に立ち会えた私達は果報者です!」

※神授=神から授かること


〈〈〈〈〈 ハハッ!! 〉〉〉〉〉


 全員が今までよりも更に低く首《こうべ》を垂れた。


「俺はそんなことは望んでいません。もう立ち上がってください!」


 そう言ったが立ち上がっては貰えそうにない。

 するといつの間にか白い靄のようなものに包まれた場所にいた。


「やっほ~!」

 残念メガネ女子、女神ゼクシーが現れた。


「かあさん、これはやりすぎですよ。神託だなんて」


「え~、でもいい手だと思ったのに。可愛い息子が困っている時に助けるのが親でしょう?過保護に育てて子供が親離れできなくて、社会に適応出来なくても、普通は親は子供より先に逝くから分からないのよ。親が子供を可愛がるのは親の自己満足だから。結局、子供のためになんて、ならないんだから」


 何、言っているのかな~?


「かあさん。今度は貴族ではなく教会に取り込まれ、祭り上げられてしまいますよ」


「大丈夫、また神託を告げるわ。国や教会が貴方に干渉できない様に。ちょっと待っててね」


〈〈〈〈〈 神託を授ける!エリアス・ドラード・セルベルトは我が可愛い息子である。何人と言えども干渉、束縛することかなわず。勝手御免とする!これを破りしものには神罰が下るであろう! 〉〉〉〉〉


「さ、これで良いわ。ここにいる人達全員と、この国のシャルエル教団の巫女全員に神託を授けたわ。これで王族や高位の貴族にあなたのことが知れ渡るわ。だから手を出そうとする貴族もいないわ。またお菓子の差し入れ待ってるわね!バイバ~イ!」


 そう言われ俺は現世にいつの間にか引き戻されていた。

 よく考えたら俺のことを知らない、高位の貴族にも知れ渡ったということだよね?

 良かったのかな?

 ポンコツなの、かあさん?



 目を開けるとみんな首《こうべ》を垂れうつむいている。

 よく見ると感動で微かに震えている人も居る。

 それはそうだろう、神託なんて普通は授からないから。



「大司教ヨハネス様」

「はい、『愛し子』様」

「エリアスで結構です。今後のことについてお話をしたいのですが」

「分かりました。こちらへどうぞ」


 それから寄宿舎の様なところに案内され、今後のことについて話した。


「ではまず孤児は今、何人いますか」

「はい、赤子を入れば12人です」

「その内12歳以上の子供は何人ですか?」

「6人います」


「孤児院は15歳までしか居られないと聞きました」

「はい、その通りです」

「ではその後はどうなるのでしょうか」

「教会の信徒さんの伝手を頼り、商店やお店に雇って頂いております」

「ではここを出てから先の目途は、大概の人は付くのでしょうか?」

「いいえ、その為に読書きなどを教えておりますが、必ず雇用先が見つかる訳ではありません。なぜなら元々、雇用先が少ないからです」


 やはり、そうか。

 結局、孤児院を出ても就職先はなく、冒険者や犯罪者に落ち朽ち果てていくのか。


 俺は今後のことを考え調味料やシャンプー、ボディソープを作ろうと思っていた。

 しかし問題になるのが人を雇うと、作り方や秘密にしないといけない部分だ。


 そこで目を付けたのが『孤児』だ。

 親に捨てられた子供たちを雇い、仕事をしてもらう。

 孤児院は15歳までしか居られない。

 しかし雇ってくれる当てはない。

 それを我が商会で雇うことで今いる子供達も、就職先の目途がたち将来の不安もなくなるだろう。

 俺はそのことを大司教ヨハネス様に話した。


「エリアス商会の商品を作ってもらいます。特に孤児達にやってもらいたい調味料やシャンプー、ボディソープは作り方を開示しておりません」

「そうなのですか?そんな名誉なことを子供達に」

「えぇ、教会の子供達だから、やってもらいたいのです」

 孤児達は後が無い、だから必死になってやってくれてるだろう。


「そ、それほどまでに愛し子様は、アレン領のシャルエル教徒を必要として頂けるのですか」

 大司教ヨハネス様は、何か違うところにスイッチが入り感動している。

 


「ではその12歳以上の6人にやってもらいましょう。そして勤務評価が良い子には、孤児院を出る15歳過ぎたら私が雇いましょう」

「雇って頂けるのですか。子供達もそれは喜ぶでしょう」

「子供達に会いたいのですが可能でしょうか」

「もちろんです、お待ちください」


 そう言うと大司教ヨハネス様は席を立ち、子供達を連れてきた。


「お待たせいたしました。この者たちになります」

 そう言うと大司教ヨハネス様は子供達を紹介しはじめた。




 男の子4人に女の子2人だった。

 ランド14歳 男

 ルチオ 13歳 男

 カナン13歳 男

 トニーノ12歳 男

 カロリーナ12歳 女

 イヴォンヌ 13歳 女


「君達にやってもらうのは、調味料やシャンプーという化粧品を作る仕事です」


 年長のランドが口を開いた。

「15歳過ぎたら、雇ってもらえると聞いたけど…」

「それは勤務態度次第かな」


〈〈〈〈〈 それなら頑張るよ。俺達 〉〉〉〉〉


「ただし製造方法は秘密厳守だ。漏らした時点でこの話は白紙になる」


「そ、そんなことはさせません、エリアス様」

 おいおい、貴方がやるわけではないでしょう大司教ヨハネス様。

「もし、そんなことをしたら、分かっているな。お前達…」

 ギラリ!!

「 はい!! 」

 子供達は元気に答える。

 ヨハネス様の目がとても怖かった…。




「では明日から俺の屋敷に来て働いてもらえますか。9時くらいで構いませんから」

 俺はそう言うと屋敷の場所を子供達に教えた。


「 頑張って作るぞ!! 」


 成人前の子供を雇うところはあまりない。

 子供達は意気込みが凄い。

 他の子供達やお世話になった教会のために、そんな気持ちもあるのだろう。


 まあ、たくさん作って余ったら、ストレージに入れて置けば良いしね。

 これでエリアス商会の地盤は作れた。

 いつも応援頂いてありがとうございます。

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