【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

想像した事を実現できる創生魔法。現代知識を使い生産チートを目指します。
ジェルミ
ジェルミ

第90話 賓客

公開日時: 2022年3月20日(日) 12:00
文字数:2,062

 次の日の朝が来た。

 俺は今日、オルエッタさんが友達を連れて来ると言うので待っている。

 前日、女性3人が訪ねてくると言うので、どう『もてなし』ていいのか考えた。

 アリッサさんには、お披露目会の時と同じで温泉施設でいいのではと言われた。

 

 なにをソワソワしているの?と逆に不審がられた。

 奥さんが居る時に、知らない女を連れ込むようで、と言った途端に、

「 パコ~~~~ン!! 」

 また昨日渡したハリセンで叩かれた。

 なにか楽しんでませんか、アリッサさん?

 そんなに気に入りましたか、それ?

 そんなものを仕舞うために、腰のマジック・バッグがあるのではありませんよ!!




 すると九時くらいだろうか、ドアノッカーを叩く音がした。

 トンッ、トンッ、トンッ、

 叩くと叩かれた門が反応し、屋敷の中にある受信機から音がする仕組みだ。

 インターフォンも考えたが、来た人が使い方が分からないだろうと思いやめた。

「は~~~い!!」

 聞こえる訳もないのに、俺は屋敷の中で返事をしてしまった。

 そして門に向かう。



 ギィ~~~~~!!

 ドアを開けると馬車が3台止まっている。

  

「エリアス様!」

 見ると先頭の馬車はアバンス商会で、オルエッタさんが顔を出していた。


「ようこそいらっしゃいました!!さあ、どうぞ」

 俺は挨拶をして、庭の中に馬車3台を招き入れた。

 アリッサさんや、オルガさんもやって来た。


「エリアス様、今日はよろしくお願いいたします」

 オルエッタさんと使用人が1人、馬車から降りてくる。

 

 そして2台目、3台目の馬車から、女性が侍女を2人ずつ連れて降りて来た。

「エリアス様、こちらはキャシー・スタンリー子爵夫人とタニア・グランディ伯爵夫人です」

 馬車の2台目、3台目の順に紹介された。

 子爵と伯爵なら、5代爵位の内の3番目と4番目か。

 この世界の貴族の階級は公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の順だ。

 2台目の馬車より、3台目の馬車の作りがいいのはそれが理由か。



「エリアスです。そして妻のアリッサとオルガになります」

 俺は胸に手を当て軽く頭を下げた。

「まあ、獣人が妻だなんて…」

 キャシー子爵夫人が声をあげる。

 40歳くらいの金髪の女性だ。

「招かれておいてそれは失礼ですよ、キャシー子爵夫人」

 そう窘《たしな》めたのはタニア伯爵夫人だ。

 42~43歳の緑の髪のひとだ。

「し、失礼いたしました」


「奥様、お迎えは何時に致しましょうか?」

 タニア伯爵夫人の従者が聞いている。

「そうね…、ここは楽しい場所で、時間を忘れてしまうでしょう、とオルエッタ様から聞いたわ。15時くらいでいいかしら?」

 俺を見てタニア伯爵夫人が聞いてくる。

「えぇ、お好きなだけどうぞ」

「では15時にお迎えにあがります」

 そう言って馬車3台は帰って行った。

 そうだよな、ここで待っているなんて無駄だよな。


「では中をご案内いたしましょう」

 玄関から門近くまで小石を引き、その間に飛び石を置いてある。

 だから玄関までは歩いてもらう事になる。

 俺はそのまま別館の玄関までお客様を案内した。

 

◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


 私はアバンス商会のアイザックの妻、オルエッタ。

 夫からエリアス様のお屋敷の話は、事前に聞いていたけどまさかここまでとは…。

 そして言われたことはエリアス様の件は、あまり詮索しないほうがいいと。

 国の保護下にある、最重要人物の可能性があると言うことだった。


 大きな門のドアノッカーを御者が叩くと、エリアス様が出て来た。

 やっぱりこの屋敷で、間違いなかったのね。


 私は夫から話を聞き、そんな夢の様なお屋敷に行ってみたいと思った。

 王都での話を聞きエリアス様に、会ってみたいと夫にお願いした。

 そしてエリアス様を初めて見た時、あまりの美形に驚いた。

 黒髪、そして黒い瞳なんて勇者伝説くらいしか聞いたことが無い。


 パジャマとタオルケットの話をすると、温泉で使う分くらいなら良いと言われた。

『遊びにくれば差し上げますよ』、そう言われたような気がした。

 だから私が遊びに行きたいと言うと、とても驚いていたが快く承諾してくれた。

 やっぱり来てほしかったのね。

 この、甘えんぼさん。


 紡績店にも綿も卸してもらえることになった。

 そして昨日、エリアス様達が来られた時も、新しい事業の話を主人としていた。

 その晩、主人は若い頃のように目を輝かせて、これからのリヤカーを使った宅配と言う新しい事業を私に語っていたわ。

 エリアス様は我が家にとっては、とても大切な人だと存在だと感じた。



 それから私は普段から仲の良い、キャシー子爵夫人とタニア伯爵夫を誘った。

 彼女達は商売を通じて知り合った。

 貴族だけどそれを超えて、若い頃から子育ての苦労などを話す仲だった。


 馬車3台でエリアス様の屋敷に向かった。

 途中から高い塀が始まり、3mを超す門があった。


 門の中に入ると、更に信じられない光景が。

 三階建ての見たこともないような大豪邸。

 各部屋はガラス張りで、公爵家でもここまで豪華ではない。


 エリアス様に案内され歩く。

 あれ?

 正面の玄関から入らないの?

 奥の建物に向っているわ。

 たしか別館に温泉があると聞いていたわ。

 本館は案内してもらえないのね。

 残念だわ。


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