【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

想像した事を実現できる創生魔法。現代知識を使い生産チートを目指します。
ジェルミ
ジェルミ

第37話 天然

公開日時: 2021年11月20日(土) 07:06
文字数:2,126

「アリッサさん、エリアス君にそんな言い方をしても、逆に喜ばすだけかもよ?」

「えっ?!オルガさん、どういうこと?」


「だってアリッサさんの言い方だと『働かないで贅沢をさせてもらって、たくさんの女の人を抱ける』て聞こえるわよ?」

「そういう風には言っていないけど」


「でもきっとエリアスは『ゆ、夢のような生活だ』と思ったはずよ。ね?エリアス」

「そ、そんなことはないよ(ど、どうしてそれを…)」


「そんなことを考えていたの?この子は!!」

 そう言いながらアリッサさんは、俺の両脇のほっぺを両手で左右に引っ張った。


「イタタタタッ!!痛いよ、アリッサさん」

「あなたのことを心配して言っているのに」

「今度は私が言うわ、アリッサさん」

「お願い、オルガさん」



「いい、エリアス。よく聞いてね。さっきの話は良い方の話よ」

「良い方?」

「そうよ、あなたを人として相手が見てくれた場合ね。でも違う場合もあるわ」

「どう言う風に?」

「例えば薬を食べ物に入れあなたを眠らせてさらったり」

「え?!」

「そしてあなたを思い通りにするために、そうね、奴隷の首輪を付ける」

「奴隷の首輪!」

「そうよ、これを付けられれば、主人に逆らえない」

「逆らうと、どうなるの?」

「逆らえば物凄い激痛が走り、死ぬよりも苦しい思いをするの。だから逆らう事は出来なくなるわ」


「それなら、どうすれば?」

「自分のスキルは見せずに大人しく暮らすのが一番ね。でもそれで生活している以上は無理ね。だから毎日、食べ物には気を付け歩いている時も周りに気を付けないと。

後は1つの街に留まらずに渡り歩くとか。その時はもちらん私もついて行くからね」


「わ、私も一緒よエリアス君」

 アリッサさんもその時は、付いて来てくれるのか嬉しいな。


「後はそうね、後ろ盾を持つことかしら」

「後ろ盾?」

「そう、力のある貴族の庇護下に付くのよ。この国の王とか、公爵とか」

「それならアリッサさんの、良い方の話と変わらないのでは?」

「まあ、そうなるわ。それが嫌なら大人しく暮らすか、絶対的な力を身に付ける事」

「それに逆らえるだけ、強くなれという事ですか?」

「そうよ」


 う~ん。

 特に戦ってスキルアップしたいとは思わないけど。


「さっきの話に戻るけど、ワイルドボアの時になにをしたの?」

「それは俺のスキルなので言えません!」


「それが通ると思っているの?」

「だってスキルなら個人のことだから、詳しくは聞いてこないのでは?」


「もしかしたらそう言えば、イレギュラーな事をしても通ると思ってるの?」

「え?!通らないの?」


「あなた馬鹿なの?!よく今まで生きて来れたわね?ご両親は教えてくれなかったのかしら?駄目だわ、この子は!!」

「まあ、抑えて、抑えて」

 いつの間にかアリッサさんは、オルガさんに押さえられていた。

 そして少し離れたところに引きずられて行く。



 オルガはアリッサの耳元で、小さい声で囁く。

『エリアスはね、両親が他界した後、村の人に土地を狙われ追い出されたのよ』

『えっ?!どう言うこと?』


『村とも言えない名もない山奥で育ったみたい。両親が他界し村の人から『外の世界を見た方がいい』と勧められて村を出たそうよ。村は限られた土地を耕して生活してたから、村の人はその土地狙いだったみたいだわ。エリアスと初めて会った時にそう聞いたわ』

『それじゃあ、余りにも…』

『でも一人では耕せなかった、て言ってたから気にしていないと思うわ』


『人が良い、てこと?』

『閉鎖的な人の少ない村に住んでいたから、世の中のことが分からない。騙されたことが無いから、人を疑う事を知らない、てことよ』

『でも、それでは人の中では辛い思いをするかもしれないわ』

『エリアスは今のままで良い。私が側に居るから、エリアスは変わる必要はないわ』



 オルガさん達が戻って来た。

「何を話していたのですか?」

「女同士は色々あるのよ、ねえアリッサさん」

「えぇ、そうね、オルガさん」

 2人共、距離が縮まったみたいで良かった。


「それからエリアス。実はエリアスを守るためにアリッサさんに頼んで、エージェント付けてもらっていたの」

「エージェントですか?」

「そうよ、国は各地に人を極秘裏に派遣しているの。人の暮らしに溶け込みながら、その領を視察して国に報告をしているの」


「そんな人が居るんですか?!」

「エージェントは時には国から委任された代理権限の範囲内で、国に代わって法律行為をすることも出来るのよ」


 スパイみたいだな?


「そんな凄い人を付けて頂けるなんて。ありがとうございます、アリッサさん」

「いいのよエリアス君。知り合いの親戚の、その友達の同僚の、家族の友達がエージェントらしいから頼んでみただけよ」

「えっ!俺の為にそんなに薄い遠くの縁まで使って頂いて。ありがとうございます」

「い、いいのよ、エリアス君のためだもの」

「では、この森のどこかにそのエージェントさんが、いるかもしれないのですね?」

「そ、そうね」


 エージェントさんに、お礼を言わないと。

〈〈〈 見守ってくれて、ありがとう~~!! 〉〉〉

 俺は森に向けて、大声で精いっぱいのお礼を言った。




 あははは、とオルガは力なく笑うしかなかった。

 ここにいるでしょ、エリアス。

 アリッサさんがそうよ。


 やっぱり天然だ、この子は…。


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