【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

想像した事を実現できる創生魔法。現代知識を使い生産チートを目指します。
ジェルミ
ジェルミ

第126話 待ちぼうけ

公開日時: 2022年11月26日(土) 15:10
文字数:3,158

 俺達は久しぶりに街に戻ってきた。

 開拓村でやることがあり、しばらく帰ってこなかったからだ。


 屋敷の門を開けると門番さんが驚き、新館の方に走っていった。

 俺の居ない間に、なにかあったのだろうか?


 するとアルバンさんが慌てたように、こちらに向かって走ってくる。

「エリアス様、いったい今までどこに…」

「何かありましたか?」

「何かではありません!エリザ様が数日前から訪ねてきております」


 エリザ?はて??

 俺が首をかしげていると、アリッサさんに言われた。


「まさか可愛い4人目の花嫁を、忘れていたわけではないよね?」

oh, shitやべっ!」

「何、わからないことを言っているの?」


〈〈〈〈〈 パコ~~~ン 〉〉〉〉〉


 アリッサさんにハリセンで頭を叩かれた。

 まさか忘れていましたとは言えないし。

 しかも忘れていたのはお互い様でしょ?


 エリザちゃんも親元を離れ、こんな遠くまで来てくれたんだ。

 それに答えてあげないと。

 たとえそれが政略結婚であってもね。

 俺は反省をした。


「今はどこにいますか?」

「はい、新館の3階の休憩所におります」

「そうですか、わかりました」

 俺はそう言うとアリッサさん達と向かった。


 3階の休憩所に行き、エリザちゃんに声をかける。

 侍女のネリーさんと一緒に居た、エリザちゃんは嬉しそうに振り向く。


 俺を見つけて駆け出してくる。

 それ程、思っていてくれたのか?

 そう思いしゃがみながら両腕を広げる。


 すると俺の横を通り抜けアリッサさんにしがみつく。

 ドンッ!!

 アリッサさんは戸惑いながらも、嬉しそうだ。

 だが広げた俺の両腕はどうすればいいの?


 どんまい。

 オルガさんが、ぽつりと呟く声が痛かった。


「エリザちゃん、お待たせいたしました」

「いいえ、それほど待ちくたびれてはおりません。なぜなら毎日、こんな贅沢ができるのですから」

『ラウンド・アップ』の設備に驚きながらも、毎日来ては楽しんでいたようだ。

「素晴らしいですわ、このバスローブとジャージという生地は」

「楽しんで頂いていたようでよかった。ではそのままの格好でいいですから本館にいきましょうか」


「本館ですか?」

「ええ、これから俺達が住む場所です」

 そう言うと俺は本館に続く、渡り廊下を歩いていく。


 するとエリザちゃんの声がした。

「あ、あれはなんでしょうか?」

枯山水かれさんすいです」

枯山水かれさんすいですか?」


 それから俺はびとびを、エリザちゃんに話して聞かせた。

 エリザちゃんは分かったような、分からない顔をしていた。


 エリザちゃんはこの年齢から渋い趣味があるのか。

 それなら気が紛れるように、他にも教えてあげようか。




 後日、エリザはエリアスから盆栽を、もらい『うんちく』を受けた。

 しかしエリザが指したのは、枯山水ではなく全面ガラスだった。


 この世界では透明なガラスは貴重だ。

 ましてこれほど大きいものはないだろう。

 渡り廊下全体の透明な巨大ガラス。

 幅は2m、高3mくらいはあるだろう。

 フレームでガラスを止め、更にガラスが連なる。


 エリザは最後までそのことを、エリアスに言えなかった。


◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


 私の名はエリザ・シュレーダー・ファイネン。

 ファイネン公爵家の長女。


 あの日は隣接しているフェフナー侯爵のお嬢様の、成人祝いの招きを受け親睦を兼ね伺った帰りの出来事だつた。


 おとうさまも先代のおじいさまより、代替わりしたばかり。

 地盤作りと私も貴族の場に、慣れておくのも良いだろうと同行していた。



 馬車は3台あり、私達親子は安全を考え真中を進んでいる。

 すると突然、道の轍に車輪を取られたのか馬車が横転してしまった。

 山道を馬車で進めば、たまにはあることだけど。


 護衛の騎士達が力を合わせ起こしたけど、車軸が折れてもう使い物にはならない。

 こんなところに捨てていくのも…。

 馬車はとても高価なものだと聞くから。


 そう諦めた時だった。

 目の前に12~14歳くらいの男の子が突然、現れたのは。


 彼は『手品』という不思議な魔法で馬車を修復してくれた。

 それから彼は『道路整備』という魔法を使い、道を広く平らにならしていった。


 そして途中の町で別れたけれど。

 その時、おとうさまが『おしい、じつにおしい』そう言っていたのを覚えているわ。


 そして突然に言われたエリアスという少年との婚姻。

 教会に神託がおり彼が女神ゼクシー様の『愛し子』だと言う事が分かったという。

 そして結婚を勧められた。


 私の答えは決まっている。

 この世界の唯一の絶対神、女性の憧れ美の女神ゼクシー様の親子との結婚なら。


 それに貴族社会では女性の地位は低い。

 どんなにおとうさまに可愛がられていても、いずれ15歳の成人になれは好きでもない男の元に嫁ぐことになる。

 場合によってはお腹の出た中年貴族の、第二夫人や側室に。

 父が公爵でもそれはどうなるのかわからない。

 女性は家と家をつなぐ道具でしかないから。



 アレン領にいるエリアス様のところに伺うと、奥様はすでに3人いるという。

 あぁ、やっぱり。

 こんなことだろうと思ったわ。

 4番目の妻なのね。


 そして婚姻の話になり奥様の1人、アリッサさんという素敵な女性が私を応援してくれた。

 これで婚約は決まったの。

 でも15歳の成人前までは一緒に暮らせない。

 するとおとうさまが、『お試し』期間だと言いながら、同居することになったの。

 そんな期間なんてあったかしら?

 

 そして私達は自領のウォルド領に帰ったの。


 後日、『黒猫の宅配便』という運送業者が、自宅に結納品を運んでくれた。

 おとうさまが王都で同じ魔道具を見て、その値段は途方もない金額だったと聞いたわ。

 エリアス様がお創りになったというから凄い人だわ。



 それから2ヵ月が経ち、私はおとうさまやおかあさま、おにいさまに別れを告げアレン領に旅立った。


 共の侍女は幼い頃から面倒をみてくれている、ネリーという侍女が一緒だ。

 馬車は3台でその内2台は私の嫁入り道具よ。




 アレン領に入りエリアス様のお屋敷に付き、門番さんに来たことを伝えた。

 すると慌てたようにエリアス様が経営している商会のアルバンさん言う人が出迎えてくれた。


 聞くとエリアス様と奥様3人は出かけており、いつ戻るのかは分からないという。

 中でお待ちください、と言われ中に通される。

 本当に大きなお屋敷だわ。

 実家の公爵家より立派だなんて。



 その日、夕方になってもエリアス様は戻らなかった。

 仕方がないのでまだこの屋敷に住むわけにはいかず、街で宿をとることにした。


 侍女のネリーは嫁いできて、留守だなんて聞いたことがないと呆れている。

 確かに事前に知らせていたはずだけど…。


 次の日も伺うとまだ戻ってきていないという。

 奥様3人と泊りでいったいどこに行っているかしら?


 使用人のアルバンさんが戻るまでの間、施設を使っていいと言ってくれた。

 最初はお断りしたけど、いくら待っても来る様子がない。

 お言葉に甘えて施設を楽しんだ。



 お客さんがたくさん入り、施設は賑わいゲームコーナーは大人気。

 順番待ちになっているわ。


 そして3階の休憩所で出される飲み放題…。

 紅茶、緑茶、ウーロン茶というお茶が、どれをとっても美味しい。

 お茶が飲み放題なんて聞いたことがない。

 紅茶だけみてもとても高級な葉を使っているはずなのに。


 そしてエリアス社長の気まぐれで出しているお菓子や果物の数々。

 木苺、さくらんぼ、桃、杏子だった。

 

 冷えていてとても美味しかった。

 

 しかし侍女のネリーが首を傾げる。

 どうしたのか聞くと食べている果物の旬は7月で、今食べれるのはおかしいと。

 施設のメイドに聞いても、用意されたものを出しているだけだという。

 詳しいことはわからないようだ。

 不思議だわ、なにか特別な保存方法があるのかしら?


 そんな楽しい日が7日間続いた。

 


 するとエリアス様が奥様達を連れてお戻りだとか。

 ノエルお姉様以外は防具を着ている。

 アリッサお姉様がとても凛々しい。


 私はアリッサお姉様の胸に飛び込んだ…。


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