【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

想像した事を実現できる創生魔法。現代知識を使い生産チートを目指します。
ジェルミ
ジェルミ

第84話 世界に一つだけの剣

公開日時: 2022年3月14日(月) 11:54
文字数:3,263

 俺達は『なごみ亭』を出て一旦、屋敷に戻り防具を装備した。

 アスケルの森へ行こうと俺が言い出したからだ。

 アリッサさん達は武器を持ち、アレン領の城門を出た。


 時間もまだ午前の10時くらい。

 久しぶりに森へ行き果物や薬草、そしてカレーの香辛料を採りに行きたかった。


 俺達は森の中を走る。

 オルガさんやアリッサさんの動きが凄い。

 王都に行く頃からオルガさんは身体能力、アリッサさんは魔力が上がったと言う。


 どうしたんだろう?成長期か?

 17歳のオルガさんはわかるけど、250歳のアリッサさんは…。

 あぁ、エルフは長生きだから、250歳でも人間に例えたら17歳くらいだとか…。


「ねえ、エリアス君」

「なんでしょう?アリッサさん」

「さっきから私の顔を見ているけど、なにか不謹慎なことを考えていない?」

「か、考えていませんよ」

「そう、私って勘が良いんだから」

 亀の甲より年の功か。

「どういう意味なの?」

 万年生きる亀より短い人の人生でも、年長者の経験から得た知恵や技術は貴ぶべきだという意味です。

「だ、誰が年長者よ!!オルガさんと変わらないわよ」

 どうしてだ?

 最近、みんな俺の考えが分かるらしい。

 俺の思考が読める超能力者が増えて来た、気を付けないと。


 またエリアスは、心の声が口に出てるな。

 2人を見ていたオルガはそう思った。




 俺達3人は森の中を走り抜ける。

 カレーの香辛料クミン、チリーペッパー、ターメリック、オールスパイス、コリアンダー、カルダモンを見つけては採取していく。


 薬草を見つけグミの実、ブルーベリー、さくらんぼ、ビワ。

 イチジク、メロン、みかん、山菜やキノコもたくさん採った。


 それから竹に似た林を見つけたので少し収納した。

 その内、庭に河から引いた水を使い、鹿威ししおどしでも造ろうかと思ったからだ。

 

 そして岩山をストレージで収納し鉱物を採取する。

 これでオルガさんの、剣でも創ろうかな?


 そして思うのはアスケルの森に来れば豊富にある。

 でもアレン領の中に居れば、食料が手に入りにくいから食料が高い。

 森を誰かが開拓すればいいのか?

 

 俺は疑問に思った事をアリッサさんに聞いてみた。

 

「このアスケルの森は、誰も開拓しないのでしょうか?」

「そうね、したいけど出来なかったというのが本当ね」

「それはどうして?」

「この森は奥に入れば入るほど、傾斜が険しく強い魔物がたくさんいるわ」

「でもジリヤ国の管轄でしょう?」

「いいえ、アスケルの森はどの国のものでもないの」

「それは、どういう事でしょうか?」


「私達が居るジリヤ国の北東にシェイラ国、南東にラードルフ国が隣接しているわ」

「初めて聞きました、そうなのですか」

「そしてどの国も東にあるアスケルの森、アスケル山脈は自国としてはいなの」

「なぜですか」

「それは魔物よ。大型の魔物が森から出てきたり、スタンピードが起きたら自国なら他国から責任を求められるわ。それ以上の見返りを求めるから、数千人規模の人足を率いて開拓しないと資源採取は難しい。でもそんな余裕はどの国にもないわ」


「だから所有を主張しなければ、魔物が出ても責任は求められないと言う事ですね」

「その通りよ。でもこの険しい森や山脈を開拓できたら、魔物をどうにかできたら」

「その3国に匹敵するくらいの大きな国が出来る、ということですよね」

「でもそんなことは、今までどの国も成し得なかったわ。これからもそうかもね」

 う~ん、そうなのか。

 この大陸の中に誰の所有でもない土地が空いている。

 そこには豊かな土地と資源が眠っている。

 事業が一段落したら、開拓を考えるのも良いな。




 その後、俺達は食べられそうな魔物をたくさん狩った。

 ウサギ、イノシシ、熊系の魔物だ。

 食べられる魔物は単体行動が多く、探すのに手間がかかる。

 ウルフのような群れを成す魔物は、見つけるのは楽だけど余り美味しくない。

 

 狩った魔物の血抜きをしながら考える。

 アリッサさんの風の探知魔法と俺の『エリアサーチ』があれば、魔物や魔獣の位置が分かるから狩りにはもってこいだ。

 そしてオルガさんがいれば、大抵の魔物は倒せる。


 以前、オルガさんは魔法剣士で炎の魔法を使うことが出来ると。

 しかし普段、炎の魔法を使える機会はない。

 なぜなら火災の元になるからだ。


 だからオルガさんは、魔法は使わず身体能力だけで今まで頑張って来た。

 魔法が使えるのに、使わないのはどれほど悔しいだろうか。


 そこで俺は思った。

 他の属性に魔力を変換すれば良いのでは?と。


 以前、オルガさんの剣をいつか俺が作ろうという話があった。

 炎系だから材質は高い熱伝導性を持つ緋緋色金《ヒヒイロカネ》と考えたが。

 それ以外の属性なら特にこだわる必要はない。


 ストレージの中には今まで収納した鉱物がある。

 その中には少しならミスリル、アダマンタイト、緋緋色金《ヒヒイロカネ》がある。

 そして鉄や鋼もある。


 それならそれそれの良いとことを、合わせてしまえば良いのでは?




 俺はストレージの中で金属形成していく。

 芯や反り、峰や刃の部分を創っていく。

 そして柄の部分に5~6cmくらいの緑色の魔石を取り付ける。


 そして出来上がった剣をストレージから出した。

 刃が緩やかな弧を描き、峰が真っ直ぐな刀剣。

 刀身の全長が約80cm。

 鋭い切先で敵を簡単に斬り飛ばしてしまうことが出来る。

 適度な硬さと柔らかさ、魔力伝効率の良い世界に一つだけの両手持ちの剣。

 それが『ファルシオン』だ。


「エリアス、その立派な剣はなんだ?」

「これはオルガさん用の剣ですよ」

「えっ、私にか?!」

「以前オルガさん用の剣を、創ると約束しましたよね」

「そんなこともあったな」


「でも炎の属性を生かすから材質は緋緋色金《ヒヒイロカネ》だと」

「緋緋色金《ヒヒイロカネ》は貴重で、剣1本分の材質は集まらない」

「だから俺の持つ剣のように混ぜて使う事が多いと」

「あぁ、そうだな。だが炎属性の魔法剣士は、火災を考えると需要が無いからな」

「それならこれを持ってみてください」

 俺はオルガさんに『ファルシオン』を渡した。

「これは両手持ち剣だが、バランスが良くて振りやすい」

 オルガさんは剣を振っている。


「魔力を流してみてください」

「なんだと?!」

「いいから、炎の魔法を付与してみてください」

「あぁ、わかった」

〈〈〈〈〈 ブゥ~~ン!! 〉〉〉〉〉


 オルガさんが剣に魔力を流すと、剣が震えるかのように光った。

「こ、これは?!」

「魔法剣です」

「魔法剣?」

「オルガさんが魔力を流すと、その緑色の魔石が風魔法に変換してくれるんです」


「「 魔力を変換するだって?!(ですって?!) 」」

 オルガさんとアリッサさんが、同時に大きな声を出す。

 2人共、何を驚いているのだろう?


「魔力を剣に流すと風魔法を、付与できるようにしてあります。丁度、剣がウインドカッターを纏うような感じになり、切れ味が大幅に上がります」

「でもエリアス。そんなことが…」

「オルガさんが炎属性で、魔法が活用できなくて悩んでいたから」

「それで違う属性に変換を?!」

 アリッサさんが聞いてくる。


「風魔法なら攻撃に適しているし、周りにも被害が出ないので」

「と言われても。そんなことができるなんて…」

「エリアスに常識を言っても無駄だ。ありがとう、これで思いきり魔法剣が使える」

「オルガさんの力になれれば、それだけで俺は嬉しいです」

「こ、このやろう~」

 オルガさんはとても照れて、俺を抱きしめた。

 でも俺より背が高いから抱きしめられている、俺の方が女子みたいだ。

 このまま女子化して、しまうのもいいかも…。


「しかし、この剣は不思議な色をしているな」

「複数の鉱物を交ぜているからでしょうね」


 所々、色が重なりまるで虹のように光る綺麗な剣だった。



 アリッサは思った。

 魔法剣なら目が飛び出る様な金額にはなるが、手に入らない訳ではない。

 しかし魔力変換など、聞いたことが無い。

 また1つ、公《おおやけ》に出来ないことが増えた。

 いつまで彼を守りきれるかしら。

 あまりにも規格外すぎるわ。



 後世、万の大軍を、そして幾多の魔物を倒した伝説の剣、

『Rainbow-colored sword(虹色の剣)』の誕生だった。


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