🐈ミャオ~~~~~~~~~~~~ン!!
🐘パオ~~~~~~~~~~~~~ン!!
朝が来た。
俺とノエルさんは一緒に、1階の居間に降りていった。
するとその場にいたアリッサさんと、オルガさんが驚愕《きょうがく》している。
「ノ、ノエル?!あ、あなた、なんともないの?!」
アリッサさんがノエルさんの元に駆け寄る。
オルガさんも目を丸くしながら声を掛ける。
「だ、大丈夫なの?」
「大丈夫です。何かありましたか?」
アリッサさんが不思議そうな顔をしている。
「す、凄いわ!!」
「強者《つわもの》だ!!ここに強者が居る!!」
いったい何の話だろう?
「あぁ、それから今日から対等だから、呼び捨てにするわね」
アリッサさんがそう言っていた。
なんだ?
とにかくこれから俺達4人、仲良くやって行こう。
最近、アレン領は遠くから来る人が多くなり宿屋が多くなったそうだ。
外食産業も発展し、食べ物の店が多くなった。
店が多くなると同時に雇用率が上がり、失業者が少なくなったという。
良いことだ。
街道が広くなりアレン領から西の王都や、ウォルド領からの物流が盛んになる。
食料や物資の往来が激しくなり、人や物が運ばれて行く。
しかし物事はそう、うまくは行かない。
8つある領の内アレン領の街道だけが、整備されるのは変だという噂が広まる。
そして王都の両翼と呼ばれるファイネン公爵が、王都に使いを走らせた。
なぜあの青年を貴族にしないのか?
取り込まないなら私がもらおう、と。
使いの手紙を見たジリヤ国、クリストフ ・ディ・サバイア国王は首を傾げる。
『あの青年』とはいったい誰のことを言っているのか、と。
そして何度目かの使者とのやり取りの末、重大なことが分かった。
2ヵ月前にファイネン公爵が自領に戻る時にそれは起こった。
馬車の車軸が折れ諦めていたが、通りかかった商隊に助けられたと言う。
正確にはエリアスという青年が、『手品』と言いながら一瞬で馬車を収納した。
これは大容量のマジック・バッグではないのか?
魔道具やマジック・バッグは、古代遺跡で発見されたものだ。
その中でもマジック・バッグは、1m規模の物が入れば大容量な方だ。
研究者が解明し複製できたものでも、マジック・バッグは縦横せいぜい60cm。
それが馬車1台収納し、収納した後に修復してみせたと。
考えられないことだ。
馬車の大きさはそれぞれだが、貴族の馬車は長さ4m×幅2m×高さ3mくらい。
それを収納するなどと。
古代遺跡の産物でも、まだ発見されていない規模のバッグだ。
それと合わせて『道路整備』と言う魔法を使うと言う。
彼の前の木々や地面が何かに吸い込まれたように一瞬で消え、整備された道が目の前にできたと手紙には書いてある。
目の前にあるものを一瞬で収納し、形を変え成形することが出来る。
これは大魔法ではないのかと。
その手紙には『手品』は修繕魔法と思われる。
壊れた馬車の車軸を治したからだ、と書いてある。
『道路整備』は破壊魔法。
木々を一瞬で飲み込んで行く。
この魔法があれば、城壁も意味をなさない。
修繕と破壊魔法。
何と良い組合せだろうか。
まだ手紙は続く。
エリアス青年にはエージェントである、『疾風のアリッサ』が同行していた。
彼には不干渉《ふかんしょう》条例が発令されており、その時に王都を目指すと話していたと言う。
その為にすでに国王陛下にお目にかかり王都で爵位をもらい、陛下の縁戚関係と婚姻を結び高位の貴族になっていると思っていたと書いてある。
だがいつになっても新しい爵位が、誕生したという報告がない。
不思議に思っていたと。
考えられることは2つ。
国王陛下がエリアス少年を欲しがらなかったということ。
それなら我が娘エリザの婿に欲しいと書いてある。
もう1つの可能性は何かしらの理由で、エージェントであるアリッサが国に報告を怠った可能性だ。
それであれば重大な大罪になる。
なぜならエージェントである亜種族は、その能力を使い国に従う事で保護されているからだ。
それは考えずらい。
いったい何があったと言うのだ。
しかしそんな重要な人物がいたとは…。
それが本当ならぜひ我が国に欲しい。
ジリヤ国サバイア国王は、アレン領ドゥメルグ公爵に命を発した。
そのエリアスという青年の真意を見極め、王都に連れてくるようにと。
そしてエリアスの周りを囲む時《とき》は突然に動きだした。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!