【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

想像した事を実現できる創生魔法。現代知識を使い生産チートを目指します。
ジェルミ
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第4章 王都へ

第68話 女神ゼクシー

公開日時: 2022年2月26日(土) 19:11
文字数:3,189

 朝になった。

 今日から王都に輸送と護衛の仕事に行くことになる。

 12~14日くらい、往復でかかるみたいだ。


 オルガさんはブロンズアーマーを着て、ミスリルソードを腰に下げている。

 俺はレザーアーマーを着て、剣はストレージに収納しているので下げてはいない。



「行きましょうか、オルガさん」

「そうだな、エリアス」

「ではアリッサさん、一緒に住み始めたばかりで寂しいでしょうがお留守番です」

「いいえ、私も同行するわよ」

 そう言うアリッサさんも、レザーアーマー姿だった。


「でもアリッサさん、いきなり護衛が増えたと言っても駄目ですよ」

「それでも良いの、私はエリアス君と居たいのよ」

 ま、まじですか…。

 ここまでストレートだと、熱いものが込み上げてくる。



 オルガさん1人では、エリアス君の暴走は止められないわ。

 アリッサは心の中でそう呟く。


「この広い屋敷に1人残されるのは嫌ですよね。分かりました一緒に行きましょう」

「いいのかエリアス。アイザックさんの了承も得ないで勝手に決めて」

「アイザックさんには私が話をするわ。きっと納得してくれるわ」

「アリッサさんがそういうなら、私は何もいわないけど」

「大丈夫よオルガさん。さあ行きましょう」


「待ち合わせの冒険者ギルドに行く前に、大聖堂に寄ってから行きましょうか」

「道中の無事を祈るのね」

「いいね、それは」





 俺達3人は教会に向かう。

 大聖堂に近づくと何やら騒がしい音がする。


「トンカン、トンカン」

「カン、カン、カン」


 どうやら修繕工事中らしく人夫が何人も働いている。

 以前来た時には寄付が減り、お金が無いようなことを言っていたが。

 なにか臨時収入があったのかな?



 大聖堂の中は時間が早いせいなのか、礼拝者は少なかった。

 17歳くらいの若いシスターが対応してくれた。 


 俺は女神ゼクシー像の前に跪き、目を閉じ祈る。

 すると白い靄のようなものに包まれた場所にいた。


「はい、次の方どうぞ~!」


 市役所の様なカウンター台の向こうから声がする。

のメガネをかけた、20歳くらいのスレンダーなメガネ女子がいた。


「おはようございます!かあさん」

「かあさん?あぁ、エリアス。会いに来てくれたのね」

「これから王都に依頼で行くので、その前に挨拶に来ました」

「立派に生活しているのね。安心したわ」

「これも、ゼクシーかあさんのおかげです」

「まあ、この子ったら!」


 エリアスだっけ?

 たくさんの魂を仕事で毎日、見送っているから忘れていたわ。

 私が名前を与えた子ね。

 しばらく見ないうちに、随分きれいな魂になったわね。

 転移と共に精神年齢も15歳に若返るようにしたからかな~?

 生前生きた35年間の垢まみれの人生が消えて、純粋な年齢まで戻ったのね。

 ある意味この世界のことを知らないから、世間知らずかな。


 どれどれ、【鑑定】!!

 名前:エリアス・ドラード・セルベルト

 種族:人族

 年齢:15歳

 性別:男

 職業:創生魔法士マジック クリエイター

 HP 200

 MP 130,002,305,164,572,130,000,000,855,476,891,600,000,000,044


 ……………………。

 な、なにかな?

 このマジックポイントの量は…。


 こ、この子がこの世界に、転移して来てからの生活を見てみようかな。

 ふむ、ふむ。

 な、なによこれ?!

 大気中にある魔素を収納して、魔力に変換してるって?!

 馬鹿なの?


 それから『ステータス能力鑑定不能』!

 鑑定不能て、どういうことよ?

 私は女神なのよ!!


【スキル】

 生活魔法

 火:LV2

 水:LV2

 氷:LV1

 風:LV2

 光:LV2

 世界の予備知識:LV2


【ユニークスキル】

 異世界言語

 鑑定

 時空間魔法ストレージ(カスタマイズ可能):LV3

 創生魔法:LV3


【メンタルスキル】

 沈着冷静:LV2

 高速思考:LV3

 魅力(人から好感を持たれる。発動しないこともある):LV3


【加護】

 女神ゼクシーの加護

 愛し子


 う~ん。スキルは見れるのね?

 この子は何になりたいのかしら?

 ステータスがアンバランスね。

 生活魔法だから魔法も大したことは無いし。

 でもこの魔力量なら、指先に灯す程度の魔法でも大魔法なんだけど。


『時空間魔法ストレージ』と、『創生魔法』がメインなのね。

 だから創生魔法士マジック クリエイターか~。


『沈着冷静』、『高速思考』だなんて、普通は望まないスキルよ。

 なにか役に立っているのかしら?

 転移前に本人が望んだ能力だけど…。


 それから『魅力』。

 転移して一人ぼっちで寂しくないように、人から好かれるように付けた能力ね。

 まあ、『魅力』といっても魅了チャームの魔法とは違うけど。

 赤ちゃんの愛らしさに、大人が無意識に反応してしまうレベルね。

 誰からも好かれる。

 ある意味この世界で生きていくための、自己防衛本能みたいなもの。

 まあ中には子供の無邪気さが嫌いな人も居るだろから。

 効かないこともあるだろうけど。


 ちゃんと私の【加護】がついているわ。

 それに名付け親だから『愛し子』なのね。



 えっ、なにこれ?!

「ねえ、エリアス。あなたの側に居る、この2人の女は誰なのかな~?」

「あ、これは…。俺の奥さん達です」

 奥さん?しかも『達』?


 私はエリアスが転移してから、1ヵ月間のことを呼び起こした。

 な、なんと言うことを…。

 私の許可も無く、転移して間もないエリアスに手を出して結婚するなんて…。


 母親は息子が結婚した時に、子供を嫁に取られたような気持ちになるというけど。

 あぁ、これが母の気持ちなのね。


 母子家庭でここまであなたを、育てて来た甲斐があったわ。(1ヵ月間だけど…)

 こんなに立派になって。

 おかあさんは嬉しいわ。

 オイ、オイ、オイ、(´;ω;`)ウゥゥ


 女神ゼクシーは自分の妄想に酔い寸劇を始めた。

 転移の際にその痛い性格も、エリアスは引き継いてしまったのかもしれない。

 この親にして、この子あり。

 




 だ、大丈夫かな?かあさんは。

 さっきから一人でなにかブツブツ言っているけど。

 こんなカウンター台しかない空間に、毎日居たらおかしくなるよな。


「そうだ、かあさん。これ食べませんか?」

 エリアスはストレージから、オークカツカレーを載せた皿を出した。


「まあ、なにかしら?」

「俺が作った料理です」

「良い匂いね、頂こうかしら?こちらにいらっしゃい!」

 そうかあさんが言うと、俺はカウンターの奥にドアがあることに気づいた。


「どうぞ」

 そう言われドアを開け中に誘われる。


「靴は脱いで上がってね」

 靴を脱いで玄関を上がるとすぐに階段があり、上ると2階に続くようだ。


 そのまま短い廊下を進むと、左側は浴室とトイレ。

 そして右側には6畳くらいの和室がある。

 その正面の両開きの扉を開くと、12畳くらいのリビングと台所になっていた。

 まるで2階建ての日本の住居のようだった。


 そして4人掛けの木製のテーブルがあり、俺はかあさんと向き合って座った。

「では、いただきま~す!!」

 ゼクシー母さんはどこからか、スプーンを出して食べ始めた。


「か、辛い~、でも美味しい。こんな食べ物初めてよ」

「かあさんは普段は自炊ですか?」

「なにを言っているの。神は信仰心が糧だから食事はしないのよ」

「へ~」

「でも、味覚はちゃんとあるから、食べ物の味はわかるから安心してね」

「そうなんですね。かあさんは日本を知っているのですか?」

「どうして?」

「この家が日本の家みたいだからです」

「それはねエリアス。この世界は背中合わせに、たくさんの世界があるのよ。私達神は行き来は出来ないけど、情報交換の為に他の世界を覗くことが出来るの」


 その世界の中に面白い国があった。

 その国の文化は漫画、アニメ、ゲームそれにファンタジーの世界。

 私は夢中になったことを話した。


「それは生前、俺が居た日本と言う国だと思います」

「そう、そうだったの。偶然ね」


 こうして俺達親子は初めて2人の、楽しい時間を過ごした。


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※アンダーリム:枠が下だけあるメガネ。ファンタジーのメガネの定番。

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