死が絶対悪として忌避され、回避されるようになってしまった世界でのお話。
しかし、結局のところ死無くして生は完結を見ないと思われ、うっすらと言語化された未完の生のストレスが登場人物たちを苛む。
この背景が女の子たちの百合関係をより希求感のあるものにしているため、枯れてなお水を求めるドライフラワーのような切なさが強められている。
しかし、それを特に壮大な悲劇にはしないで、女の子たちの日常の生の日々のすぐ陰にある死を、退廃しているのに散る花の美しさを思わせるような空気感で表現された作品。
決して長くはないので、ぜひ一度読んでみて欲しい。