それから五年の月日が流れ私が二十歳となった日にアレンさんと再会することとなった。
「フィアナさん……」
「アレンさん?」
待ち合わせ場所の噴水広場の前で立っていると成長し青年になったアレンさんが声をかけてくる。髪の毛はショートヘアーになっていた。声をかけられなかったらきっとアレンさんだって気付けなかったよ。
「一目でフィアナさんだって分かりましたよ。……ようやくお会いできましたね」
「は、はい……」
眩しい笑みを浮かべるアレンさんの顔を直視できなくて視線を下に向ける。
「ちゃんとぼくの事見て下さい」
「ご、ごめんなさい。あまりに素敵な大人に成長していたので恥ずかしくて……」
アレンさんの言葉に視線を戻すもドキドキが止まらない。
「ぼく貴女に会えるのをとても楽しみにしながら毎日過ごしていたんです。ようやくフィアナさんに似合う大人になれたんですから、もう離れ離れになんてなりませんからね」
「私もアレンさんと再会できたんですからもう二度と離れたくないです」
笑顔でそう言われ私も同じ気持ちだと答える。
「さて、それじゃあ今日は初めてのデートでもしましょう。ぼくお兄様達からフィアナさんの好きそうな場所を教えてもらっていたんです。今日はぼくがエスコートしますのでちゃんと付いて来て下さいね」
「はい」
彼がそう言って右手を差し出してくる。その手を取ると私は頷いた。
「そうだ、フィアナさん。この指輪貴女に託します」
「えっ」
アレンさんが立ち止まるとそう言って私の手の平にあの指輪を乗せる。
「貴女が持っていたほうのがいいと思うので……そして全てが終わったらその時に貴女に指輪を送ってもいいでしょうか?」
「は、はい」
もしかしてアレンさんは気付いているのかな? だから初めて会った時にあんな悲しそうな寂しそうな顔をしていたのかも。……全てが終わったらその時はちゃんと私も彼の気持ちに答えよう。
「ぼく、待ってます。フィアナさんが用事を終わらせるその日まで」
「アレンさん……」
アレンさんの言葉に私は胸が一杯になって嬉しくて頬がゆるんだ。
「待っていてください。私が貴方の前に戻ってくるその日まで」
「はい」
私の言葉に彼は勿論だといった感じに返事をした。これからが本当に大変なのかもしれない。それでもアレンさんが待ってくれているのだから私に恐いものなど何もない。アレンさんとの約束を果たせる日はきっとすぐそこまで来ているのだろう。そう思い空を見上げた。
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