レオンさんと結婚してから数カ月がたったある日。
「レオンさんお帰りなさい。初めてのお仕事どうだった?」
「慣れない仕事は疲れた……ていうのは嘘。暗殺者としてのスキルがこんなにも役に立つなんて逆にがっかりだよ」
国王様……ライディンさんに頼んで彼がこの国で仕事ができるようにと、王宮で働かせてもらえないかと頼みに行った所、レオンさんのスキルは人を殺す事以外の方法でも使えると言われ王族を守り見回る守衛さんになったのだ。王宮に怪しい人物が侵入した時に瞬時に駆け付け応戦したり兵士達に信号を送り知らせたりとできる技術は誰にも負けないと褒めていたっけ。
「スキルが役に立ってそんなに残念なの」
「できれば暗殺者としての力を封印したかったからね。まぁ、前と比べたら赤子同然のレベルだけど」
赤子同然ってどれだけスキルが高いのかな? 考えても分からないから突っ込まないでおこう。
「でもお仕事に支障がないならよかったじゃない」
「まぁね。オレの事よりフィアナの方は如何なの?」
彼の言葉に私は自信満々に書類を見せる。
「アニータさんから正式に司書として任命書を貰ったよ。明日からお仕事してくる」
「へー。良かったじゃん。おめでとう」
胸を張り言い切るとレオンさんも嬉しそうに笑ってくれた。
「そんじゃ、今日はお祝いだな。フィアナの就職祝いしないと」
「レオンさんの初仕事が無事に終わったお祝いもね」
二人で言うとくすりと笑う。今日はいつもよりもお料理頑張って作ろう。
こうして私達は夫婦共働きをしながらこの大好きなオルドラ国で生活していくのである。
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