それから瞬く経ち私の体調もだいぶ良くなったころに私はフレンさんに頼み込み投獄されているベルシリオさんの下へと向かった。
「何かあったらすぐに大声で知らせろよ」
「はい」
二人きりで話をさせて欲しいと頼んだため扉の鍵を開けてくれたフレンさんは兵士と一緒に離れていった。
「……」
何故か緊張してしまい足が動かない。無理矢理足を動かし牢屋の中へと入るとベルシリオさんが驚いて私を見てきた。
「ここに何しに来た」
「私、どうしてもベルシリオさんに伝えたいことがあって……」
驚いたのも一瞬で直ぐに厳しい顔に戻った彼がそう言う。それにひるまず私は口を開く。
「私、死に至る魔法で命を落とすかもしれないってなった時、考えることはいつもベルシリオさんの事でした。貴方の気持ちを知りたい。知らないまま死にたくないって……それで、気付いたんです。私ベルシリオさんの事が……好きです。ですからちゃんと気持ちを伝えたくてそれで――!?」
自分の気持ちを一生懸命伝えているとふいにベルシリオさんが近寄って来て左の頬に軽く唇を当てられ驚いて目を見開いてしまう。
「……こんなおじさんを好きになると苦労するぞ」
「苦労したってかまいません。だってベルシリオさんの事が好きなんですから」
柔らかく微笑み優しい声音で言いながら頭を撫ぜられ赤くなった顔のまま私は答える。
「俺は国に仕える騎士だ。それ故に女王様の命従うのが俺の義務だと思っていた。たとえそれが間違っている事であったとしても俺の忠誠心は変わらない。そのせいで君を傷付けてしまった……フィアナ、俺が罪を償い君の前に再び現れるその日まで待っていてくれるか?」
「勿論です。私、何年だって待ちます。ベルシリオさんが私の前に戻って来てくれるその日まで」
彼の言葉に私は力強く頷く。そうして私達はお互いの気持ちを知ることができ二人して笑った。
ベルシリオさんが罪を償い終え私の下に再び現れるその日まで私は彼の事を待ち続けるだろう。
そして再会したその時はきっとお互い幸せになれると信じて……
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