森の中に立っている小さな家。そこに私は昔父と二人で暮らしていた。
「お父さん。そのペンダントすてきだね」
父が何時も首から紐を通して下げている複雑な形をした時計のようなペンダントを、私は見てはそればかり言っていた。
「このペンダントはとても大切なものだ。今日からこれをお前に託す」
いつもなら見せるだけのペンダントをその日なぜか父は私に譲ると言ってきたのだ。
「いいの? ……わ~っ」
「このペンダントには不思議な力がある。だけどお前にそれを教えるにはまだ早い。お前がもっと大きくなったら話してやろう」
貰ったペンダントを見詰める私に父はそう言った。
「不思議な力?」
「あぁ。……今のお前ではその力を上手く扱えない。扱い方を間違えるととても危険だ。だから……お前が大きくなったら教えてあげよう」
父はそう言うと私の頭を優しく撫ぜた。
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