鳥の声と共に私は目を覚ますと見慣れた部屋ではない天井が目に飛び込んでくる。
「ふふ……いよいよ新婚生活、か」
結婚式を挙げたのが昨日。そしてカーネスさんと選んだ新居での生活が今日から始まるのだ。
「おはようございます。ゆっくり眠れましたか?」
寝起きの私の横ですでに制服に着替えているカーネスさんが微笑み尋ねる。私が国王様……ライディンさんに頼み込み王国魔法研究所で働けるように頼んだのだ。
「昨日の夜は嬉しさと恥ずかしさでなかなか眠れないと思っていたんですけどぐっすりと寝れました。制服とても良くお似合いですよ」
「有り難う御座います」
彼の装いを褒めると照れ臭そうに頬を赤らめ小さく笑う。
「お仕事今日が初めてですが大丈夫ですか?」
「まぁ、仕事の事は心配には及びませんよ。世渡り上手にぬらりくらりとやっていきますので」
私の言葉にカーネスさんがにやりと笑いう。それに可笑しくてつい笑ってしまった私の顔を彼が優しく見詰める。
「……本当に信じられませんよ。貴女とこうして結婚して一緒に暮らすことになるとは。嫌われて離れていくものとばかり思ってましたからね」
「あの時は本当に悲しくて苦しくて切なくて辛くて……どうしてあんなに優しくしてくれた貴方が私にこんなこと言うのか突き放すのか知りたくて……ですが、全ての謎は解けましたし、どんな酷い事を言われようともやっぱり私はカーネスさんの事を嫌いになれませんでした。なので、今があるんですよね」
「本当に……フィアナさんは変な人ですね」
カーネスさんが当時の事を思い出し本当につらそうな悲しそうな顔で話す。その言葉に真面目に答えると驚いた眼を見開いた後ふっと微笑み言う。その言動があの時の少年の姿に重なって見えて……私は優しい気持ちで彼を見詰める。
「まぁ、これからもいろいろと大変そうではありますが、もう二度と離れたりなんかしませんからね」
「俺と一緒になったら苦労しますよ。とりあえずは貴女の幼馴染さん達とあのネコと第二王子に寝首を掻かれないように気を付けておきますよ」
「あははっ……」
私の言葉に盛大に溜息を吐き出す彼に苦笑いしかできなかった。結婚すると言ったときもすごい騒ぎになったからね。まさか本気で寝首を掻くことはないと思いたいけれどうーん。これからも気苦労は絶えないみたいだね。でも……
「それでもそれ以上の幸せな思い出で一杯満たしていきましょう」
「そうですね。フィアナさんとならそうなれそうです」
私の言葉に彼も優しく笑い力強く頷いてくれた。これから私の新しい人生が始まりを向かえるのだ。
二章の物語はここまでです。次章からはサブストーリーです。
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