カクヨムではランキングの基準が謎だと言われる。星の少ない作品が上位に、星の少ない作品が下位に来ることもあり、どうやら星が関係しているらしいが、それ以外は謎なのだ。
謎なおかげで色々な作品がランクインするし、ありがたい仕様である。しかしファンがおらず、星がめったにいただけない私には関係なかった。
アルファポリスでは投稿するだけで24hポイントが上がる。スコアが得られる。読者様がおらずとも、何もせずとも、投稿するだけでけっこう多くの方に見に来ていただけるので私にはちょうど良かった。
交流もあまり盛んでないらしく、好きな作品を応援する機能もない。いいねもない。作品や作者様をお気に入りに追加したことも通知されないらしい。
レビューもねぇ、いいねもねぇ、通知もめったに届かねぇ……
まさに孤高の電網浮遊都市なのである。
孤独な群衆の中では、己の底辺作家っぷりをあまり感じなくて済む。私は気ままな住民として電網浮遊都市ライフを謳歌していた。エッセイや現代文学ではけっこうランキング上位に行けたりもする。
が、それは一話完結作品の場合。それも思ったよりスコアが得られることもあれば、得られないこともある。何度やっても連載はうまくいかないし、かと思えば97文字の薄っぺらい作品で4000ポイント近く得たりもする。もはや作品の質など関係ないとしか思えない。
謎のシステム「24hポイント」は私の心を捉えて離さなかった。これがスコアの元となるのだ。
連載で心が折れた私は、24hポイントに翻弄され、やがて、純粋に作品の質を高めることも忘れてシステムの下僕と化した。一話完結エッセイを投稿し続け、作品数ばかり増やしていったのだ。
一応書き続けているのだから別にそれでも良いのかもしれない。が、元々物語が作りたかった私にとって、これはまともな作家道ではなかった。本当に書きたい連載は評価されず、中身のない文章でばかりスコアを得て、駄文量産者にしかなっていない。
と、ここでアンチもどきから妙に的確な批判コメントを投げられた。
私はダメージを受けた。ファンもいないのにアンチが付くとは。
アルファポリスで人気なのは主に恋愛。人気のタグは「婚約者・ざまぁ・令嬢・悪役令嬢・婚約破棄・異世界」などだ。私が確認した時点でのランキング上位はこのようなワードが占めていた。
これらの流行を押さえたからといって必ず人気になれるわけではないだろう。が、アルファポリスを研究し、きちんと読者層のツボを押さえた人はすごいポイント数を稼いでいた。そうなれば得られる収益もけっこうなものらしい。
アルファポリスはこんな底辺作家が書いたエッセイにもお小遣いをくれた。が、私の追求する芸術性を受け入れてはくれなかった。私はやや立ち止まり気味になった。
しかしそもそもアルファポリスに限ったことではない。異世界とか悪役令嬢とか、求められるものがある程度決まっているエリアと、アクセス数を気にせず独自性を追求するエリア、それからマイペースにマイナージャンルで交流や投稿を楽しむエリア……。
私は一体どこに属して何ができるというのだろう?
私は底辺作家以外の何者にもなれなかった。でもこのままでは変わらない。
……書かねば。
そんなわけで今、物語を書こうとやる気を出し始めたところだが、システムの下僕となり果てていた間にけっこう熱心に24hポイントの研究をした。24hポイントを狙って投稿するのも、ゲームみたいで楽しかった。創作の道を外れ、目的と手段が入れ替わっていたけれど。
初めの頃、連載を続けているのにまったく成果が出ていないことにしばらく気づかなかったのは、24hポイントの意味が分からなかったせいでもある。ポイントが「235」とか「200」とか動いていたので、誰か読んでくださったのだなと思っていたのだ。が、235とか200では実はほぼ何も起こっていなかった。
アルファポリスでは更新したときに24hポイントが200もらえる。アクセス数がなくてもポイントは上がるのだ。
その200ポイントは24時間保たれる。そして24時間経つ前に作品を更新した場合、200ポイントはそこから24時間後まで保たれる。1日に3回更新したからといって更新ポイントは600にはならない。
作品にアクセスが入ると200ポイントの上にさらにポイントが追加される。が、このアクセスポイントが難解で、ジャンルごとに1アクセスで得られるポイントが変わるのだ。
エッセイ・ノンフィクションジャンルだと1アクセス35.5ポイントらしい。他のジャンルでも小数点以下のポイントがあるように見える。が、小数点以下のポイントは表示されない。結果、ポイントはよく分からない上がり方になるのだ。
試しにエッセイ・ノンフィクション、現代文学、ファンタジー、SF、ホラー、一般女性向け漫画の6ジャンルで24hポイントの上がり方を記録してみた。アクセス数がほぼない底辺作家なので24hポイントに関する実験はしやすい。得られるデータはあんまりないけど。
以下、24hポイントの上昇値
一般女性向け漫画……7→14→21
SF……21→42
ホラー……42→85→127→170
ファンタジー……7→14→21
現代文学……49→99→149→198
エッセイ・ノンフィクション……35→71→106→142→177→212→248→284→319→355→390
このような感じである。
つまりファンタジー作品を更新して221ポイントになっていたら、3アクセスあったのだなと分かる。エッセイで235ポイントだったら1アクセスだ。
ちなみに自分のアクセスも24hポイントとして反映される(多分1作品につき1日1回)。
私はこの仕組みが分からず、エッセイ連載で271になったらけっこう誰か読んでくださったんじゃないかと思っていた。実際はアクセス数はほとんどなく、そのためスコアにもなっていなかった。
24hポイントをさらに難解にするのは、消えるポイントである。
24hポイントは24時間有効なのだから、24時間経つまでは下がらないはずだ。なのに新作を投稿して24時間経つ前にポイントが下がっていたりする。
24hポイントなのに24時間経つ前に下がっちゃダメだろう。一体なぜこうなるんだ。このような現象は度々発生し、多くの人が疑問に思った。
どうも、「フォロー(作品をお気に入りに追加)やコメントをいただいたときに得られるポイント」は1時間経つと下がるらしかった。
そんなことはアルファポリスの説明にはない。アルファポリス的にはバグだけどシステム的にちょうど良いから放置しているのだろうか。電網浮遊都市の謎の一つである。
私は1時間で消えるポイントを勝手に1hポイントと名付けた。
フォローをいただいたときに得られる1hポイントは300らしい。私の作品にフォローをいただいたあと300ポイントが付き、そして1時間後に消えたとカクヨム・アルファポリス連載に記録してある。
コメントについても似たような数字だったはずだが、1時間で消える幻のポイントなのであまり確認できていない。コメントに関しては自分が承認してからポイントが上がっていた気がするが(アルファポリスのコメントは承認制)、200ポイントくらいだっただろうか。
アルファポリスに来た頃、フォローやコメントをいただけばうんとポイントが上がるだろうと思っていた私は、それらが1hポイントであることを知ってショックを受けた。フォローやコメントをいただいた場合ランキング順位が上がるチャンスだと思ったのに。
が、よく考えたらフォローやコメントがすごい量になるのは人気作家の人であり、底辺作家が1つや2つアクションをいただいても到底追いつけない。フォローやコメントのポイントが24時間有効だったら、上位の人のポイントはますますすごいことになるかも。
と、そのような兼ね合いもあって1hポイントは存在するのかもしれない。だとしても24hポイントを名乗っておきながら1hポイントがあるのはネーミング詐欺なんだけど……。
結論としては、更新やアクセスで得られるポイントは24時間保たれるが、フォローやコメントで得られるポイントは1時間で失われる。らしい。
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