ちびっこタンク
ようこそ魔王軍へ!
まめたん育成計画!
タンクとしてっ!
襲撃はいつも突然に!
魔王を追って!
全ての憎しみを
どこまでも一緒に!
エピローグ
追伸 からっぽの狂王
『剣は捨てても盾は捨てるな』
未だ人類と魔族の戦いが各地で続く混沌の時代。
先祖代々受け継いだ言葉を胸に、立派なタンクとなるべく旅立った十三歳の少年――アルルン・ツインシールド。
彼は一族から受け継いだ効果範囲無限・完全ターゲット固定の伝説のヘイトスキル「全挑発」を武器に、運良く出会った勇者レオス率いる魔王討伐パーティーへと加入する。
しかし――――。
「いくらヘイトを稼げても、それを維持できないタンクに用はない」
アルルンは旅の途中、勇者レオスから直々にパーティー追放を告げられる。
その理由は、タンクとしてはあまりにも貧弱なアルルンの肉体。
身長百二十センチと少し。体重も三十キロに満たないアルルンは、タンクはおろか冒険者としても小さすぎたのだ。
「お願いしますっ! 今はまだ小さいけど、いつか必ず大きくなって勇者様の力になりますからっ!」
「アルルン……君は仲間の命を守るタンクとして、最も大切なことを何も理解していない」
大粒の涙を零しながら自分をパーティーに残して欲しいと懇願するアルルン。
しかし過酷な戦いを続ける勇者レオスの決意は固く、アルルンは一人その場に残された。
こうして、その体の小ささを理由にパーティーから追放されたアルルン。
しかし彼はくじけなかった。
「待ってて下さいレオスさん! きっと立派なタンクになって、貴方のお力になってみせます!」
無慈悲に追放されたにも関わらず、アルルンは再び歩き出す。
再び勇者レオスの仲間として、彼の力になるために!
こうして、その大きな瞳に決意を宿し、アルルンは一人旅立つのであった――――。