目覚めると暗闇が広がっていた。
――ここはどこだ?
暗いが意外と不安はない。
どうやら球状の物体の中にいるようだ。
身体全体を温かいゼリーのような物で包まれている。
オレの腕の中で何かもぞもぞと動くものがあった。
小動物だろうか、強く抱きしめるとオレの腕の中で身じろぎした。
これは……人間か?
小さい恐らくは中学生くらいだろうか……この手触りからして、素肌だと分かる。
ん……? いやいや、それって裸ってことじゃん。
落ち着けオレ。
――そもそも何でこんなことになった?
オレが覚えているのは、高校のボランティアで参加した実験で脳内スキャンを実行したところまで……これってもしかして実は仮想現実の世界とか?
スキャンっていうのが実はフェイクで、この状況を作り出すことが目的だったりとか。
さわさわ。
よく分からない。考えながらでも手は勝手にまさぐっている。
これは、手が勝手にやっていることで、オレの意志とは関係ない。そう、関係ないのだ!
さわさわ。
髪は肩くらいまでか、ほっそりとした肩だ。
肉付きはちょっとほっそりしているくらいか。
背中に回した手を胸の方に……ほうほう。未発達ではあるが柔らかな膨らみ。
女の子……かな?
もっと入念に調べなければ……結論を出すのはまだ早い。
そうこれは、現状を把握するための大切な儀式なのである!
今のうちにこの感触を味わっておこうなどという卑下た考えではない。
これは大切な確認事項なのだ!
崇高なる調査なのだ!
そこら辺をしっかりと理解してくれたまえ。
ふむふむ。下はパンツもなにもはいていないようである。
けしからん!
実にけしからん!
お尻も小さい。
前方へと手を伸ばすと……なん……だと……
何も……ついていないだと!
ちょっと待て、オレは今、禁忌を犯そうとしている。これ以上踏み込めば、二度と戻れない邪道へと導かれてしまうというのか。
まあ、確認しないとアレだし……なんかこう色々と大変なことになるといけないし。
――か、確認だけしておかないとね。
もっとしっかりと堪能……調査しなければ……
オレの手は彼女の身体をまさぐる。
温かくて幼くて小さな身体だ。
胸は未成熟な膨らみ。揉んでみるとお餅のようにふっくらしている。優しく触っているとさくらんぼを二つ見つけることができた。
ふむ。今のうちに感触をよく確かめておかねば。
さてさて、下の方はどうなのかな。
片手では胸の感触を楽しみながら、もう片方の手はお腹を……そして、下腹部へと向かう。
小さな谷間を発見しました。
なんだろう。
指でクリクリしてみる。
ピクリと身体が反応したみたいだった。
触るにつれてなんだか身体が熱を帯び始めているようだ。
谷間にそって指をはわせる。
小さなお豆と指が入りそうな小さな穴に到達した。ちょっとだけ湿っているようだ。
ふむふむ。これは興味深い。
「ん……♡」
かすかな声にオレはどきりとして思わず手を引っ込めてしまった。危なかった。
我、異常ナシ。
心臓がバクバクしているが、とりあえず無視。
ボクハ、ナニモワルイコトナンテ、シテイナイヨ。
改めて周りに手を伸ばすと、すべすべとした金属質の感触があった。それが球状に覆っているようだ。
これって実はやばくないか。
このまま窒息とか……勘弁してほしい。
こぶしで叩いてみるがびくともしない。
きっとどこかでモニーターされているはずだ。
管理者がいるなら早くここから出してくれ。
「誰か……開けてくれ!」
思わず呟いた声に反応するかのように一筋の光が現れた。球体が開いていく。
「※※※※※!」
声が聞こえた。何を言っているのかは分からない。女性の声だと言うことは分かる。
球体が大きく開いた。
まぶしい。
目が開けられない。
腕で光をさえぎったが、腕にほとんど力が入らなかった。
どういうことだ。身体が思うように動かない。
これではまるで生まれたてのヒナではないか。
大きくしっかりとした腕がオレと、オレの腕に抱かれていた少女を抱き上げた。
すぐに布に包まれる。
オレも抱えられすぐに布にくるまれた。にじんだ光の中でかすかに見える光景、思ったとおりオレたちは二人とも裸だったらしい。
ごしごしと乱暴に体を拭かれる。
「※※※※」
誰だか分からないが声をかけられた。
ごめんなさい。何言ってるのかさっぱりです。
ようやく光に慣れてきた。
目に飛び込んできたのは三人。
良かった。見た感じ人間……ではなかった。二人の男は人間だった。もう一人の少女の頭にはウサギのような耳がついていた。
焼け焦げた大地とその中央にある金属製の球体。オレたちはこの中にいたらしい。
何がどうなっている。
ここはどこだ?
オレの腕の中にいたこの娘は誰だ?
頭がぼんやりとして考えがまとまらない。
駄目だ……
安心したからか意識が遠のく。
オレは再び闇の中へと落ちていくのを感じた。
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