「これで……いいのかな?」
「お姉ちゃんバッチリだよ!」
戸惑うミーシャにマヤが太鼓判を押した。
白いパンツに白いブラ。下着姿のうさ耳ミーシャはそれだけで絵になる。
やばい。理性が……
我慢だ! せめて夜まで――!
「あの。お兄ちゃん質問があるんだけど」
「なんだ妹よ」
「私のブラは?」
マヤにはミーシャのようなブラジャーではなくスポーツブラを渡してあった。
マヤはそれが不満らしいのだ。
「私もお姉ちゃんのようなのーさつブラがいい!」
ミーシャのブラはそんなにアダルト的なものではない。まあ、いずれはつけてもらうが。
オレはヤレヤレとため息をついた。
マヤにはスポーツブラの魅力が分かっていないらしい。
未成熟な膨らみを優しく包み込む至高の逸品。
そこはかとなく漂う気品と、わずかに大人の階段を匂わせる品。
未熟こそ芸術。
未発達こそ文化だ!
「マヤ、君の胸にはこのスポーツブラこそが相応しいとオレは思うんだ」
下着について力説するヘンタイがここにいた――オレだった。
まあ、それはそれとして。
「二人ともこの服を着てくれ」
オレは黒い服を異空間から取り出し手渡した。
カルネアデス特製の服だ。
超高密度のカーボンナノチューブを織り込んだ服だ。軽くて下手な甲冑よりも防御力は上だ。
オレも同じ繊維でできた漆黒の衣で身を包んだ。
三人とも同じ色になったが、これはこれでいい感じだ。
マヤは領主の家で着せてもらった服を参考にふわふわスカートの洋服に、マーシャはローブにしていた。
「さて、色々な必要品を買いに行こう」
オレたちは宿を出て市場へと向かった。マザーに頼めば大抵のものは準備してくれる。しかし、それでは駄目だ。この星の文化を理解したことにはならない。
最低限の物以外は現地で調達する。それが基本だ。
下着や服は……調査に必要だから仕方ないのだ。この前のマヤの洋服のようにソソる……調査対象として相応しい服があれば。是非とも堪能……着たままヤったりとか、脱がしながらヤったりとかしなければならないが。
うん。本音だだ漏れ。
「生活の必需品や携帯食、水袋に後は……」
ミーシャに言われるままに店々を回る。
そんなオレたちを周囲の人達がジロジロと見ていた。
だよね。みんな見ちゃうよね。
三人が漆黒の服を着ている。そこまではいい。
問題は歩き方だ。
右にはマヤ。左にはミーシャ。
オレの腕をがっちり抱きこんでいる。
ちっ!
男の舌打ちがどこからか聞こえてきた。
まずい。
できるだけ目立たないように行動するというオレのポリシーに反する。
「マヤ、ミーシャ」
「「なんですか?」」
「歩きにくくないか。それになんだか目立っているみたいだし」
「お兄ちゃん、マヤ気にしないよ」
「ノゾミ、周囲を気にしていたら立派な冒険者になれませんよ」
「そ、そうか……」
話の論点がどこかズレている。
オレはもう気にしないことにした。
(報告。個体名「ローズ」の「ほとばしる白い稲妻」による解析結果が出ました)
今回はやけに早いな。
まだ半日ぐらいしか時間が経過していない。
今までは少なくとも一日近く時間がかかったというのに。
(報告。最適化プロセスも常に進化しています。今後、最適化に関しては同様に時間の短縮が可能です)
そうなのか。
(報告。受付嬢固有能力「計算能力強化」「筋力強化」「敏捷強化」「連帯責任」を獲得。身体構成の最適化を行います……成功しました。有機調査体名「望月望」はLV18になりました)
連帯責任って……固有能力なの?
そこはマザーさんの判断だから何とも言えませんが……連帯責任って。
受付嬢も大変なんだなあ。
(報告。個体名「ミーシャ」は連帯責任の効果によりLV12になりました)
えっ? なんだって?
ミーシャのレベルが5上がった?
オレは思わず隣のミーシャを見てしまった。
(報告。連帯責任は獲得能力によってパートナーの能力値にプラスの補正がかかります)
あの――「パートナー」って何?
(回答。パートナーとは有機調査体名「望月望」と濃厚接触を繰り返し。心身共に「望月望」に依存した者の状態の事です)
平たく言うと相手がオレを好きになればなるとほど繋がりが強くなり、オレの力を分け与えることができる……ってことか。
(正解。最適化はパートナーにも適用されます)
ふむふむ。つまり、仲間を増やしていっぱいセッ……調査をすれば、どんどん強くなるってわけですね。
(正解。今後もさらなる調査を期待します)
そうか。そうなのか。
ならば仕方あるまい。
いやあね。本当はあまり気が進まないんだよ。
いっぱいいろんな女の子とえっちな事しなきゃいけないんでしょ。
はっきり言って大変なんだよね。
でも、仕方ないよね。仕事だから!
そう、仕事だから!
(訂正。女の子である必要性はありません)
わーわーわー! 聞こえなーい!
よし。これからも頑張ろう。
オレはすーこーなる使命のために、さらなる闘志を燃やすのだった。
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