優雅な夕食会を終え、風呂に案内される。
メイドさんに連れられてたどり着いた屋敷の風呂は凄いの一言だった。
豪華で豪奢できらびやかな大浴場。
今まで週末に通っていた大衆浴場とは規模も華やかさも段違いです。
ライオンのようでオオカミのような……なんかわけのわからない巨大な石像の口からお湯が出てるんだよ。
いや、これ贅沢すぎでしょ。
しかも使っているのはオレ一人。
これは――癒される。
このところ色々ありすぎで、ゆっくりできていなかったからなぁ。
ゆっくりとお湯につかる。
ああ、極楽だぁ。
先程まで。アランとオットーもいたのだが、長湯でのぼせたとか言って早々に上がってしまっていた。
「はぁ、本当にすごいなぁ……」
思わずつぶやいてしまう。
「そうか。気に入ってもらえて何よりだ」
背後から声をかけられた。
「えっ!?」
オレは思わず振る。声の主はオレのよく知っている……領主のお嬢様だった。
しかも、タオル一枚という大胆なお姿。
「シ、システィーナ!?」
ドレスとは違った姿を見れて、非常に眼福であります。
――いやいや。そんなことを言っている場合じゃない。
ギラリ!
システィーナは笑顔だった――笑顔なのだが――オレを見る目がとっても怖い。獲物を前にした猛獣の風格をまとっていらっしゃいます。
ワタクシこの猛獣に喰われるのでありましょうか。
一応確認しておこう。もしかしたら間違ってきてしまった可能性もある。もしそうなら低調におかえり願わなければならない。
そう、確認は大事だ。
「なんで、こんなところにいるんですか?」
「ここは私の屋敷だ。私がいて当然だろう?」
さも当然のように言うけど、ここって男湯だから! 女湯は壁の向こうだから!
そんなことは当然のことながら知っているだろう。そのうえでここに来ているのだ。
「ここは来客があった時にのみ使用されるお風呂なんだ」
システィーナが何故か入り口に陣取る。
これでオレは逃げられなくなった。
オレを守るのは腰に巻いた一枚のタオルのみ。
武器は……股間に隠し持った聖剣エクスカリパーのみだ。
カチリ。
後ろ手に鍵をかけられちゃいました。
おおい! 何しとんねん。
「あの……お嬢様?」
なぜ鍵をかける。
なぜ両手を広げてこっちに迫ってくる。
「お嬢様ではない。システィーナと呼んでくれ!」
なぜか怒られてしまった。
「システィーナお嬢様」
「二人の間に敬称は不要だぞ」
頬に手を当ててきた。
システィーナの顔が間近に迫る。整った顔立ち。
確か、貴族とかはとかく容姿端麗の者が多い。これは結婚などで特に顔かたちの整った者同士を結婚させることによって遺伝子的に美男美女が生まれてくるからだ――だったかな。
でも、今のシスティーナはその瞳にちょっとだけ――そうちょっとだけ。アブナイ光を感じた。
猛獣に狩られる小動物の気分だった。
「なら、システィーナ……オレ、そろそろ上がりたいんですけど」
「いや待て、背中を流そうかと……思ってな……」
オレもう上がるって言ったよね。
このお嬢様はオレの話を全然聞いてないですよね。
「あの日から、あなたの事を思うたびに……その……自分で慰めて……」
システィーナはオレの手を自分の胸にもっていく。
ふわりと柔らかくて大きい果実。
思わずつかんでしまう。
「あっ……♡」
システィーナの身体が手の動きに合わせて反応した。
ウブな身体の反応に思わずごくりとなってしまう。
だって、金髪じゃん。
スタイルいいし。
美人だし。
それが今、タオル一枚で目の前にいるんですぜ旦那!
「もう。我慢できない!」
システィーナが唇を重ねてくる。
情熱的で激しいキス。
その後、お嬢様と楽しませていただきました。
その時うっかり使ってしまった「魅了」の能力のせいでお互いに暴走しちゃって大変な目にあってしまったのだが……ここで多くは語るまい。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!