超一流ヴィランの俺様だが貴様らがどうしてもというならヒーローになってやらんこともない!

阿弥陀乃トンマージ
阿弥陀乃トンマージ

第16話(4)銀河鉄道翔ける

公開日時: 2023年8月21日(月) 23:58
文字数:1,901

「むっ!」

「花巻の地元ヒーロー! やはり、あのレストランのイケメン二人だったのね!」

「ドクターMAX……」

「アンタたちにMSPを回収させている間、あの二人を軽妙なトークで引き付けておこうと思ったのだけど……」

「軽妙なトーク? そんな器用なこと出来るんですかニャ?」

「初耳だぴょん……」

 ネコまんまとウサギぴょんが揃って首を傾げる。

「ええい、うるさいわね! こうなったらあのG‐EXとやらを始末しなさい!」

「了解しましたニャ」

「任せて欲しいぴょん」

「さて、どうする? 鳴鐘……」

「北海道から来たヒーローたちは倒れている。彼らを当てには出来ん……」

「俺たちでやるしかないというか……まあ、その方がかえってやりやすいかもな」

「そういうことだ、至仁!」

「何を一人でぶつぶつ喋っているニャ!」

「戦闘員ども、叩きのめすぴょん!」

「うおおっ!」

「ふん!」

「どわあっ!」

 G‐EXが腕を振るい、あっという間に戦闘員たちを叩きのめす。

「大したことはないな……」

「前菜にもならん……」

「むむっ!」

「なかなかやるぴょんね~」

「感心していないで、アンタたちでかかりなさい!」

 ドクターMAXが声を上げる。

「はっ!」

「分かりましたぴょん!」

「それっ!」

「!」

 ネコまんまがG‐EXの背後に回る。

「スピードはその程度か! もらったニャ!」

「むん!」

「なっ⁉」

 G‐EXが掌を広げると、ネコまんまが吸い寄せられる。

「『銀河パンチ』!」

「ニャッ⁉」

 G‐EXの強烈なパンチがネコまんまの体に突き刺さる。

「……手応えあり」

「相変わらず良いパンチだ、鳴鐘」

「がっ……今の吸い込みは一体……」

「ブラックホール的なものを発生させ、あらゆる物体を引き寄せることが出来る……」

「ブ、ブラックホール的なもの⁉ ど、どういうことニャ⁉」

「……さあ?」

「俺らもよく分かっていないんだよ」

 G‐EXが首を傾げる。

「じ、自分でもよく分からんものを使っているのか⁉ ヤ、ヤバい奴ニャ!」

「いやあ……」

「照れるな……」

 G‐EXが自らの後頭部を撫でる。

「褒めてないニャア!」

「ふん、それならば吸い寄せなければいいだけぴょん!」

「ん?」

 ウサギぴょんがぴょんぴょんと飛び跳ねる。

「これならそうそう吸い込めないぴょん!」

「へえ……よく考えたな」

「どうする? 至仁?」

「問題ない……!」

「むっ⁉」

 G‐EXがあっという間にウサギぴょんとの距離を詰め、懐に入る。

「『鉄道キック』!」

「ごはっ⁉」

 G‐EXの鋭いキックがウサギぴょんの体をくの字に曲げる。

「どんなもんだ」

「ナイスキックだ、至仁」

「ぐっ……なんだ、今の移動は……」

「鉄道のようにレールを敷いて移動出来るんだ」

「そ、そんなことが⁉」

「出来るんだからしょうがないな」

「くっ、ネコまんま!」

「おう!」

「おっ⁉」

 ウサギぴょんがネコまんまを抱え、高く飛び上がろうとする。

「そっちが二人で一人ならこっちも力を合わせるニャ!」

「そうぴょん! 空なら届かないだろうぴょん! ……うん? なんか重いぴょん……」

「え? ああっ⁉」

 ネコまんまが驚く。自分の尻尾にクラブマンがハサミで挟んでいたからである。

「す、少し大人しくしていろ……」

「むうっ⁉」

「その程度の高さなら十分だ!」

 G‐EXが空中にレールを敷き、その上を走って、ウサギぴょんたちに迫る。

「し、しまった!」

「『銀河鉄道アタック』!」

「⁉」

 G‐EXが勢いよく体当たりをかまし、ウサギぴょんとネコまんまの体を貫く。

「ニャア! せっかく復活したのに!」

 ネコまんまとウサギぴょんが爆発させる。二つの球体が戦闘員たちの前に転がる。

「ド、ドクターMAX! コアを回収しました!」

「よくやったわ! ここは撤退するわよ!」

 ドクターMAXたちは足早に撤退する。

「お、落ちる……⁉」

 落下するクラブマンをG‐EXが受け止め、地上に降り立つ。

「お陰で助かりました……クラブマンさん。お礼にデザートでもいかがですか?」

「は、はい、頂きます……」

 クラブマンは恍惚とした感じで頷く。

「……再生怪人は弱いと聞いていたが、そんなことは無かったな」

「……ええ、そうね」

「何をムッとしているのだ、舞?」

 ジンライが舞に尋ねる。

「運命の君だって、いつの間にか、敵の幹部とそんな爛れた関係に……」

「そ、それはあの女科学者が勝手に言っているだけだ!」

 舞の言葉にジンライが慌てる。

「素敵だったな、G‐EX……ああいう男になりたいものだ……」

「ジッチョク、お前……まあいい」

「はい、もう一杯! お姉さん! 555杯目! もうすぐ日本記録だよ!」

「むっ、むう……ね、ねえ、これってノンストップなの? どうやったら終わるの~⁉」

 帰りに立ち寄った盛岡のわんこそば屋にドトウの声が響く。

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