「はっ⁉ さ、運命の君⁉」
ドクターMAXは驚いた表情でジンライたちを見つめる。
「運命の君?」
ジンライが首を傾げる。
「こ、これは違うんです……ある意味敵情視察というか……決して浮気とかそういうものではなくて……」
「な、何を言っているんだ?」
慌てて釈明するドクターMAXをジンライが戸惑い気味に見つめる。
「レポルーの科学者的な女め! 尻尾を現したな!」
「科学者的じゃなくて、科学者なのよ!」
ジッチョクの言葉にドクターMAXが反論する。
「とにかくお前らの好きはさせないぞ!」
「ちっ! お代はここに払っておきます! お釣りは結構です!」
ドクターMAXが店をそそくさと出る。
「おい、ジンライ!」
「ああ! 舞、代金は払っておいてくれ!」
ジッチョクとジンライ、そしてドトウが店を出て、ドクターMAXを追いかける。
「くっ……食事をして彼らの気をひいておくつもりが……」
「ド、ドクターMAX様、いかがされましたか⁉」
虹色の派手なタイツを着た集団がドクターMAXに尋ねる。
「予定変更よ! あいつらを迎えうちなさい!」
ドクターMAXが自らを追いかけてきたジンライたちを指し示す。
「りょ、了解しました!」
「戦闘員たちが来るぞ!」
「吹けよ、疾風! 轟け、迅雷! 疾風迅雷、参上! 邪な野望は俺様が打ち砕く‼」
「吹けよ、疾風! 迫れ、怒涛! 疾風怒涛、参上! 邪な野望はアタシがぶっ壊す‼」
「甲殻機動! この世の悪を挟み込み! 正義の心で切り刻む! クラブマン参上!」
疾風迅雷たちが並び立つ。戦闘員たちが戸惑う。
「ほ、北海道の地元ヒーロー、こんなところまで……!」
「怯むな、数では勝っている!」
「お、おおっ!」
戦闘員たちが疾風迅雷らを包囲する。
「ここはアタシに任せて! 『疾風』モード!」
「む!」
「はあっ!」
「ぐわあっ⁉」
疾風怒涛の攻撃で、戦闘員たちはほとんど倒される。
「……ざっと、こんなものかしら?」
「すごいぞ、『切符泥棒』!」
「疾風怒涛よ!」
疾風怒涛がクラブマンに向かって声を上げる。
「ド、ドクターMAX!」
「落ち着きなさい! アンタの出番よ!」
「ぴょーん!」
ドクターMAXが指を鳴らすと、ウサギの頭をした怪人が飛び出してくる。
「怪人ウサギぴょん、ここに……」
「あいつらを退治なさい」
「了解しましたぴょん!」
「むっ⁉」
ウサギぴょんがあっという間に疾風怒涛との距離を詰める。
「そらっ!」
「きゃあっ!」
ウサギぴょんの強烈な蹴りを食らい、疾風怒涛が後方に吹っ飛ぶ。
「ドトウ!」
「強烈な蹴りだな……」
「ふふっ、ウサギの脚力が成せる業だぴょん……それっ!」
「ぶふっ⁉」
ウサギぴょんが高く飛び上がり、クラブマンの顔を踏みつけ、さらに高く飛び上がる。
「ふふっ、この高さにはついてこられないぴょん!」
「そうでもないぞ?」
「なっ⁉」
「『バイオフォーム』! 『怪鳥』モード!」
疾風迅雷がパワードスーツのカラーリングを薄緑色に変化させ、さらに背中から翼を生やして、空に舞い上がる。ウサギぴょんが驚く。
「そ、そんなことが⁉」
「食らえ!」
「むうっ!」
疾風迅雷が両手の鋭い爪でウサギぴょんの脇腹を切り裂く。ウサギぴょんは落下する。
「どうだ!」
「くっ……」
ウサギぴょんは膝をつく。地面に降下した疾風迅雷が首をすくめる。
「ふん、こんなものか……」
「ちっ……」
「一気にケリをつける!」
元のノーマルフォームに戻った疾風迅雷がウサギぴょんに迫る。
「ニャア!」
「‼」
「隙有りニャ……」
「き、貴様は……」
猫の頭をした怪人、怪人ネコまんまが疾風迅雷の脇腹を突く。予期せぬ攻撃を食らった疾風迅雷が倒れ込む。
「ふん、いつぞやの借りを返すときニャ……」
「き、貴様は……爆発したはずでは?」
「コアを回収してもらったからニャ、ドクターMAXによって復活してもらったニャ」
「そ、そんなことが……」
「申し訳ありません……」
ドクターMAXが疾風迅雷に向かって頭を下げる。ネコまんまが首を捻る。
「? 何故謝るのですかニャ?」
「な、なんでもないわ、さっさとこの先のMSPを回収するわよ」
「こいつらにトドメは刺さなくて良いんですかニャ?」
「それより回収が優先よ」
「了解しましたニャ。おい、ウサギぴょん」
「ああ……」
「戦闘員どもも続くニャ」
「は、はい!」
「ぐっ……」
「ちょっと待った……」
「それ以上好き勝手はさせん……」
ドクターMAXたちを銀と鉄が呼び止める。疾風迅雷が驚く。
「⁉ あいつらは山猫亭の……?」
「ニャンだ、お前ら!」
「準備……」
「よし!」
「⁉」
銀と鉄が互いの人差し指を交差させると、二人の体を光が包み、一体の銀色と黒色のカラーリングをした姿となった。
「『G‐EX』、平和の夢を運ぶため、出発進行‼」
G‐EXが右手の人差し指をビシっと指差す。
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