超一流ヴィランの俺様だが貴様らがどうしてもというならヒーローになってやらんこともない!

阿弥陀乃トンマージ
阿弥陀乃トンマージ

第16話(3)再生と出発

公開日時: 2023年8月21日(月) 22:40
文字数:1,912

「はっ⁉ さ、運命の君⁉」

 ドクターMAXは驚いた表情でジンライたちを見つめる。

「運命の君?」

 ジンライが首を傾げる。

「こ、これは違うんです……ある意味敵情視察というか……決して浮気とかそういうものではなくて……」

「な、何を言っているんだ?」

 慌てて釈明するドクターMAXをジンライが戸惑い気味に見つめる。

「レポルーの科学者的な女め! 尻尾を現したな!」

「科学者的じゃなくて、科学者なのよ!」

 ジッチョクの言葉にドクターMAXが反論する。

「とにかくお前らの好きはさせないぞ!」

「ちっ! お代はここに払っておきます! お釣りは結構です!」

 ドクターMAXが店をそそくさと出る。

「おい、ジンライ!」

「ああ! 舞、代金は払っておいてくれ!」

 ジッチョクとジンライ、そしてドトウが店を出て、ドクターMAXを追いかける。

「くっ……食事をして彼らの気をひいておくつもりが……」

「ド、ドクターMAX様、いかがされましたか⁉」

 虹色の派手なタイツを着た集団がドクターMAXに尋ねる。

「予定変更よ! あいつらを迎えうちなさい!」

 ドクターMAXが自らを追いかけてきたジンライたちを指し示す。

「りょ、了解しました!」

「戦闘員たちが来るぞ!」

「吹けよ、疾風! 轟け、迅雷! 疾風迅雷、参上! 邪な野望は俺様が打ち砕く‼」

「吹けよ、疾風! 迫れ、怒涛! 疾風怒涛、参上! 邪な野望はアタシがぶっ壊す‼」

「甲殻機動! この世の悪を挟み込み! 正義の心で切り刻む! クラブマン参上!」

 疾風迅雷たちが並び立つ。戦闘員たちが戸惑う。

「ほ、北海道の地元ヒーロー、こんなところまで……!」

「怯むな、数では勝っている!」

「お、おおっ!」

 戦闘員たちが疾風迅雷らを包囲する。

「ここはアタシに任せて! 『疾風』モード!」

「む!」

「はあっ!」

「ぐわあっ⁉」

 疾風怒涛の攻撃で、戦闘員たちはほとんど倒される。

「……ざっと、こんなものかしら?」

「すごいぞ、『切符泥棒』!」

「疾風怒涛よ!」

 疾風怒涛がクラブマンに向かって声を上げる。

「ド、ドクターMAX!」

「落ち着きなさい! アンタの出番よ!」

「ぴょーん!」

 ドクターMAXが指を鳴らすと、ウサギの頭をした怪人が飛び出してくる。

「怪人ウサギぴょん、ここに……」

「あいつらを退治なさい」

「了解しましたぴょん!」

「むっ⁉」

 ウサギぴょんがあっという間に疾風怒涛との距離を詰める。

「そらっ!」

「きゃあっ!」

 ウサギぴょんの強烈な蹴りを食らい、疾風怒涛が後方に吹っ飛ぶ。

「ドトウ!」

「強烈な蹴りだな……」

「ふふっ、ウサギの脚力が成せる業だぴょん……それっ!」

「ぶふっ⁉」

 ウサギぴょんが高く飛び上がり、クラブマンの顔を踏みつけ、さらに高く飛び上がる。

「ふふっ、この高さにはついてこられないぴょん!」

「そうでもないぞ?」

「なっ⁉」

「『バイオフォーム』! 『怪鳥』モード!」

 疾風迅雷がパワードスーツのカラーリングを薄緑色に変化させ、さらに背中から翼を生やして、空に舞い上がる。ウサギぴょんが驚く。

「そ、そんなことが⁉」

「食らえ!」

「むうっ!」

 疾風迅雷が両手の鋭い爪でウサギぴょんの脇腹を切り裂く。ウサギぴょんは落下する。

「どうだ!」

「くっ……」

 ウサギぴょんは膝をつく。地面に降下した疾風迅雷が首をすくめる。

「ふん、こんなものか……」

「ちっ……」

「一気にケリをつける!」

 元のノーマルフォームに戻った疾風迅雷がウサギぴょんに迫る。

「ニャア!」

「‼」

「隙有りニャ……」

「き、貴様は……」

 猫の頭をした怪人、怪人ネコまんまが疾風迅雷の脇腹を突く。予期せぬ攻撃を食らった疾風迅雷が倒れ込む。

「ふん、いつぞやの借りを返すときニャ……」

「き、貴様は……爆発したはずでは?」

「コアを回収してもらったからニャ、ドクターMAXによって復活してもらったニャ」

「そ、そんなことが……」

「申し訳ありません……」

 ドクターMAXが疾風迅雷に向かって頭を下げる。ネコまんまが首を捻る。

「? 何故謝るのですかニャ?」

「な、なんでもないわ、さっさとこの先のMSPを回収するわよ」

「こいつらにトドメは刺さなくて良いんですかニャ?」

「それより回収が優先よ」

「了解しましたニャ。おい、ウサギぴょん」

「ああ……」

「戦闘員どもも続くニャ」

「は、はい!」

「ぐっ……」

「ちょっと待った……」

「それ以上好き勝手はさせん……」

 ドクターMAXたちを銀と鉄が呼び止める。疾風迅雷が驚く。

「⁉ あいつらは山猫亭の……?」

「ニャンだ、お前ら!」

「準備……」

「よし!」

「⁉」

 銀と鉄が互いの人差し指を交差させると、二人の体を光が包み、一体の銀色と黒色のカラーリングをした姿となった。

「『G‐EX』、平和の夢を運ぶため、出発進行‼」

 G‐EXが右手の人差し指をビシっと指差す。

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