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公開日時: 2021年9月27日(月) 13:02
文字数:844

私はおいおいと泣いていた。本当の変な女になってしまっていた。


「どうしたの、大丈夫?」


優しい声に顔を上げたら、上品な雰囲気のおばさまが私をのぞき込んでいた。私服だったのでてっきり客かと思ったら、仕事を終えてこれからかえるところだという店員さんで、それが西村さんなのだった。


西村さんは嫌な顔一つせず私をバックルームに連れていき、自販機で爽健美茶を買ってくれた。

全然、店員でも何でもないのにバックルームで泣きながら爽健美茶を飲んでいる自分が変すぎて、もう、気分的にはやけっぱちというか、これ以上変にもならないだろうと、どこか大胆な気分になっていて、だから私は初対面の西村さんに、ペットショップで変な女と呼ばれていること、仕事を辞めて無職だということ、長く付き合った恋人にメールでフラれたことなどを、ベラベラとしゃべってしまった。


今思うともう、元恋人に泣いて電話した時よりも全然最悪だし、最悪なうえに変だし、西村さんも引いていただろうし、ああマジで最悪。だけど、というかだから、私はここで職を得ることになった。


「求職中なの? だったらウチで働きなさいよ。人がいなくてテンテコマイなの。待って、店長に話してくるから!」


こんな女を勧誘するなんて西村さんもまあまあクレイジーなんだけど、後から聞いた話、私のことを「きっといい子」だと思ったんだそうだ。なんでですかって問い詰めたけど、「直観だから説明はできない」と、もどかしいようなうれしいようなことを言ってくれていた。

長くなってしまったけれど、まあこれが、私がここで働くに至る経緯というか。


で、こっからが肝心の人間関係について。


アルバイトを始めたきっかけがきっかけだから、西村さんは私が一番頼りにしている先輩でもあり、一番の仲良しでもある。西村さんは勤続15年、他のパート主婦さんがそうであるように、平日のみの9時から14時勤務。

土日祝日も基本出勤、9時間拘束の8時間勤務である私には、だから西村さんがいてくれる時間帯はオアシスみたいなものだったりする。


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