ひとつのクライマックスも落ち着いたところで、劇中の設定に関する余談を語ってみます。
・ルンが星罰に使った衛星とは?
ルンはいつでもどこでも落とせるよう軌道の全周に渡って小衛星を周回させています。この小衛星はルンが月を砕いて用意しました。
・物語の舞台になっている場所や国ってどんなの?
ウルス大陸と呼ばれている場所にウルスラ連合王国が存在しています。この連合王国は東西南北の四カ国に分かれています。
魔王城があるのは北ウルスラ王国のさらに北、王国が統治を放棄している北辺の森です。
ウルス大陸のはるか東にはアズマ群島と呼ばれる地域があり、優れたクグツ技術を誇っています。
クグツとは魔法によって機能する人形で、作業用や娯楽用、鑑賞用など様々な用途があります。
エイダは代々続くクグツ師の家系に属していて、本人もクグツ作りは得意ですが趣味ではなかったようです。
アズマ群島では八百万の神々が崇められており、崇める場所は神社と呼ばれ、祭祀を巫女が司っています。
森魔族のエルフたちはかつてアズマ群島に住んでいましたが人間に弾圧され、魔王ヴァールに救いを求めてアズマ群島からウルス大陸に渡って来ました。望みどおり庇護された彼らはヴァールを神と崇めています。
・魔族と人間の関係は?
ウルス大陸では聖女神アトポシスを崇める聖教団が強い勢力を持っています。
聖女神の教えは人間こそが尊く魔族は穢れである、魔族の魔力は盗まれたものであるから聖女神に返さねばならないというものです。
辺境に住む魔族と中央部に住む人間の間には争いが頻発しており、魔族の鎮圧に貢献することで聖教団は大きな発言権を得ているのです。
なお聖名を呼ぶのは恐れ多いために聖女神をアトポシスと呼ぶ者はほとんどいません。
聖教団の実働戦闘部隊が聖騎士団です。
聖女神を深く信じているというよりも故郷の治安を守るため聖騎士団に参加する者が大半です。
このように聖教団は必ずしも信仰心の篤い者ばかりではなく、原理主義の過激派もいれば魔族と友好関係にある者たちもいます。
魔族は数が少ない代わりに特別な力を持っているので人間には脅威です。中でも魔族を率いる魔王たちは際立って強く、通常の軍隊では太刀打ちできないほどです。
しかし人間の中には魔王の天敵となる特別な能力者が誕生することがあります。聖教団の戦闘部隊である聖騎士団はそうした存在を常に探索しており、発見できた場合は勇者に任命して人間を守らせています。
とはいえあまりにも強い勇者は気ままに行動しがちで、聖教団が彼らを御すのは並大抵の苦労ではないようです。
・この世界における魔法とは?
世界に満ちている様々な属性元素の力を制御することで、属性に応じた効果を生じさせるのが魔法の基本原理です。
古代魔法では魔法陣を使うことで複雑な元素構成を同時並列に処理していました。瞬時に生成して発現できるので自由度が高く、並列性と処理速度にも優れた方法だったのですが、緻密な魔法陣を構築制御するのは難易度が高すぎたので廃れてしまいました。
今では魔法言語を使って逐次処理する現代魔法が主流です。魔力さえあれば誰でも使えるのはメリットですが、逐次処理なので処理速度が遅い、新しい処理のためには時間をかけてプログラムせねばならないといったデメリットもあります。
・魔族ってなに?
生まれついて魔法の力を持つ知的種族です。
人狼に変化できる狼魔族、龍に変化できる龍魔族、感知能力に長けた森魔族など様々な魔族がいます。
飛び抜けた能力によって魔族を支配する者たちが魔王と呼ばれます。
魔王ヴァールは妖魔族と名乗っていますが、極めて高度な魔法で存在を構築している特殊な魔法生体の総称であって、妖魔族という種族がいるわけではありません。
・魔物ってなに?
魔法の力によって活動している動物たちが魔物と呼ばれています。
野生の魔物が大陸の各地に住みついている他、召喚魔法陣によって生成される仮初の魔物も存在します。
魔族のことを魔物呼ばわりするのは宣戦布告に等しい挑発行為であって大変危険です。死にたくなければ避けましょう。
今回はここまでとなりますが、不明点などありましたらご遠慮なくお尋ねくださいませ。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!