強い衝動がある訳ではないのだ。
ただ、生きる意味も僕には無い。
別に、何か明確なものがあった訳では無い。
人間関係は少々煩わしいが、それでも特定の誰かを恨むような事はないし、誰かに危害を加えられたという事も無い。
そんな、精神的にも肉体的にも無傷に近い俺が『死』を望むはおかしいだろうか。
しかし代わり映えしない毎日と日々の小さな煩わしさ。
それらが、まるで真綿で首を絞めるように、俺を少しずつ追い詰める。
「日々を変わり映えしないと思うなら、何か新しい事を始めてみればいいんじゃない?」
何十にも本心をオブラートに包んで友人に相談してみれば、彼はそう答えた。
しかしその助言を、僕が実行する事はない。
だって何かを始めるだなんて事、やる気があって行動力があって精神的体力がある人間が取れる手段だろう。
少なくとも現状を改善する事に大きな意義を見出せない僕には不向きな事である。
しかし、それと同じく積極的に『死』を選ぶ事も、今の僕は出来ないでいる。
だって、とても疲れそうだし痛そうだ。
だから日々、願って生きる。
誰かが僕に、『死』を与えてくれる事を。
「誰かと命を交換できればいいのに」
そんな呟きが、一人きりの室内に響く。
もしそんな事ができれば、無為に生きている僕の命も「生きたい」と切に思う誰かの役に立つ。
しかしそんなファンタジー、現実世界には存在しない事なんて、すっかり社会人になってしまった僕だって分かっている。
だから、今日も生きるのだ。
朝起きて、ご飯を食べて身支度をし、仕事に行って。
そして帰ってきて思うのである。
「あぁ、今日も死ねなかった」
ため息混じりの疲れた声が、布団の中で今日もくぐもる。
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