これはうちの爺様から聞いた話だ。
うちの爺様は昔からアクティブな人で、体を動かすことが好きだったんだ。その日も爺様のなじみの友人Yと二人で〇山という雪山にハイキングに行ったんだ。
朝早くに出かけて、その山に登った。その日は快晴で絶好の登山日和だった。でも、山を登っていくうちに道がだんだん細くなっていって、じーさんとYはあれっと思って地図を見たんだ。すると、どうやら地図にもない道に迷い込んでしまったらしかったんだ。地図に載っていないんだね。おかしいと爺様とYは首を傾げた。そうこうしているうちに日は暮れてきてしまってね。とりあえず頂上を目指すのは断念して山を下りることにしたんだ。でもね、歩いても歩いても道幅は変わらず、おかしいと思い始めたんだ。ここに来るまで二時間とかからなかったはずなのだが、道幅は一向に変わらずしかもあたりはすでに暗くなっていたんだ。朝早く出てきたのにもう日が暮れてきている。ここは何もかもがおかしかった。それに気づいたときには二人は完全に迷子になっていたんだよ。
やがてあたりが暗くなって二人は懐中電灯をつけて歩き続けたんだけど、いくら歩いても景色は変わらなかったらしい。
とうとう疲れ切って爺様が座り込んだ。Yさんは体力があった人だったんで大丈夫そうだったのだがあたりも暗いしむやみに動き回るのも危険ってことするととどこからかずるすると何かを引きづるような音が聞こえてきた。最初は小さな音だったんで気にも留めていなかったのだが次第にその音は大きくなってきた。それとともに何か獣のような声も聞こえるようになった。「おい、なんか音がしないか。」爺様はYに話しかけた。Yは無言のままうなずいた。
ウォォォォォォォッォォォォォォォォォォォォ
今度はあたり一面に大きく響くような雄たけびが聞こえてきた。さすがにこれはただ事ではないと思った爺様たちは荷物をまとめて立ち上がり、けもの道を戻ろうとした。しかし、来たときに通ったはずの道は消えていた。そこにはただ闇が広がっていただけだった。暗くて見えなかっただけなのかもしれないが、さっきまであった道が消えていたことでYと爺様はパニックだった。
そして二人の後ろからはずるずると引きづるような音が近づいてきているのだ。恐ろしくなって逃げようとしたけど山道をやみくもに走り回るといよいよ遭難してしまうとためらっていると、近くの茂みがかすかに音を立てて揺れた。
爺さんとYさんは驚いてその茂を凝視してしまった。
その茂みの揺れは徐々に大きくなっていく。
ガサガサガサッ ガサッ バキィ 大きな音をたててそこから現れたのは大きな熊のような化け物だ。それも真っ黒な毛並みをした熊だ。その熊は爺さんたちを見つけると目を光らせてこちらに向かってきた。
爺さんとYさんは悲鳴をあげて一目散に逃げ出そうとした。だってその熊は耳がちぎれ、目は真っ赤に純血していたが明らかに形は人のモノだ。人とクマが混ざり異様な形をしたそれは、爺様たちのほうへと向かってくる。二人は必死になって走った。走って走って、なんとか振り切ったと思って立ち止まった瞬間に背後から強い衝撃を受けた。見ると、先ほどの化け物が爺さんの腕をつかんでいた。クマの爪が腕を傷つけているのかとても痛い。
異変に気付いたYが振り返ると青ざめ震えた。
ウォォォォォォォッォォォォォォォォォォォォ
さっきの絶叫が響く。
なんだ?明らかにクマの声じゃないでも明らかにこの声は熊から発せられたものだ。
爺様は、それが異様に気になってYと同じように振り返った。
すると熊のちぎれた耳のあたりからギザギザした大きな口が現れていて、その中に鋭い牙が見える。目が赤いままなのでなおさら不気味さが際立っていた。
その口からは赤黒い何かが滴っていて爺様の顔を濡らした。
うわあああああああああ
爺様は無理やりクマにつかまれた腕を引き抜いて逃げ出した。
Yもそれに続く。
爺様は恐怖心で頭がいっぱいだった。なんなんだあいつは。
で二人して近くの切り株に座りこんだ。そこで持ってきた水筒と簡易的な食事をした。
するととどこからかずるすると何かを引きづるような音が聞こえてきた。最初は小さな音だったんで気にも留めていなかったのだが次第にその音は大きくなってきた。それとともに何か獣のような声も聞こえるようになった。「おい、なんか音がしないか。」爺様はYに話しかけた。Yは無言のままうなずいた。
ウォォォォォォォッォォォォォォォォォォォォ
今度はあたり一面に大きく響くような雄たけびが聞こえてきた。さすがにこれはただ事ではないと思った爺様たちは荷物をまとめて立ち上がり、けもの道を戻ろうとした。しかし、来たときに通ったはずの道は消えていた。そこにはただ闇が広がっていただけだった。暗くて見えなかっただけなのかもしれないが、さっきまであった道が消えていたことでYと爺様はパニックだった。
そして二人の後ろからはずるずると引きづるような音が近づいてきているのだ。恐ろしくなって逃げようとしたけど山道をやみくもに走り回るといよいよ遭難してしまうとためらっていると、近くの茂みがかすかに音を立てて揺れた。
爺さんとYさんは驚いてその茂を凝視してしまった。
その茂みの揺れは徐々に大きくなっていく。
ガサガサガサッ ガサッ バキィ 大きな音をたててそこから現れたのは大きな熊のような化け物だ。それも真っ黒な毛並みをした熊だ。その熊は爺さんたちを見つけると目を光らせてこちらに向かってきた。
爺さんとYさんは悲鳴をあげて一目散に逃げ出そうとした。だってその熊は耳がちぎれ、目は真っ赤に純血していたが明らかに形は人のモノだ。人とクマが混ざり異様な形をしたそれは、爺様たちのほうへと向かってくる。二人は必死になって走った。走って走って、なんとか振り切ったと思って立ち止まった瞬間に背後から強い衝撃を受けた。見ると、先ほどの化け物が爺さんの腕をつかんでいた。クマの爪が腕を傷つけているのかとても痛い。
異変に気付いたYが振り返ると青ざめ震えた。
ウォォォォォォォッォォォォォォォォォォォォ
さっきの絶叫が響く。
なんだ?明らかにクマの声じゃないでも明らかにこの声は熊から発せられたものだ。
爺様は、それが異様に気になってYと同じように振り返った。
すると熊のちぎれた耳のあたりからギザギザした大きな口が現れていて、その中に鋭い牙が見える。目が赤いままなのでなおさら不気味さが際立っていた。
その口からは赤黒い何かが滴っていて爺様の顔を濡らした。
うわあああああああああ
爺様は無理やりクマにつかまれた腕を引き抜いて逃げ出した。
Yもそれに続く。
爺様は恐怖心で頭がいっぱいだった。なんなんだあいつは。
しかし、ずるっずるっとさっきのモノを引きずるような音が再び聞こえ始めた。
二人は無我夢中で走った。
それからどれくらい時間がたっただろう。
いつの間にかあの引きずるような音は聞こえなくなっていた。
爺様とYさんはもう限界だったんでその場にへたり込んだ
「なんなんだあいつは」
「わからんよ」
Yと爺様は、岩陰に息をひそめて隠れていたんだ。
しばらくそうしていると辺りが明るくなってきた。
どうやら夜明けが来たらしい。
爺様とYは顔を見合わせた。
朝日が昇って周りがよく見えるようになると、そこはどこか見覚えのある景色だった。
爺様とYはすぐに理解した。二人は慌てて地図を見た。
そこにはちゃんとハイキングコースが書かれていた。
爺様とYはほっとした。これで家に帰れると思った。
しかし、ふと爺様がYの方を見ると、Yは固まったまま動かなかった。どうしたのかと思ってyの視線をたどって地面を見ると爺様たちが隠れていた岩陰から30センチも離れていないところに何かを引きずったような跡がついていた。そのあとは山の茂みの奥へと続いていて一歩間違えばそのまま襲われていたかもしれなかった。
爺様は放心しているYの手を引っ張って急いでその場を離れた。山のふもとには円盤状の意思が置いてあってかすれて読みにくかったけど慰霊碑と書かれていたみたいだ。
後で爺様なりにその土地のことを調べてみたんだけど結構前にクマに団体客が襲われていたそうだ。猟銃で退治しようと何人かで山に入ったんだけどその時は言った人が素人でクマを見つけたのはいいんだけど猟銃で撃ったがなかなか当たらない。クマが近づいてきてようやく耳とあしの膝の下あたりに当たったみたいなんだけどその人は熊に食べられたらしい。そして急所をはずしたためにそこでは死ななかったクマが数日後山の中の茂みで死んでいるのを見つけた。なんでも撃たれた耳は鎖落ちており、撃たれた部分から壊死していったようだった。行きながら腐っていくなんてクマはかなり苦しんだろうと爺様は言っていた。
引きずったような音はきっと足を怪我したから足を引きずりながら爺様を追いかけたんじゃないかと思う。
俺はその話を聞いて来週以降としていた登山をやめたよ。
なんだか爺様の話に出てきた山の特徴に似ていたからさ。
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