ご近所STORY2 エレクトリック・ダンス

ちょっぴり笑えるSF ご近所物語の続編です
主道 学
主道 学

2-7

公開日時: 2024年7月6日(土) 18:43
文字数:1,419

 猛スピードで走り回る赤い車は車体が弾丸でべこべこになって半壊しているけど、頑丈な作りのようだった。ノウハウはしっかりと走行中の車から体を固定させて撃って来る。アサルトライフルを持つノウハウと、マルカの発砲音で耳が痛い。

 マルカによって放たれた鉛玉が確実に着弾しているノウハウの体から火花がでた。僕のランボルギーニに無数の穴が空いてきた。

 僕の車は防弾の特殊仕様でできているが、アサルトライフルの弾丸は何か特別なのだろう。一発の弾が貫通した。


 僕は腕を怪我して、止むなく対向車線の車を避けながら道端へと突っこんだ。

 停車すると、すぐさまマルカが車から降りると、手榴弾を赤い車の車内目掛けて放り投げた。

 赤い車は爆発し、ボロボロの状態でどこかへと走り去って行った。

 その後、負傷した僕はマルカによって、応急処置をされ近くの病院へと行った。病院で処置を待っている最中。駆け付けた警察官と裁判官も兼ねるノウハウに幾つか質問された。

 だが、僕は当たり障りのないことを淡々と告げた。


 白くL字型の大きな総合病院。云話事・仁田・クリニックには、駆け付けたヨハが心配していた。僕は腕をマルカによって応急処置をされていたが、真っ赤な血だらけの腕を見て、ヨハはその可愛らしい顔に険しい表情を作った。

「雷蔵様~~。大丈夫じゃなさそうで~~す。先生早く来てくださ~~い」

 故障し間延びした声のヨハが、ひっきりなしに患者や医者や白衣のノウハウ、看護婦が行き来する通路で仁王立ちしていた。

 白衣のノウハウをヨハが捕まえた。

「大丈夫ですか? 今、お調べしますね……。失礼ですが携帯を見せてください」

 ノウハウの持つ、手のひらサイズの識別装置で、挿し込んだ携帯を認識している間。僕は通路の長椅子に腰かけた。痛みは酷かったがあまり気にしていない。

 それより、僕はさっきの赤い車は坂本の送った刺客だと思った。

 隣に座っているマルカに赤い車を調べてもらっている。

 マルカは僕の腕の包帯をきつく締めたりしながら、全警察暑のデータバンクと体内で通信していた。

「だから~~。私を~~。連れてって~~~て、言ったのに~~」

 ヨハは白衣のノウハウが僕を奥の診察室に案内するのを見送った。

 

 その夜。

 僕は云話事・仁田・クリニックにしばらく入院することになった。云話事・仁田・クリニックは云話事イーストタウンの中央にあって、あの襲撃をされたところから西へ車で、1時間半のところにあった。

 マルカは裏の社会に詳しい男に会いに向かわせた。アンジェはすぐに雇ったノウハウたちと自宅の警護(自宅には外に洩れるとまずいものが多い)。ヨハは僕の護衛をさせた。

 出血が激しいからと白衣のノウハウが判断し、入院手続きをした。

 弾は貫通していなくて、手術で取り出さなくてはならなくなった。

 こんなことになるのなら、最初からマルカ一人に行かせておけばよかったと僕は少し後悔した。しかし、僕はどうしても重要なことは自分が立ち会わなければと思う性格をしていた。

 

「雷蔵様~お肉ばっかり~~」

 手術を終えて、いくらか輸血をしてもらい。白い個室のベットで横になっていると、ヨハが隣の丸椅子で売店から買って来たリンゴを剥いていた。隅にあるテレビからはB区だけの放送をやっていた。

「食べないと~~いけませ~~ん」

 未だ故障しているヨハが間延びした声で、僕の口元にリンゴの欠片を突き出した。

「雷蔵様~。はい、あ~~ん」

 そんなことをしていると、テレビから云話事町TVが流れた。


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