「晴美様!! 何か来ます!!」
アンジェが晴美の体を守るために、押し倒した。
その瞬間に、派手な音の後に今まで晴美さんがいた床に大きな穴が開いた。
「アンジェ!! まだよ!!」
マルカがマシンピストルを応援席にいるノウハウの一体に向かって撃とうとしたら、
「待って!!」
九尾の狐が小型の端末を目にも止まらない速度で、打った。
遥か遠くの応援席のノウハウ数体が、武器を投げ合いお辞儀をしたり、故障したかのようなダンスを踊り出した。
真っ青になっていた観客はこれもショーの一部と勘違いして、大歓声を送った。
「妨害用プログラムをノウハウたちにインストールしたわ。世界最強の妨害プログラム。キマイラの車輪よ」
九尾の狐はにこやかにほほ笑んだ。
「……」
興田は唖然とした。
ダンスを踊っているノウハウには、高度の暗殺プログラムがインストールされていて、絶対にハッキングが出来ないはずなのだ。
「父さん……。仕方ないから、レースで勝つしかないかも知れないぜ」
道助も唖然として、無表情の顔からそんな言葉が力なく口から漏れ出した。
角竹は皮肉を言いたい気持ちを極力抑えた。
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