私は不意に立ち止まってみました。
この状況に変化を求めたのです。
すると、不思議な音は止みました。
今まで無かったはずの静寂が、
私の心に少しずつ入ってくるのを感じました。
このまま動かなかったら私は夜の静寂の中に
取り込まれて、私という存在が
消えてしまうのではないか
と思わせる程に圧のかかった音が無い世界から、
私は逃げるようにして歩き始めました。
すると、また後ろから例の音が鳴り始めたのです。
止まっていた時計の秒針がまた動き出したのを見ているとこんな感覚になるのだろうかと思いました。
状況の変化とはこんなにも気持ちのよい事だったのかと思いました。
変化を好まない人間だったと自分でも思っていますが、夜道(しかも気の沈むでお馴染みの帰り道)に
こんな良い発見があるなんて思ってもいませんでした。
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