[クリアレース]攻略情報なしのMMO 初クリア者に10億を

当然中身はデスゲーム
アリエス
アリエス

そのMMOは密室でローンチされたのだった

公開日時: 2022年12月8日(木) 19:02
更新日時: 2022年12月9日(金) 15:38
文字数:1,562

 目が覚めて、顔を上げると大きなモニターには

燃えている赤い羽が開かれたデザインを背面に


Icarus Ⅲ


と書かれている。


(イカロス??)


そして右手首に違和感を感じてみてみると、

やや光沢がある黒い液晶がついたものがついている。


「なんだこりゃ?」


そして左手の甲には『太陽』のような

刻印がついている。


(とりあえず環境を把握だな)


冷静に細部を確認する。


"情報は命よりも重い"


俺の企業では、それが社訓として掲げられていた。

相手の情報をただで得ようとしても、なかなか出してくれない。

かといって圧力をかけようものなら、余計その情報を秘匿しやがる。


要は自分の実力で"情報を得る"

時には同業企業、時には同僚を

出し抜くための"情報"なら金をいくらでも支払うことに

躊躇しない。


(ほぉ・・・RC壁ではないんだな)



どうやら部屋全体が、高いレコーディングスタジオのようなシャレた壁。


(なるほど。こりゃかなり高級もんだな。)



その壁に不釣り合いな「Icarus」と書かれたバナーがかけられており、

付近には剣やら斧やらの武器のレプリカのようなものが飾られている。


トントンと叩くと、音は吸収され、部屋全体に跳ね返るだけだ。


(遮音性・防音性に関しては並みの素材を使ってないな)


続けて耐久性。はえぇ話がこんなわけわかんねぇ環境も

ぶっこわしちえば終わりってもんだ。


「おっらぁあああああ!!!」


(・・・・・・・)


ちっ無理だ。

かなり重厚さを感じさせる壁だ。


そのときだった。



「おはようございます皆様。

よくぞわが社のMMOに応募してくださいました」



ややビックリして、声の発生源を見る。

右手から聞こえる声。


「あなた達は、選ばれし者。わが社が作成したゲーム。

イカロス3の挑戦権を得れたのです。」


右手につけた液晶には、くそでか湾曲モニターと同じロゴが

表示される。


(なるほど。スマートウォッチってやつか・・・!)


通話機能によってこの時計から音を受信しているようだ。


「まずは応募していただいた皆さん。

ご足労いただき大変ありがとうございます」


「このゲームを作るのに我々は大変苦労しました。

それはもう一国の財政予算を優に超えるほどの!

そんなゲームをプレイできる皆さんは大変ラッキーです!」


(チっそんな金があるんなら慈善事業の2つや3つやりやがれってんだ)


「そして、それがイカロス3!

モニターに映っているゲームであります!」


「このゲームはいわゆるMMO!!つまり、各プレイヤーが

一人のキャラクターを操って、クリアを目指すゲーム!」



(なるほど。操縦はこのコントローラーってわけか)


視界に捉えたのはデスクに置かれているコントローラー。


「そしてこのゲームは未だ世にローンチされていないゲーム!

つまりは、攻略情報等は一切ありません!」


「そしてクリア者には10億をプレゼント!

当然そのままアナタのあるべき場所に帰ることができます!」


俺は思わず口から疑問がでてしまう。


「クリアできなかったらどうなるんだ?」


ふと気になったことを口に出す。


「ではイカロス3についての説明をさせていただきます。」


(無視かよ)


中学生くらいからMMOはやったことがある。

大体のテンプレート設定も理解しているつもりだ。


「みなさんが気になるクリア条件・・・それは!!」



「3つのステージを踏破すること!!」


「1stステージはpvpぃぃぃぃ!」


「200人のプレーヤーから100人まで減った時点で、

終了。100人が2ndステージへの挑戦権を得ることができます。」


「その後2ndステージ3rdステージを超えた者は全員ゲームクリア!

3rdステージ攻略後に2人以上生き残った場合、両者に10億円!

これは激アツ―――――!」




「そのために今から皆さんには自分のアバターを作ってもらいま―――ス!!」



俺はただ。おとなしくキャラクターを作るしかないのだった。

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