異世界でも油こそ正義!!

雑食ベアー
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第12話 初リザルト

公開日時: 2021年9月13日(月) 12:00
文字数:3,131

 現場で職人と竈の設置位置を話し合い、ついでに高さや幅なども協議した所、本日中に完成するとのこと。ミスティに確認した所、直ぐに着工となったので、その作業を見てみるとファンタジック! 魔法であっという間に竈の形になった。

 この後は細々とした部分調整だと説明を受けたミチオは、ミスティに本日中に屋台を取りに行くことを告げた後、ピートの屋台へ足を向けた。


 ピートの屋台は昼前ということもあり、盛況な状態であった。

またも出来ている行列が掃けるのを待ってからピートに声をかける。


「串焼き1本、儲かってまっか?」


「あいよ、1本ね。儲かって仕方がない」


 ミチオは料金を支払い、串焼きを貰う。そして食べながらピートに話す。


「明日辺りから屋台出すことになった。場所は管理所の隣だ」


「それまた人気の無い所を選んだな..」


「もしよければ、近くに出店してみないか? 出店すれば売上が増えるぞ~」


「う~む、明日、状況をみてから移るか決めるよ」


「後悔するなよ、そんじゃ準備があるから行くわ」


「おう! 明日、偵察に行くぞ!」


 ピートに伝えることを伝えたミチオは、その足で金物屋へと向かい、預けていた大鍋を取ってきた。その後は協会で屋台を受け取り、屋台に必要なものと一緒に管理所へ向かった。


 やがて、管理所の近くについたミチオは思わず専用ブロックの地面に座り込む。


「流石に重い! 疲れた~」


 車輪があるとはいえ、数十キロもある屋台を引っ張って、ちょっとした距離を歩いたのだ。疲れもする。


「お疲れ様です。竈ももうすぐで完成になります」

先程、ここで別れた職人が挨拶してきた。


「あはは、お恥ずかしい所を見られました」


「お疲れの所、すまないがこちらに来ていただけないか? 位置の確認がしたいもので」


「わかりました」

ミチオは竈の近くに立ち、指示された動作をした。


「ありがとうございます。ではこれでいきますね」

と言ったあと、何か呪文みたいなものを唱えると、竈が光った!


「これで完成となります。この状況だと1か月に1回の頻度で魔力を固定してださい」


「魔力の固定?」


「おっと、魔法はどのくらい出来ますか?」


「生活魔法」


「なるほど、簡単に説明しますね。この竈は魔法により発生したものです。その場合、竈を形成した魔力が無くなると消滅します。消滅しない為には、現象の固定化をしないといけません。おそらくですが1か月ぐらいで固定化に使用する魔力が枯渇しますので、魔力の配給をしなければいけません」


「つまり、無から有を生み出した場合は維持するのに魔力が必要と..」


「正解です。固定化については結構、躓く者が多いのですがお客様、どこかで高度な教育を受けてますか?」


「いや、読み書きぐらいだな、勉強したのは、で、魔力の配給方法は?」


「ああ、そうでしたね。配給はこちらの窪みに手をかざして魔力または魔法を出せば大丈夫です」


「へぇ~」


「では、これで完成したので受領のサインをここに願います」


「あ~、管理所の中でいいか?」


「わかりました」


 管理所に入る前に、管理所の警備員にまとめている荷物を見張ってもらえるようにお願いした。もちろん心づけも渡した。

中に入ると窓口側にミスティがいる、これ幸いとミチオは声をかけた。


「ミスティさん、お忙しいところ恐縮ですがお時間貰えますか?」


「ミチオさん、こちらへお願いします」

そして、ミチオと職人は商談用スペースにある椅子に座るのであった。


「竈はミチオさんに確認してもらっているので、あとの処理はこちらが受け持ちますので、ミチオさんは席をはずしてもいいですよー」


「では、お言葉に甘えまして、早急な対応ありがとうございました」


 席を立ったミチオは自分の屋台を前に聞いた置き場に持っていき、道具一式を袋でまとめ、窓口で預かってもらうのだが、割れ物や生ものはNGと釘を刺された。

あとは芋を準備するだけだから大丈夫だろうと思い、宿に戻っていった。


 自分の部屋に戻ったミチオは夕食を購入しようとスマホを開いた。

すると通知欄に『SP獲得おめでとう。』と表示されていたのを見た瞬間。

【マスター、おめでとうございます。】

と効果音と共にレコがお祝いをしてくれた。


「レコ、ありがとう」

気になる内容を見てみる。


◆◆


本日のリザルト


★フライドポテト(品質:A 摂取SP量:1p)

実食数:2人前 → 獲得SP量:2p 


★鶏のから揚げ(品質:C 摂取SP量:2p)

実食数:2人前 → 獲得SP量:4p


★ボーナス:

・各種揚げたて:+1p毎 

・世界初料理:+10p毎


計:28p取得


◆◆


「お! 初めての料理を作るとボーナスか、やる気が出るね~」

リザルトを見終えたミチオは、HITCHEFでカツカレーを購入し食べている。

そして現在の残金を確認していた。


【所持金】

・円:5,240

・R:11,200

・P:3,200


「う~ん、円は使わないからチャージしてPにするか..」

ピッ!


【所持金】

・円:0

・R:11,200

・P:8,400


「え! 十の位は四捨五入されるの!! 

あ! そういえば、購入可能な商品の値段で十の位以下が無いな..

もしかして、全ての商品に適応されるのかな?」


 カツカレーを食べ終えたミチオは風呂に入り、早めの就寝に着くのであった。

何故ならば、明日が屋台の初出店になるからだ。


……


◆◆


【マスター、おはようございます。本日は初出店になりますね】


「レコ、おはよう、起こしてくれてありがとう」

部屋はまだ暗いが、窓を見るとうっすらと日の出が昇ってきている。


「さてと、いっちょ頑張りますかぁ~」

外に出る仕度を整えながら、朝食を食べて、じゃがいもを仕入れる。

1袋(3~5個)200pでの購入なので、購入資金を考えて全部で21袋にした。

しかし、最大で約10キロになるじゃがいもを運ぶのには辛いので、

一先ず、持ち運べる量を見極める為、1袋ずつ購入しては袋に入れ持ってみるを繰り返した。


「しまったな。昨晩の内に試しておくべきだった」

愚痴を呟く、時間はかかったが持ち運びには適切な量を袋に入れることができた。


「いざ、出陣!?」

袋を背負い、露店管理所の厨房へと赴く..


 朝日が徐々に周辺を明るくなり始めた時に管理所に到着したミチオは、管理所の行列に驚いた。


「わぉ、これ全部が露店商か.. となると商売の申請か、これ?」

行列に並ぶ人に確認をしたら、考え通り商売と場所の申請による行列だった。

そんな中、屋台の申請と共同厨房の使用窓口は開いていたので、料金を支払い厨房へ仕込みに行く。


 台所に到着したミチオは鼻歌を歌いながら、じゃがいもを適切に処理していく。

何せ周りには人がいないからだ。処理したじゃがいもはセポマで購入したキッチン袋に分けていれていった。この都市では清潔な袋が販売されてなったので、苦渋の選択だった。


 数十分後、すべての仕込み(途中にじゃがいもを追加して84人前)が終わり、生ごみ(じゃがいもの芽の部分)をまとめ、料金を支払って処理した。

(しかし、毎回、料金を払っていくのか.. 今日の売上次第では何か買取に出さないとな..)


 数キロになるじゃがいもを背負い、屋台置き場に向かう。

そして、屋台にじゃがいもを積み、専用ブロックに屋台を運ぶ。

この時には行列はほぼ無くなっていたので、ミチオは心の中で舌打ちをする。

 

 その後、管理所の窓口に預けていた物を回収し、屋台の準備を開始する。

竈に合金製の大鍋を置き、預けていた袋から昨日使用した油を取り出し、鍋に投入する。流石に気は引けるが、油はまだ味に影響を及ぼすほどではないから大丈夫だ。


 油が鍋に満たされたので、竈に初めて火を付ける。問題無く竈は機能し、鍋を温めていく。他の作業を行いながら油が適温になるまで待ち、フライドポテトの第一号となるじゃがいもを鍋に投入した。

これにて、第1部は終了となります。


第2部は鋭意製作中です。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

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