異世界でも油こそ正義!!

雑食ベアー
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準備編

第1話 嘘だと言ってよ!とっつぁん

公開日時: 2021年9月2日(木) 12:00
文字数:1,523

「ヤバイ、遅刻する」


急いで、出勤の支度している俺は揚野 満生(あげの みちお)

ここから徒歩10分程にある、唐揚げ専門店のキッチンクルー

揚げ物とビールをこよなく愛する俺にとっては、天国とも言える職場だ。


 栄養飲料を口で咥えながら靴を履き、玄関を開け放ち外へと飛び込んだ。

するとミチオに照り付ける日光と行き交う人々? 更には見慣れない景色。


「ん? なにこれ、寝ぼけているのか?」

戸惑うミチオ。

 

 それもそのはず、いつもならばコンクリートで固められた道が土むき出し状態だ。

道を歩く人を見てみると、どこかの南国を彷彿させるハワイアン的な服装。

 この時間帯だと普通ならば、通勤でスーツを身にまとった成人男性や学生服を身にまとった学生があちらこちで見られるはずだ。


「一旦、部屋に戻って二度寝でもするか~」


軽く現実逃避したミチオだった。

 後ろ向いて部屋に戻ろうとしたが、先程まであった玄関は無く、只々そこにあるのは路地裏に続く道しかなかった。


「何これ!?」


と満生が呟いた途端、乾いた笑いが響き渡る。


(そうですか、異世界ですか~)


と心の中で絶叫した。


「は! 職場に連絡せねば!!」


と独り言をつぶやくミチオ。

 そして、カバンに入れていたスマホを取り出し、職場に連絡をしてみるが、


「圏外ですかそうですか、まぁ、なんとなく思ってましたがw」


と笑うしかない状況だった。


(はぁ~、電波はねぇ、wifiねぇ、おまけに5Gありゃしない!)


と満生は頭の中で軽くリフレインしていくのであった。


……


(うん、現実逃避?は終了しよう!)


多少の時間を有する事により、錯乱状態から何とか復帰することができたミチオ。


(せっかく、異世界に来たんだ。 あれを試してみねば..)


「ステータスオープン!!」


少し待っても雑踏の音しか鳴り響かない..


「ならば、スキルオープン!!」


以下略..


「嘘だろう、何も出ない(涙)」


 落胆するミチオ。

すると、じゃー、じゃ、じゃ、じゃーら、じゃん♪

ミチオのスマホの通知音が鳴り響く!!


「圏外で何故、音が鳴る! もしかして…」


 淡い期待を持ちつつミチオはスマホを確認する。

何度確認しても圏外..

 気が落ちたミチオは通知欄を見るとメールが1通受信されている。


「うわ、圏外なのにメールがきている」


件名:こちら、世界管理局 第9世界でございます。


「まぁ、日本から異世界へ迷惑メールを送る奴はいないよな? 

というより送信できるのか?」


 無理やり引き出した勇気をもってメールを開封してみる。



         -以下、メール本文-


 はじめまして、こちらはこの第9世界の管理者でございます。


第4世界から世界落下をされた揚野 満生様へ


この度は世界管理局 第4世界管理者の間違えで

ミチオ様が第9世界に到達してしまいました。


元の世界に戻ることは現状では不可能となっております。


尚、不可能な理由についての説明は長くなるので、この場では割愛します。 


誠に申し訳ございません。


このままでは申し訳ないので、

特別に管理者権限を利用してミチオ様を一時的にサポートいたします。


心の準備が終えましたら、「ウェイアップ」と叫んでください。


P.S 第4世界の管理者には本当に付ける薬がない..


          -以上、メール本文-


「なにこれ? ツッコミどころ満載過ぎて草はゆるんですけどw」


 まずなんだ、世界管理局?管理者?第4世界?第9世界?

何となくは理解できるが、この世界落下ってなんじゃ?

サポートしてくれるのはいいけど、心の準備ってなんだよ。

しばし情報を落とし込むミチオだった。


「ヨシ! 聞きたいことも整理できたことだし、勇気を絞って」


「ウェイアップ!!」



「あれ? 何も起きない!?」


【世界落下サポートプログラムの要請シグナルを感知】


【対象をアップデートいたします。】


そこで、俺は気を失った..


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