おそらく小学生くらいだろうか。
とても可愛らしい二人の子どもがじゃれている。
「10円!」
「バーカ!」
「10円!」
「バーカ!」
「ボクが10円ならユヅちゃんは5円だ!」
「違うもん! ユヅは100円!」
「じゃあボクは500円! 大金持ち!」
「あっ! シュウちゃんズルいよぉ!」
これは、ボクの幼い頃の夢だ。
幼少期の思い出。
懐かしい思い出。
この子とは、物心がついたときからいつも一緒に遊んでいた。
でも、小学校の高学年になる前に、親の都合で遠くに引っ越してしまった。
今思えば、あの子のことが好きだったのかもしれない。
できることなら、もう一度会いたい。
ユヅちゃん……ユヅ……。
これはあだ名だ。
昔は名前なんて気にしてなかったから、本名がどんなだったかは思い出せない。
たしか名前は……
あの子のことが忘れられず、たまにこんな夢を見る。
結局、名前を思い出すことができずに目を覚ましてしまうけど。
今回もまた、何も思い出せずに朝を迎えることだろう。
彼女は、今も元気に笑っているだろうか————
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